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第37話
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《RDside》
時計の針は、十二の数字を指す。なかなか眠る気になれなかったおれは、ベッドの上で魔法書を読んで時間を持て余していた。ここはもっとこうした方が効率がいいだとか、威力が上がるだとか、魔法書にあれこれと文句をつけているところ、大窓がコンコンとノックをされたのに気づいた。
「…………?」
気のせいだと結論づけたおれは、再び視線を魔法書へと戻す。しかし、数秒してまたコンコンとノック音が聞こえる。
もしかして、また変な輩がおれを攫いに来たわけ?いやいや、そもそもここは皇宮だ。そんじゃそこらの下っ端共では侵入できるわけがない。じゃあ、一体誰が…?
おれは恐る恐るベッドから下りて、足音を魔法で完全に消し、大窓の傍まで寄る。カーテンの隙間から覗くように外を見ると、月光に輝くプラチナブロンドの髪が風に靡いた。
「第二皇子ーっ!?!?!?」
大声で叫びながら、バッとカーテンを思いっきり開いたおれ。何と、大窓の向こう側にいたのは、第二皇子だったのだ。第二皇子はギョッとした顔をしたが、すぐに呆れたように溜息をついた。ここを開けろ、と手で合図を出した第二皇子に向かって、おれは首が取れそうになるくらいに頷いた。すぐに解錠して、重々しい大窓をガシャンッと開く。
「ほんもn…んんッ!?」
本物ですよね!?という言葉は、第二皇子の手に吸い込まれる。口を塞がれたおれは、何が起きているんだと目を見開くことしかできなかった。
もしや、第二皇子がおれを攫いに来たの?《アルムグリスト》と手を組んでるの!?イケメンだからって騙されちゃったわけおれは!!!
パニックになって、バタバタと手足を振り回して暴れるおれ。
「ちょっ、バカッ…おまえっ、」
急に暴れ始めたことに驚いたのか、第二皇子は焦ったように声を上げておれの暴走を止めようと力を駆使した。ドタバタッという音の中、バランスを崩したおれはベッドに背中からダイブする。ドサッという衝撃と共に、口から離された手。解放された!と思ったが、その代わり手足がピクリとも動かなかった。そっと目を開くと、目の前には思わず「うぇっ!?」と声を上げてしまうほどの美貌が。両手はシーツに縫い付けられ、足は見事に絡め取られている。
「暴れんな」
「っ…」
全身で感じる殺気。薄暗い中で光るアウイナイトの瞳が酷く恐ろしく、おれは呼吸をすることさえも忘れてしまっていた。
「話をしに来た。《アルムグリスト》についてだ」
「へ…」
淡々とそう言った第二皇子。
おれの部屋を訪ねたのは、どうやらおれを連れ去るためではなかったらしい。勘違いも甚だしいな…。
頬がほんのり赤くなっていくのが分かる。
「《アルムグリスト》の目的はおまえだ。何のために、とまでは分かっていねぇけど、裏で大きな何かが動いてるのは間違いねぇ。手始めに、シルヴェストル魔法学院にいる裏切り者の口を割る」
その言葉に、モルガナイトの双眸を大きく見開く。
シルヴェストル魔法学院に裏切り者がいるかもしれないという、おれの読みは当たっていたんだ…!
《濡鴉》の長が動き出した。それがどれだけ大きなことなのか。《アルムグリスト》はそれだけ危険な存在というわけだ。
「おまえはシルヴェストル魔法学院の教師だったよな?」
「は、はい」
「おれが送る部下と一緒に《アルムグリスト》と繋がっている裏切り者を割り出せ」
「っ…」
ドクン、ドクン、と第二皇子が言葉を発する度に心臓が跳ねる。
イケメン過ぎだし、この体勢は何かとまずい…!だけど今はそんなこと言っている場合じゃない!
おれは覚悟を決めたように頷いた。
「分かりました」
「…頼んだぞ」
第二皇子の言葉に、更にもう二回頷いて見せた。
断じて、断じて!第二皇子の部下のイケメン顔が見たいとかいう理由ではない!!!
ふんすふんす、と鼻息を荒くしているおれを不安そうに見つめる第二皇子がいたとは知らず…。
「じゃあ俺はこれで、」
「あぁっ…」
「!?」
おれの上から退こうとするためかモゾッと動いた第二皇子。その足が、イケナイ場所に当たってしまい、思わずおれは声を出してしまった。口を塞ぎたくとも塞げない。第二皇子に拘束されてしまっているから。
「な、なんつー声出すんだよっ…」
「ふ、不可抗力です!」
そう訴えた後、雪のように白い頬がほんのりと赤く染まっているのを見て、ドキッと胸が高鳴る。
そ、そっちこそ何て顔をしてるんですか!?堪んねぇな!!!と叫んでやりたい。
第二皇子の照れ顔に、おれの中の小さな小さな加虐心がこんちはー、と顔を覗かせる。辛うじて自由になった右足の膝辺りで、第二皇子の股をクイッと刺激してみた。
「んくっ…!」
「お、おぉ…」
可愛らしい声を上げて、ビクッと体を跳ね上がらせた第二皇子。数秒した後、更に顔を真っ赤にさせた第二皇子がおれを睨みつけた。
「おまえ…」
「第二皇子は敏感なんですね~」
ニタァ、と気色の悪い笑みを浮かべる。おれの腕を拘束する力が強まり、イラついているのが感じて取れた。これ以上はまずいか?と思いつつも、さっきのエッチな顔と声が忘れられない。もう一回だけ…と魔が差したおれは、第二皇子の股にそっと足を伸ばした。
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時計の針は、十二の数字を指す。なかなか眠る気になれなかったおれは、ベッドの上で魔法書を読んで時間を持て余していた。ここはもっとこうした方が効率がいいだとか、威力が上がるだとか、魔法書にあれこれと文句をつけているところ、大窓がコンコンとノックをされたのに気づいた。
「…………?」
気のせいだと結論づけたおれは、再び視線を魔法書へと戻す。しかし、数秒してまたコンコンとノック音が聞こえる。
もしかして、また変な輩がおれを攫いに来たわけ?いやいや、そもそもここは皇宮だ。そんじゃそこらの下っ端共では侵入できるわけがない。じゃあ、一体誰が…?
おれは恐る恐るベッドから下りて、足音を魔法で完全に消し、大窓の傍まで寄る。カーテンの隙間から覗くように外を見ると、月光に輝くプラチナブロンドの髪が風に靡いた。
「第二皇子ーっ!?!?!?」
大声で叫びながら、バッとカーテンを思いっきり開いたおれ。何と、大窓の向こう側にいたのは、第二皇子だったのだ。第二皇子はギョッとした顔をしたが、すぐに呆れたように溜息をついた。ここを開けろ、と手で合図を出した第二皇子に向かって、おれは首が取れそうになるくらいに頷いた。すぐに解錠して、重々しい大窓をガシャンッと開く。
「ほんもn…んんッ!?」
本物ですよね!?という言葉は、第二皇子の手に吸い込まれる。口を塞がれたおれは、何が起きているんだと目を見開くことしかできなかった。
もしや、第二皇子がおれを攫いに来たの?《アルムグリスト》と手を組んでるの!?イケメンだからって騙されちゃったわけおれは!!!
パニックになって、バタバタと手足を振り回して暴れるおれ。
「ちょっ、バカッ…おまえっ、」
急に暴れ始めたことに驚いたのか、第二皇子は焦ったように声を上げておれの暴走を止めようと力を駆使した。ドタバタッという音の中、バランスを崩したおれはベッドに背中からダイブする。ドサッという衝撃と共に、口から離された手。解放された!と思ったが、その代わり手足がピクリとも動かなかった。そっと目を開くと、目の前には思わず「うぇっ!?」と声を上げてしまうほどの美貌が。両手はシーツに縫い付けられ、足は見事に絡め取られている。
「暴れんな」
「っ…」
全身で感じる殺気。薄暗い中で光るアウイナイトの瞳が酷く恐ろしく、おれは呼吸をすることさえも忘れてしまっていた。
「話をしに来た。《アルムグリスト》についてだ」
「へ…」
淡々とそう言った第二皇子。
おれの部屋を訪ねたのは、どうやらおれを連れ去るためではなかったらしい。勘違いも甚だしいな…。
頬がほんのり赤くなっていくのが分かる。
「《アルムグリスト》の目的はおまえだ。何のために、とまでは分かっていねぇけど、裏で大きな何かが動いてるのは間違いねぇ。手始めに、シルヴェストル魔法学院にいる裏切り者の口を割る」
その言葉に、モルガナイトの双眸を大きく見開く。
シルヴェストル魔法学院に裏切り者がいるかもしれないという、おれの読みは当たっていたんだ…!
《濡鴉》の長が動き出した。それがどれだけ大きなことなのか。《アルムグリスト》はそれだけ危険な存在というわけだ。
「おまえはシルヴェストル魔法学院の教師だったよな?」
「は、はい」
「おれが送る部下と一緒に《アルムグリスト》と繋がっている裏切り者を割り出せ」
「っ…」
ドクン、ドクン、と第二皇子が言葉を発する度に心臓が跳ねる。
イケメン過ぎだし、この体勢は何かとまずい…!だけど今はそんなこと言っている場合じゃない!
おれは覚悟を決めたように頷いた。
「分かりました」
「…頼んだぞ」
第二皇子の言葉に、更にもう二回頷いて見せた。
断じて、断じて!第二皇子の部下のイケメン顔が見たいとかいう理由ではない!!!
ふんすふんす、と鼻息を荒くしているおれを不安そうに見つめる第二皇子がいたとは知らず…。
「じゃあ俺はこれで、」
「あぁっ…」
「!?」
おれの上から退こうとするためかモゾッと動いた第二皇子。その足が、イケナイ場所に当たってしまい、思わずおれは声を出してしまった。口を塞ぎたくとも塞げない。第二皇子に拘束されてしまっているから。
「な、なんつー声出すんだよっ…」
「ふ、不可抗力です!」
そう訴えた後、雪のように白い頬がほんのりと赤く染まっているのを見て、ドキッと胸が高鳴る。
そ、そっちこそ何て顔をしてるんですか!?堪んねぇな!!!と叫んでやりたい。
第二皇子の照れ顔に、おれの中の小さな小さな加虐心がこんちはー、と顔を覗かせる。辛うじて自由になった右足の膝辺りで、第二皇子の股をクイッと刺激してみた。
「んくっ…!」
「お、おぉ…」
可愛らしい声を上げて、ビクッと体を跳ね上がらせた第二皇子。数秒した後、更に顔を真っ赤にさせた第二皇子がおれを睨みつけた。
「おまえ…」
「第二皇子は敏感なんですね~」
ニタァ、と気色の悪い笑みを浮かべる。おれの腕を拘束する力が強まり、イラついているのが感じて取れた。これ以上はまずいか?と思いつつも、さっきのエッチな顔と声が忘れられない。もう一回だけ…と魔が差したおれは、第二皇子の股にそっと足を伸ばした。
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