海賊団に攫われた貧民〖イラストあり〗

〖209〗ため息と命令

「ん·····またイッちゃいましたか？」


吸いながら離れた唇が問う。


「あ♡ふ、♡」


息をする間もなかった。
こっちを見下ろしていたテイラーがタイをゆるめる。
彼は目が合うと、恍惚と微笑んだ。


「なんだ·····"彼"でなくても良かったんですね」


声音には悦びが滲んでいた。
腰を掴まれて始めて、自ら彼の膝に股を押し付けていたことに気付かされた。


「そんなに急かさなくとも、すごくヨくして差し上げますよ」


伸びてきた人差し指が、首から顎をそっとくすぐる。
猫を撫でるみたいな手つきだ。

彼はベルトだけを外し、服を着崩さないままのし上がってくる。


「昨日の遊戯を忘れるほど·····」

「へ·····っ？」


蕾に当てられたのは熱い彼自身だった。


「ま·····──·····っ·····あ·····、っ·····、？」


ぐっぽり亀頭が収まる。
昨夜のせいでまだ柔らかい穴だ。彼は呆れたようなため息をついて、それ以上奥へは挿入ってこなかった。

かがみこんできて、首を傾げる。
キスをされると予感する──が、唇は首筋にうずめられた。


「や、ぁっ」


シオンはびくりと飛び上がった。
強く噛み付かれた。

拍子に、挿し込まれた重みが体を揺さぶる。
えも言えぬ快感が身体を駆け抜けた。


「はぅ♡」


今度こそ唇を塞がれた。
反応する度、腹の入口から熱が拡がっては、消えてゆく。

乳首を弾かれ、シオンは静かに絶頂した。
きゅうと締め付けた棒は、入口だけをきつく塞いで、奥を満たしてはくれない。


「あ·····♡ぁ、ぅぅ·····♡」

「欲しければ動いてください」


彼は少し乱れた髪をかきあげ言った。


「自ら腰を振って、好きなところに擦り付けて」


辛うじてみにつけていたシャツを剥かれると、素っ裸になってしまった。
スーツを着こなしたテイラーと、彼の前に股を広げる裸の自分。惨めな状況よりも、満たされない腹の中が悲しいことに気付かされる。

唇が乳頭を吸う。
快楽は蕾と繋がって、キリのない心地良さに変わる。