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第101話 *

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《RDside》

 場所は、ロッタリエ王国の王の完全プライベートの部屋。
 時刻は、子供が寝付き始める時間帯。
 状況は、いかにも寝心地が良さそうな広いベッドに、重なるおれたち。
 下からおれを見上げるユージンに、熱い視線を送り返す。

「その、リダ様…。本当によろしいのですか?」

 吹き出物一つない柔らかそうな頬は赤らみ、瞳に宿る光は左右に揺れ動く。
 不純物一つとして存在しない海も、美しい宝石さえも、ユージンのエメラルドグリーンの瞳には敵わない。世界の神秘を集め、詰め込んだかのような美しさに、思わず息を呑んだ。
 ユージンの肩に両手を置き、するりと撫でるように触る。そして、赤く染め上がっている耳にフッと息を吹きかける。

「ぁっ…」

 ユージンは、小さく高い声を漏らした。可愛らしい声だ…。おれの胸中は言わずとも、分かるだろう。
 以前よりも少しだけ伸びたアッシュグリーンの細めの髪を、クルクルと指に巻き付ける。質感の良い髪質に対し、この髪に顔を埋めたい…!と心から思った。

「リ、リダ様っ!」
「ん~?」

 返事をしながらも、心ここに在らず。
 おれはユージンの頬、首筋に唇を落としていく。独占欲の塊の表れであるキスマークを散らばせると、心がたっぷりと満たされる感覚がした。
 圧倒的受け!みたいな顔をしているくせに、実は攻めだなんて…!ギャップ!ギャップ萌え!
 はぁはぁ、と息を荒くさせながら、貪るようにユージンの肌に吸い付く。

「はっ、ぁ…リダ様…」
「ん、んっ。ユージンの肌、柔らかいね…?」

 甘く囁く。ユージンはぶるりと、僅かに体を震わせて感じている。
 胸元が大きく開いているシャツに手をかける。いつの間に鍛えたのか、はち切らんばかりに強調された胸筋を撫でながら、胸元の紐を引っ張った。紐はしゅるりと簡単に解ける。文字で表すと、ばいん!という表現が正しいだろうか。すっかりと逞しくなった胸筋が、我を見ろ!我を見るのだ!とアピールしてくる。

「ねぇ、ユージン…。顔埋めていい?」
「え、え?どこに…」
「埋めていいよね?」

 全身で圧をかける。自慢ではないけど元から大きい目を、更に大きくカッ開き、これでもかというほどの目力で迫った。ユージンは、何のことだか分かっていない顔をしているが、おれの圧に負けたのか、そっと頷く。ニタァ…と笑ったおれは、意を決してユージンの逞しい胸筋の谷間に顔を埋めた。

「すーーーーーーーーーーーーーーー………はーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 大きく息を吸って、大きく吐く。熱い息がかかったのか、ユージンは再び小さく声を上げた。
 え?何でこんないい匂いするの?あと一年もしたら節目である二十歳を迎えるという発情期真っ只中(?)の男が、いい香りするなんて聞いてない。これもイケメンだから?イケメンってみんないい香りするの?いや知ってたけど。あれ、でもちょっと待って。よく嗅いだら、少しだけ汗の匂いも混じって…………………………………けしからん!!!!!!
 全世界の人々に対して声を大にして叫びたい気持ちを抑えながら、ユージンの胸筋を堪能する。

「リダ様…あまり匂いを嗅がないでください…」
「どうして?こんなに甘い匂いがするのに!」

 食い気味にそう言えば、ユージンはまたも顔を赤くしてあたふたとし始める。そんなユージンのシャツの裾を掴み、「ばんざーい!」と叫びながら脱がせる。

「あまり、見ないでください」
「そんな生娘みたいなこと言って…いい体なんだから恥ずかしがる必要ないよ」

 そう、ユージンはとても良い体なのだ。
 この世界のイケメンは、大体顔がハチャメチャに良くて体も逞しい。ユージンも類に漏れず、そうだ。
 日焼けを一切していない美しい裸体。色付いた小さな乳首が二つと、綺麗に八つに割れた腹筋。あまりにも綺麗な体に、今にも鼻血が出そうになる。
 お腹の左下にぽつりとあるホクロを発見し、「はわっ…」という謎の声が出てしまった。

「こんなところにホクロがあるなんてエッチだね、ユージン」
「エッ…!」
「ユージンのここにホクロがあるのを知っているのは、この世界でおれだけ?」

 そう言いながら見上げると、ユージンは唇を噤んでこくりと頷いた。
 ユージンは童貞…。童貞…。童貞…。おれが初めての相手だなんて、そんなの興奮しないわけがないよ。

「ユージン、」

 我慢が効かなくなったおれは、ユージンの名を呼び、目を合わせるように促す。そして、ぽってりと艶のある唇に自らの唇を重ねた。

「ん、ふっ…」

 薄らと目を開けると、目をギュッと瞑り眉間に皺を寄せたユージンの顔が飛び込んできた。
 ユージンとは久々にキスをしたけれども、こんなに可愛い顔してたっけ…?もう少し慣れている雰囲気じゃなかった?もしかして、今日は緊張しちゃってるの?はぁぁぁ。さすがに可愛いが過ぎるよ…。
 ユージンの可愛さに悶えながらも、キスを続ける。すると、ユージンは恐る恐るおれの背に腕を回してきた。

「はっ、ん…」

 時折漏れる吐息と声に、心臓が抉られるような感覚を覚えたおれは、ユージンの下半部にそっと手を伸ばしたのだった…。





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