悪魔皇子達のイケニエ

re.《３８３》

｢きもちいね、ミーちゃん♡｣


不意に耳元に囁かれて、ビクリと肩口が震える。

声変わりする前の少年のものだ。それなのに近くで聴くと、少し掠れたそれが、鼓膜を撫でるみたいな刺激をもたらす。

そっと離れた唇をぼうっと見ていたことに気がついて、ハッとしてすぐに目をそらす。
こんなキス、なんか、ダメだ。


｢ぅ｣

｢ん·····もっと·····♪｣

｢ふ、ぁ、らめ·····ッ·····──ン·····ッ♡｣


吸い付かれるようにして唇が密着する。

自分とほぼ変わらない体型が体重をかけるみたいにしてキスを続行してくる。
口の中は好きに遊ばれて、蕩けているのにビクビク震えるのだ。


(また·····っ)


また前の、危ない予感。
続けられたら、キスだけでなにか来てしまいそうな、耐え難い危機感だ。


｢ゃン·····ッ♡｣


舌を吸われながら口が離れていったら、だらしなくヨダレが垂れてしまった。
ビクビク麻痺する口内を味わって、視界が濡れる。

イきそうだった。


｢お顔、可愛い·····♡だいすき｣

｢ふニャッ、？♡♡｣


半開きの唇から、とろけた舌が怠け出ていたらしい。
その腹にキスをおとされて、引っこめようとするのに言う事を聞かない。
伸びた舌から唾液が滴ったら、｢えへへ｣と、笑い方は愛らしく、相手は熱の篭った眼差しを歪めた。


｢おねだり？｣

｢ぁ、ち、ニャぅッ♡｣


舌をすくわれるようにして、またキスが再開した。

さっきより激しい。
濡れた唇に視界が惚ける。

体が沈んで、数秒かけて、ベットに倒れてしまったのだと気がつく。
じゃれ合うみたいなキスは、彼に押し倒されたまま続いた。


｢ん·····♡ん、ぅ·····♡───ふぁ、ッ？！♡｣


思わず、裏返った声が漏れた。
最も敏感なところを、むに、と、押し上げられたのだ。

スリーパーに入り込んで、股の間を目掛けたルビーの手だった。
その中指と薬指の先が、下着越しに入口を撫でるではないか。

ゾクゾクした快感と混乱にパニックになりながら、よく分からないままダメと繰り返す。

だって、そんなところ触るなんて有り得ない。


｢ぁ、ぁ♡だめっ♡｣