637 / 715
re.《349》我慢できない
しおりを挟むしかしあんなところを子に見せる親は、親失格ではないか?
そうして困惑しながら頬を染め、立ち上がった乳頭で服を押し上げているあられもない姿を、相手のじっとりした視線が舐めまわしていることを、ミチルは知らない。
絡め取られた手は解けない。
じっとり湿って熱い。
「もう、我慢できないよ·····」
(分かんない)
そっと微笑みかけてくれていた彼は今も、ひもじい思いをしているのだろうか。
それなのにルビーは、レイモンドの呪いをとくために、また力を行使し、己の血をすり減らす。
「ミーちゃん·····♡かわいい·····」
こちらの手を握りながら、悶えるような熱視線がそこを見ている。
お預けを食らって、餌カゴの周りをぐるぐる回る犬を思いだす。
「食べたい·····♡」
「見ちゃ、♡だめ·····ッ」
「·····どうして·····?」
恥ずかしくて、顔が熱い。
それなのにそこはキュンキュンひくついて、軽くイッた余韻に泣いている。
「·····キスしよ?」
キラキラ光る水面と桜色が迫ってくる。
「·····良いでしょう?」
まるで、違うところを食べられないのを我慢するためにおしゃぶりを求める赤ん坊みたいなのだ。
長いキスがつづいた。
何度逃げようとしても、甘く舌を吸い取られ、吐息の微笑に名前を呼ばれる。
(もぅ、だめ)
「んちゅ·····♡ふぁ·····♡んぅ♡·····ッ♡」
(ナカ、熱い·····♡)
唇を離さたころ、口内には感覚がなかった。
媚薬と麻酔を打たれた気分だ。
(あつくって·····おかしくなっちゃ·····)
「ぁんッ♡」
ほうけているうちに、へそへキスを落とされる。
濡れて、弾けたリップ音には覚えがある。
何度もされながら、荒い吐息や、時折鼻から抜ける声をこぼしてしまう。
こんなの食事じゃない。
こんなの·····─────。
「ね·····ここにも、キスしていい·····?」
「ふへ、♡、?」
「服の上から、優しくするから·····」
濃くなった瞳が見下ろした場所は、布がピッタリくっついて、形が丸見えだ。
首を振ろうとしたミチルはぎくりとする。
高い鼻が、たしかに、その傍で息を吸い込んだのだ。
121
お気に入りに追加
2,170
あなたにおすすめの小説
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。
あおい
恋愛
貴方に愛を伝えてもほぼ無意味だと私は気づきました。婚約相手は学園に入ってから、ずっと沢山の女性と遊んでばかり。それに加えて、私に沢山の暴言を仰った。政略婚約は母を見て大変だと知っていたので、愛のある結婚をしようと努力したつもりでしたが、貴方には届きませんでしたね。もう、諦めますわ。
貴方の為に着飾る事も、髪を伸ばす事も、止めます。私も自由にしたいので貴方も好きにおやりになって。
…あの、今更謝るなんてどういうつもりなんです?
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ピーターパン協会、ただいま隊員募集中!
鍵谷端哉
ライト文芸
可憐で純粋な少女を愛でる組織であるピーターパン協会。
そこに所属している新藤ナツは、初恋の女の子を探していた。
少年の心を忘れず、少女が大人になるのを阻止するという理念を持ったピーターパン協会。
保護対象となる女の子を遠くから見守り、時には言い寄る男を影で抹消するという活動だ。
その活動内容は、ナツにとって天職と言えるほど合っていた。
ナツを慕う後輩の如月カオルと共に、ピーターパン協会の活動を日々こなしていく中、ナツは朝霧ホノカという少女に出会う。
その出会いがナツの運命を大きく変えていくことになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる