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第115話
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《RDside》
「げほっ…」
咄嗟に口に手を当てると、少量とは言えない血がべちょっと付着していた。
膨大な魔力が込み上げてくる。体が負担を感じているのだ。
たぶんだけどおれじゃなかったら死んでるからね!?これ!!!
心の声は師匠たちには届かない。叫びたいのに叫べない。無理に声を荒げれてしまえば、もっと血を吐きそうだから。
黄金に光り輝く大魔法陣が展開される。《テリオン教》の魔法使いや魔女たちは、喜びに溢れたような表情を浮かべながらひたすらに詠唱を唱える。
「う、そ…」
か細い声が漏れる。
黄金の大魔法陣の中心。爆音と共に天井が崩れ落ち、天空を割るようにして一筋の太陽柱が現れる。突風に飛ばされそうになりながらも、何とか地面にしがみつき耐える。
眩しいほどのゴールドの長い髪に、バイオレットサファイアの瞳。明らかに人ではないものが、降臨するようにして地面に降り立った。
「久々の地上だ」
淡い色の唇から発せられた声は、身震いするほどの威圧感が込められていた。
最高神スクルオ。太陽神にて、神々の頂きに君臨するこの世ならざるものだ。悪しきものの頂きが魔神オルクスなら、その対極に位置する神だ。
場違いで本当にごめんなんだけど、めちゃめちゃイケメン…。絶句するくらいにイケメン…。雰囲気がオルクスに似ている気がするし。
「このときを待っていた…。実に待ちくたびれたよ」
「時間がかかり申し訳ない。最高神よ」
師匠が頭を下げながら謝罪をする。
老いぼれめっ!最強の大魔法使いであるおれを差し置いて、先にイケメンと会話するとかっ!許せん!!!
そんなおれの胸の内も知らずに、師匠と最高神スクルオは話し続ける。
それにしても、どういうことだ…?悪しきものではない最高神スクルオが何故、《アルムグリスト》と《テリオン教》の世界征服の手助けをするんだ?しかも生贄まで…。待って。さっき、師匠が「時間がかかり申し訳ない」って言ったよね。もしかして、前にも一度、最高神スクルオを召喚したことがあるの…?まさか、既におれ以外の生贄を捧げたのか?だとしたら、さすがの最高神スクルオも悪しきものへと堕ちるんじゃ…。
最高神であるイケメンが悪へと堕ちる姿を想像して、密かにニヤつく。
今は興奮してる場合じゃないのに!
「二人目の生贄は、あの魔女の息子だね」
「あの魔女…?」
皇帝陛下が問いかける。
二人目の生贄は、あの魔女の息子。つまり、最高神スクルオは、おれのことを言っている。しかもあの魔女って、おれの母親のことじゃん!師匠…。自分の弟子で、しかもおれの母でもあるシャルロディーテ皇女の遺体を生贄にしたのか!?マジで許せんな!!!どうしてやろうか!?
抑えきれない怒りが込み上げてくる。魔法は使えないはずなのに、感情に伴い体内で魔力が暴走し始めているのが分かる。淡い桃色の光が魔法陣を徐々に包み込んでいく。
一体どうしたらいい。皇帝陛下は、動きを封じられて動けない。最高神スクルオに、そしてこの量の魔法使いや魔女たち、野蛮人たちに勝つためには_______。
頭をフル稼働させたその瞬間、背後で扉をぶち開ける音が聞こえた。
「リダ!!!」
フェルの声が聞こえた。咄嗟に振り返ると、そこには待ち焦がれた六人の男の姿があった。
「みんな…」
感極まって、涙が溢れる。
「二人とも、怪我はねぇな…」
「絶賛生贄に捧げられそうになってるけど」
「とりあえず皇帝陛下もリダも生きてるし良いんじゃない?」
「死なれていたら困りますよ」
「あの連中をどうするかを考えましょう」
ルウくん、フレイ、イルちゃん、ノル、ユージンまで…。
六人の夫が来てくれたんだ。何とかなりそうな気がする。いや、何とかなんでしょ!!!
「どうしてここが分かったんじゃ!?」
師匠が鬼の形相で叫ぶ。
あの優しいおじいちゃんだった師匠がそんな顔をするなんて。人って本当に見かけによらないな。ていうか、逆に何で分からないとでも思ってたわけ?おれの旦那様たち、なめないで欲しいんだけど。
「まぁ怒らないでよ。魔法が使えないなら、僕からしたらゴミクズだ」
最高神スクルオが余裕そうに微笑んだ。
最高神もゴミクズとか言うんだ…。まぁいけめんだから許すけどねっ!
「魔法だけが全てだと思うなよ!」
フェルが聖魔法を使おうと手をかざした瞬間、眩い光線が宙を駆け壁を焼いた。最高神スクルオの仕業だ。咄嗟にそれに反応を示した暗殺者のフレイとイルちゃんが動こうとする。しかし…。
「少しでも動いたら今すぐにその生贄の首をはねるよ」
最高神スクルオは、嘲笑うように脅した。
おれを人質に取られてしまえば、簡単には動けなくなる。あぁ、最悪。本当に最悪。魔法陣のせいで意識が朦朧としてきたし、挙句の果てに魔力まで暴走しようとしてるし。イケメンの顔を拝んで死ぬのもいいかもしれないけど、せっかくイケメンの旦那様が六人もできたんだから、まだ死にたくない…………………………。うん?六人?違う。おれには、もう一人、旦那様がいるじゃんか。
「ははははははは!!!!!!」
「何だ…ついに狂ったか?」
大笑いをするおれを見て、ボスが冷静にそう言った。
「残念♡おれは最初から狂ってるよ。あの人を旦那様にするくらいには」
ニヤッと口角を吊り上げる。裏世界を牛耳る《アルムグリスト》の野蛮人でさえしないような極悪人の表情だ。
師匠と最高神スクルオは、眉を顰める。「あの人とは誰だ?」と。
契約を締結した者のみ、綴ることができる禁断の名。おれは、最後の旦那様である愛しのイケメンを呼び出した。
「オルクス」
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「げほっ…」
咄嗟に口に手を当てると、少量とは言えない血がべちょっと付着していた。
膨大な魔力が込み上げてくる。体が負担を感じているのだ。
たぶんだけどおれじゃなかったら死んでるからね!?これ!!!
心の声は師匠たちには届かない。叫びたいのに叫べない。無理に声を荒げれてしまえば、もっと血を吐きそうだから。
黄金に光り輝く大魔法陣が展開される。《テリオン教》の魔法使いや魔女たちは、喜びに溢れたような表情を浮かべながらひたすらに詠唱を唱える。
「う、そ…」
か細い声が漏れる。
黄金の大魔法陣の中心。爆音と共に天井が崩れ落ち、天空を割るようにして一筋の太陽柱が現れる。突風に飛ばされそうになりながらも、何とか地面にしがみつき耐える。
眩しいほどのゴールドの長い髪に、バイオレットサファイアの瞳。明らかに人ではないものが、降臨するようにして地面に降り立った。
「久々の地上だ」
淡い色の唇から発せられた声は、身震いするほどの威圧感が込められていた。
最高神スクルオ。太陽神にて、神々の頂きに君臨するこの世ならざるものだ。悪しきものの頂きが魔神オルクスなら、その対極に位置する神だ。
場違いで本当にごめんなんだけど、めちゃめちゃイケメン…。絶句するくらいにイケメン…。雰囲気がオルクスに似ている気がするし。
「このときを待っていた…。実に待ちくたびれたよ」
「時間がかかり申し訳ない。最高神よ」
師匠が頭を下げながら謝罪をする。
老いぼれめっ!最強の大魔法使いであるおれを差し置いて、先にイケメンと会話するとかっ!許せん!!!
そんなおれの胸の内も知らずに、師匠と最高神スクルオは話し続ける。
それにしても、どういうことだ…?悪しきものではない最高神スクルオが何故、《アルムグリスト》と《テリオン教》の世界征服の手助けをするんだ?しかも生贄まで…。待って。さっき、師匠が「時間がかかり申し訳ない」って言ったよね。もしかして、前にも一度、最高神スクルオを召喚したことがあるの…?まさか、既におれ以外の生贄を捧げたのか?だとしたら、さすがの最高神スクルオも悪しきものへと堕ちるんじゃ…。
最高神であるイケメンが悪へと堕ちる姿を想像して、密かにニヤつく。
今は興奮してる場合じゃないのに!
「二人目の生贄は、あの魔女の息子だね」
「あの魔女…?」
皇帝陛下が問いかける。
二人目の生贄は、あの魔女の息子。つまり、最高神スクルオは、おれのことを言っている。しかもあの魔女って、おれの母親のことじゃん!師匠…。自分の弟子で、しかもおれの母でもあるシャルロディーテ皇女の遺体を生贄にしたのか!?マジで許せんな!!!どうしてやろうか!?
抑えきれない怒りが込み上げてくる。魔法は使えないはずなのに、感情に伴い体内で魔力が暴走し始めているのが分かる。淡い桃色の光が魔法陣を徐々に包み込んでいく。
一体どうしたらいい。皇帝陛下は、動きを封じられて動けない。最高神スクルオに、そしてこの量の魔法使いや魔女たち、野蛮人たちに勝つためには_______。
頭をフル稼働させたその瞬間、背後で扉をぶち開ける音が聞こえた。
「リダ!!!」
フェルの声が聞こえた。咄嗟に振り返ると、そこには待ち焦がれた六人の男の姿があった。
「みんな…」
感極まって、涙が溢れる。
「二人とも、怪我はねぇな…」
「絶賛生贄に捧げられそうになってるけど」
「とりあえず皇帝陛下もリダも生きてるし良いんじゃない?」
「死なれていたら困りますよ」
「あの連中をどうするかを考えましょう」
ルウくん、フレイ、イルちゃん、ノル、ユージンまで…。
六人の夫が来てくれたんだ。何とかなりそうな気がする。いや、何とかなんでしょ!!!
「どうしてここが分かったんじゃ!?」
師匠が鬼の形相で叫ぶ。
あの優しいおじいちゃんだった師匠がそんな顔をするなんて。人って本当に見かけによらないな。ていうか、逆に何で分からないとでも思ってたわけ?おれの旦那様たち、なめないで欲しいんだけど。
「まぁ怒らないでよ。魔法が使えないなら、僕からしたらゴミクズだ」
最高神スクルオが余裕そうに微笑んだ。
最高神もゴミクズとか言うんだ…。まぁいけめんだから許すけどねっ!
「魔法だけが全てだと思うなよ!」
フェルが聖魔法を使おうと手をかざした瞬間、眩い光線が宙を駆け壁を焼いた。最高神スクルオの仕業だ。咄嗟にそれに反応を示した暗殺者のフレイとイルちゃんが動こうとする。しかし…。
「少しでも動いたら今すぐにその生贄の首をはねるよ」
最高神スクルオは、嘲笑うように脅した。
おれを人質に取られてしまえば、簡単には動けなくなる。あぁ、最悪。本当に最悪。魔法陣のせいで意識が朦朧としてきたし、挙句の果てに魔力まで暴走しようとしてるし。イケメンの顔を拝んで死ぬのもいいかもしれないけど、せっかくイケメンの旦那様が六人もできたんだから、まだ死にたくない…………………………。うん?六人?違う。おれには、もう一人、旦那様がいるじゃんか。
「ははははははは!!!!!!」
「何だ…ついに狂ったか?」
大笑いをするおれを見て、ボスが冷静にそう言った。
「残念♡おれは最初から狂ってるよ。あの人を旦那様にするくらいには」
ニヤッと口角を吊り上げる。裏世界を牛耳る《アルムグリスト》の野蛮人でさえしないような極悪人の表情だ。
師匠と最高神スクルオは、眉を顰める。「あの人とは誰だ?」と。
契約を締結した者のみ、綴ることができる禁断の名。おれは、最後の旦那様である愛しのイケメンを呼び出した。
「オルクス」
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