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re.《375》
しおりを挟む電報を受け取った彼らは、災害の事実と、魔術が解除されたことを予想して、早速その根源を始末しに行ったのだ。
ルビーだ。
(だめ·····!!!!)
何度か転びかけながら廊下を進んで、とうとう下り階段で足を引っかけるが、ぴょんと飛び跳ねて着地。過保護なジェロンが見たら発狂モノだ。
何度か繰り返した頃、地下まで到着する。
空気は一段と冷たくなって、心臓はバクバクと煩い。
何度も通って見知った廊下を、息も絶え絶えに突き進む。
角を曲がった時、すぐ先で、ガァンと硬い音が轟いた。
頑丈な施錠が、強行突破されたのだ。
「駄目·····!!」
やっと見つけた、大切な家族。
これから沢山愛情を注いでやらなければいけない我が子なのだ。
煙のあがる扉を、何も見えないまま飛び越える。
どうか間に合ってくれ。
その一心で開けた視界の向こうに、広い背中が2つ。
ぶつかりかけ、立ち止まったミチルは、数秒先に来ていたふたりと同じく顔を顰めた。
「子供·····?」
冷たい桜色の髪と、それを水面に散らしたような色の瞳。
そこには天使と見紛うような、7、8歳程度の少年が佇んでいて、彼はこちらを見ると、まるでミチルだけに微笑んだ。
「ミーちゃん、待ってた」
部屋の異常はルシフェルへ伝く仕組みになっているようだ。
その後直ぐに現れた彼によって全員の無事は確保され、謎の少年の正体は幼体化したルビーだと判明した。
大量のマナを放出したルビーは、身を小さくすることによって負担を軽減させているらしい。
保護されたルビーは意外にも大人しくて、少し疲れた顔をしていたように思う。
彼は言葉を交わすより先に別の部屋へ移され、此処に残ったのは、殺意をむきだしにしたままの悪魔二人と、その兄であり普段より冷たい印象のする天界の悪魔、そして置いてけぼりの自分だけだった。
アヴェルとハインツェは、今回の報せを、ルビーによる新たな攻撃だと誤認したらしい。
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優しくされていたから、こんなにも冷たい表情は初めてだ。
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