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第96話 *

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《RDside》

「ル、ルウくん…ちょっと待っ、」

 言い終わる前に、ギシッとベッドが軋む。ルウくんがベッドに乗り、徐々にこちらへと近づいてくる。ズリズリと後退りをすると、腰が大きな枕に当たる。行き止まりだ。恐怖に震えるおれの頬に、優しく触れるルウくん。
 あれ、意外と優しい…?
 と、思ったのも束の間。勢い良くキスをされる。食われるかのような激しいキスに、ビクビクと腰が反応を示した。

「んっ…はっぁっ、ルウっ、く、んっ」

 名前を呼ばせて貰えないほどのキスの雨が降り注ぐ。体が硬直してしまって抵抗できない。されるがままとなるおれは、恐る恐るルウくんの首に自身の腕を回した。
 歯列を割られ、口内に侵入する分厚い舌。それから逃げるために必死に藻掻こうとするが、呆気なく捕まってしまった。混じり合う唾液の音が、直接脳内に響いてくる。官能的な音に、下半身がズクンと重くなった気がした。

「んちゅ…はっ」
「リダ…」

 砂糖菓子のような甘い声が聞こえ、興奮から思わず体を震わせてしまう。ルウくんの逞しい手が、おれの服を乱暴に脱がしていく。途中で引っかかったらしく、ビリッ、と服を破かれてしまった。
 ちょっ、この服一体いくらしたと思ってんの!?!?おれも知らんけど!!!
 見るも無残な姿へと変わり果てた服の破片が捨てられていくのを見て、少しだけ可哀想に思った。

「ルウくん…ぁッ、」

 キスの雨がようやく上がったと思ったら、次は体を好き勝手にまさぐられる。ルウくんは、枕と腰の間に器用に手を差し込み、いやらしい手つきで腰を撫でる。空いているもう一方の手は、なけなしの胸を揉んでいた。
 明らかに女の子とは違う体なのに、ルウくんは興奮してくれているんだろうか…。どう見たって童貞ではないだろうし、前の女の子と比べられてガッカリされちゃったら…。イケメンに拒否られるとか無理だわ!!!

「余計なこと考えんなよ」

 先程の甘い声とは違う、半ば責めるような声がする。そっと下へ視線を向けると、ルウくんが鋭い目付きでおれを見つめていた。
 ひ、ひぃっ!イケメンの目力の破壊力パネェよ!たぶんだけどこの人怒らしたら一番アカンタイプの人だ!!!
 おれは言葉を発することなく、コクコクと首を縦に振った。それを見たルウくんは、再びおれの胸への愛撫をし始める。

「ぁ…ん、ふっ…」
「ここも相当弄られたな。少し触るだけでもうこれだぜ?」

 見せつけられるように、乳首を弄られる。ルウくんの言う通り、そこは少し触られただけで既に食べ頃の木の実のように赤く熟れていた。
 これまで多くの人(?)に弄られてきたせいか、何も知らなかった初期の頃とは全く違っていた。乳輪は女性のように肥大化しており、乳首も同様に大きくなっている。例えば、これだけを見て貧乳の女性のようだと言われても、納得がいってしまう。
 ルウくんの濡れた唇が乳首に触れ、パクリとそれを咥える。

「あっ!やっ…ぁっ、ダメっ…」

 ネイビーグレージュのサラサラな髪に指を通し、柔く掴む。すると、乳首の更に先端を舌先で刺激され、一際甲高い声を上げてしまった。
 腰を撫でていた手は、最後の砦である下着に触れ、グッと力づくで下げる。自然にお尻を上げてしまい、するりと足から抜けていく下着。
 あぁ…我が友よ…。元気でな!
 破られなかっただけマシだ、と思いつつも友である下着を失うことは悲しいし、恥ずかしい。

「もうこんなんになってんのか?」
「ちょっ…やっ、…ぁ!」

 ねちっこいとも言える愛撫をされ続け、おれの性器は恥ずかしいほどまでに勃起していた。後孔も触ってもいないのに早く欲しい、とグチョグチョに濡れている。どっちも触って欲しくて、だけど触って欲しくなくて、モゾモゾと太腿を擦り合わせた。すると、ルウくんは突如おれから離れ、ベッドに横になる。

「え、…何ですか?」

 違和感を感じながらそう問いかけると、ルウくんは横になりながら下着を脱ぎ去る。そして、おれに向かって手招きをした。
 寝ながら俺様的な雰囲気で「こっち来いよ」とか、許されるのルウくんだけですからね!?
 チョロいおれは、そそくさとルウくんに近寄った。

「尻こっち向けて乗れ」
「へ…………」

 間抜けな声が出てしまう。おれの聞き間違いか?と首を捻る。が、ルウくんは目を細め睨みつけてくる。
 お尻をルウくんに向けて乗る。つまり…え!?そういうプレイ!?え!?こっちの世界にもそんなプレイあんの!?

「そ、そそそそれって…」
「早く」

 ガシッと足を掴まれ、物凄い力で引き寄せられた。おれは渋々、ルウくんにお尻を向けて逞しい体の上へ乗った。
 イケメンに全裸でお尻を向けるとか…!何たる屈辱…!何たる興奮…!!!

「すげぇな…」

 ルウくんがぽつりと呟いたと思ったら、後孔に刺激が走る。

「ふあっ…!?ぁっ、え、え?なにっ…ぁあっ♡」

 ヌルッとした感覚に、戸惑いながら喘ぐ。
 待って。待ってよ?まさか、これって…。
 舐められてる…_______!?





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