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第5話
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《TBside》
七日間の謹慎を無事に(?)に終えたおれは、マリアと共にアルフェンロード大帝国辺境地へとやって来ていた。どうやらこの辺りはマリアの実家、ファルン男爵家がある場所らしい。お目当ての物がマリアの実家近くにあるとはとても好都合だ。早速やって来た場所は、一面に広がる畑。地面へと落ちている食材を拾い上げて、それを見つめる。これこそおれが欲していた物。カカオ豆だ。カカオ豆がまだ落ちていないか地面を物色していると、向こうの方からとある男性が大声を上げながら近づいて来た。
「これはこれは!ようこそ遥々お越しくださいました!」
「先日手紙を送ったベルと申します」
「ベル様ですね。私はカカオ豆を栽培しているこの畑の主です!どうぞ、ニコラスとお呼びください」
まだ歳が若そうな男性は、おれに向かって丁寧に挨拶をする。おれの偽名は、ベル。ティファニベルの最後の二文字を取ったのだけど、結構分かりやすかったかな…。
「しっかし、ベル様というお名前ですから女性かと思っていましたが…。男性だとしてもお美しいですね!」
嬉しそうにそう言うニコラスさんに、微笑みながら礼を言った。おれがどんな容姿をしているかは平民の間では知られていないから、名前を明かさなければ姿は晒しても大丈夫だろう。ニコラスさんは、ふとおれが手に持っているカカオ豆を見つめると、さっきまでの表情とは一転。悲しそうな顔へと変わった。
「最近、カカオ豆の需要がどんどん下がっておりまして、今じゃ全く売れないんですよ…。我々も参っておりまして。それでー…カカオ豆を売れさせる方法があるというのは…」
「事実です。おれが考案したレシピですが。マリア」
「はい!これを」
マリアから手渡されたレシピを見て、ニコラスさんの目が徐々に変化して行く。ワナワナと震えるその手。
「か、菓子と飲み物って…」
「平民が気軽に買えるような商品です。味はおれが保障します。早速作ってみませんか?」
「は、はい!もちろん!」
ニコラスさんはおれを連れて、畑の横にあった小屋へと向かった。中に入ると何人かの男性と女性が。おれの姿を見るなりすぐに立ち上がって挨拶をしてくれた。
「みんな!これは革命だ!カカオ豆の革命が起きるぞ!」
そう言ってニコラスさんは全員にレシピを手渡す。それを見てザワザワとし始めた空間。売れないわけがない、あんな美味しい物が。
「皆さん、協力してくださいますか?」
『はい!』
大きな返事に、おれは嬉しくなる。カカオ豆を作る農家の方々がレシピを認めてくれたんだ。あとは、それ通りに作って商人に売り出す。売れることは既に見越しているから、製造人員は今のうちに確保しておいた方がいいだろう。誰でも作れるのだから職を探している人々から募集するように、後でマリアに伝えておこうか。
しばらくして出来上がったのが、とある茶色い塊と粉末状の何か。
「どうぞ召し上がってみてください」
おれの一言で恐る恐るそれを手に取って口に運ぶニコラスさん。カリッと噛み砕くと、途端に目を見開いた。
「お、美味しい!!!」
「それは、チョコレートという名前で売り出すお菓子です。豆を砕き焙炒させ、ミルク、砂糖、バター、様々な物を加えて出来上がったお菓子です。配合させる物によって味も変わりますし、クッキーと合わせても美味しいですよ」
「こ、こっちの粉は一体…?」
「それをカップに入れてお湯を注いでみてください」
ニコラスさんは、粉末状のそれをカップに入れて沸騰させた熱々のお湯を入れる。溶け出す粉末状の物。ニコラスさんは、ホカホカと湯気を出す茶色い飲み物を口にする。再び先程と同じ顔をして驚いている。
「ココアという飲み物です。ミルクを入れても美味しいですよ」
その場にいる全員は、驚いた顔をしておれのことを見ている。カカオ豆は、平民でもたやすく手を出せる食材だ。今需要がなく余りに余っているカカオ豆でこれらを大量生産して、商人に売り出せば完璧。飽きられないように品種改良、商品改良をしていく必要はあるけれど…。ひとまずは、第一段階突破かな?
「ベル様!!!!!!ありがとうございます!!!」
「こんな商品を作るなんてすごいです!!!」
「ただの貴族じゃなかったんですね…!!!」
次々と絶賛される。お礼はおれの母に言ってもらいたいな。あの人がいなければ、これは作れなかったのだから…。ふと横を見ると、マリアが誇らしげな顔でおれを見つめていた。
「ここに滞在できる間、できるだけ多く作って商人との約束の場所に持って行きましょう!」
マリアがそう言って拳を突き上げると、それに全員が便乗して高々に拳を突き上げたのだった。
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七日間の謹慎を無事に(?)に終えたおれは、マリアと共にアルフェンロード大帝国辺境地へとやって来ていた。どうやらこの辺りはマリアの実家、ファルン男爵家がある場所らしい。お目当ての物がマリアの実家近くにあるとはとても好都合だ。早速やって来た場所は、一面に広がる畑。地面へと落ちている食材を拾い上げて、それを見つめる。これこそおれが欲していた物。カカオ豆だ。カカオ豆がまだ落ちていないか地面を物色していると、向こうの方からとある男性が大声を上げながら近づいて来た。
「これはこれは!ようこそ遥々お越しくださいました!」
「先日手紙を送ったベルと申します」
「ベル様ですね。私はカカオ豆を栽培しているこの畑の主です!どうぞ、ニコラスとお呼びください」
まだ歳が若そうな男性は、おれに向かって丁寧に挨拶をする。おれの偽名は、ベル。ティファニベルの最後の二文字を取ったのだけど、結構分かりやすかったかな…。
「しっかし、ベル様というお名前ですから女性かと思っていましたが…。男性だとしてもお美しいですね!」
嬉しそうにそう言うニコラスさんに、微笑みながら礼を言った。おれがどんな容姿をしているかは平民の間では知られていないから、名前を明かさなければ姿は晒しても大丈夫だろう。ニコラスさんは、ふとおれが手に持っているカカオ豆を見つめると、さっきまでの表情とは一転。悲しそうな顔へと変わった。
「最近、カカオ豆の需要がどんどん下がっておりまして、今じゃ全く売れないんですよ…。我々も参っておりまして。それでー…カカオ豆を売れさせる方法があるというのは…」
「事実です。おれが考案したレシピですが。マリア」
「はい!これを」
マリアから手渡されたレシピを見て、ニコラスさんの目が徐々に変化して行く。ワナワナと震えるその手。
「か、菓子と飲み物って…」
「平民が気軽に買えるような商品です。味はおれが保障します。早速作ってみませんか?」
「は、はい!もちろん!」
ニコラスさんはおれを連れて、畑の横にあった小屋へと向かった。中に入ると何人かの男性と女性が。おれの姿を見るなりすぐに立ち上がって挨拶をしてくれた。
「みんな!これは革命だ!カカオ豆の革命が起きるぞ!」
そう言ってニコラスさんは全員にレシピを手渡す。それを見てザワザワとし始めた空間。売れないわけがない、あんな美味しい物が。
「皆さん、協力してくださいますか?」
『はい!』
大きな返事に、おれは嬉しくなる。カカオ豆を作る農家の方々がレシピを認めてくれたんだ。あとは、それ通りに作って商人に売り出す。売れることは既に見越しているから、製造人員は今のうちに確保しておいた方がいいだろう。誰でも作れるのだから職を探している人々から募集するように、後でマリアに伝えておこうか。
しばらくして出来上がったのが、とある茶色い塊と粉末状の何か。
「どうぞ召し上がってみてください」
おれの一言で恐る恐るそれを手に取って口に運ぶニコラスさん。カリッと噛み砕くと、途端に目を見開いた。
「お、美味しい!!!」
「それは、チョコレートという名前で売り出すお菓子です。豆を砕き焙炒させ、ミルク、砂糖、バター、様々な物を加えて出来上がったお菓子です。配合させる物によって味も変わりますし、クッキーと合わせても美味しいですよ」
「こ、こっちの粉は一体…?」
「それをカップに入れてお湯を注いでみてください」
ニコラスさんは、粉末状のそれをカップに入れて沸騰させた熱々のお湯を入れる。溶け出す粉末状の物。ニコラスさんは、ホカホカと湯気を出す茶色い飲み物を口にする。再び先程と同じ顔をして驚いている。
「ココアという飲み物です。ミルクを入れても美味しいですよ」
その場にいる全員は、驚いた顔をしておれのことを見ている。カカオ豆は、平民でもたやすく手を出せる食材だ。今需要がなく余りに余っているカカオ豆でこれらを大量生産して、商人に売り出せば完璧。飽きられないように品種改良、商品改良をしていく必要はあるけれど…。ひとまずは、第一段階突破かな?
「ベル様!!!!!!ありがとうございます!!!」
「こんな商品を作るなんてすごいです!!!」
「ただの貴族じゃなかったんですね…!!!」
次々と絶賛される。お礼はおれの母に言ってもらいたいな。あの人がいなければ、これは作れなかったのだから…。ふと横を見ると、マリアが誇らしげな顔でおれを見つめていた。
「ここに滞在できる間、できるだけ多く作って商人との約束の場所に持って行きましょう!」
マリアがそう言って拳を突き上げると、それに全員が便乗して高々に拳を突き上げたのだった。
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