悪魔皇子達のイケニエ

re.《３７１》

思わず彼の腕にしがみついたら、全然力は効かないのに、止まってくれた。


｢やめて｣


逃げ出したくてたまらなくなって、鳴き声に混ぜて何とか呟く。

ドキドキして変だ。
好きって言ったのは、ハインツェの事じゃない。
それなのになぜ否定できないのか？

真剣な眼差しや切ない美貌に、みぞおちの辺りが痛い。
こっちが追い詰められて虐められているほうなのに、今だけは、否定したら、それだけでこの恐ろしい悪魔を奈落に落とす気がした。

力の差は圧倒的だ。
彼の命令も絶対の関係なのに、なぜそんなふうに感じるのか、分からなかった。


｢なぁ、分かってんの？｣


わけも分からないまま、慌てて頷くしかなかった。

その後、バスケットはジェロンつてに戻ってきて、ルビーの元へ届けることが出来た。
ミチルは自室で待機する他なかった。旦那たちのせいだ。

ヨハネスも変だけど、彼はもっとおかしくなってしまった。


｢ん、·····っ｣


とろりと溢れた気配に、どうしようもなくてベットへ寝転がる。

悶々としてる。
そりゃ、いやらしい事をされ続けて、それなのに発散できないんだから、仕方ないじゃないか。

等身大より少し小さな枕を抱きしめる。
そしてうつ伏せのままそれに股を押し付けたのは、成り行きと出来心からだった。


｢·····♡｣


初めは、く、と、軽く押し付けるように。
それから、押し付けたままそっと擦り合わせる。

情けない格好。恥ずべき行為だ。
発情させられた身体は辞めることが出来ない。


｢ン、♡·····ッ♡｣


枕の上に馬乗りするようにして、陰茎から、それより後ろをそこに摩擦する。
だいたいにして、欲求不満なのは自分のせいじゃない。
だから、体をまさぐったり、何度も噛み付いたり、いやらしいキスをしてきた旦那たちのせいなのだ。


｢ミャン··········♡｣


思い出したらきゅうと子宮が疼いた。

奥に欲しくて、さらに強く枕を押し付ける。
思ったよりも刺激が強くなって、びっくりして尻を突き上げる。しかしまたすぐに物足りなくなって、腰を前後に動かし始める。

夢中になっていたから、扉のノックの音に気が付かないのは仕方の無いことだった。