悪魔皇子達のイケニエ

re.《３３９》夫

吐息混じりのほほえみが恥ずかしい。驚くほど大きな手が伸びてきて、それを絡めとった。


「ぁ·····ッ♡」

「粘り気が強いね。今度は誰を思い浮かべていたんだ？」

「ぁ♡だめぇ·····♡」


自身の陰茎よりも太くて長い指が、クプクプと潜り込んでゆく。

赤らんだ下腹部が引き攣る。
侮辱され、こんなに恥ずかしい姿を晒しながら、そこは美味そうに中指を咥える。


「はぁ♡ぁ♡はぁ♡はぁ♡」


何度も浅く呼吸を繰り返す。
彼のが、ナカで小さく前後運動を始めたのだ。


「どれ程自慰に耽れば、こんなにも蕩けてしまうんだろうね」

「ひぅん♡」

「或いは誰かを想いながら、余程懸命にナカを掻き混ぜたんだろう」

「ふぁぁぁ·····♡♡や·····ッ♡ぁぁん·····♡」


激しくなってゆく指使いを、卑しい格好のまま見守ることしか出来ない。


「らめ♡ぁ♡ゃ、♡はぅン♡はぁ♡あ♡ぁ♡あ♡」


ダリアの指だ。
血管の浮かんだ腕は飛び散る愛液に濡れてゆく。グーパーしていた手で口元を抑えようとするも、こちらを仰ぎ見たバイオレットはそれを見逃さなかった。


「手は後ろに回しなさい」

「·····ッ♡」


拘束される訳でもない。自らこうするのは、とても困難なことだ。

開いていた脚が震え出す。
絶頂してしまいそうだ。
しかし、相手は突如動きを止めた。


「へぅ、♡？」

「自分の指でここを慰めるのは、物足りなかったんじゃないかい？」


撫でる第二関節に、入口がチュウと吸い付いて、振りほどかれる。
溢れ出す愛液が机を汚しているのは、確認するまでもない。
眺められているだけで絶頂してしまいそうだ。


「ふ、ぅ·····♡もぅ、♡ッ·····♡」

「·····"もう"、何だい？」


欲望のまま口に出来たら、どれだけ良いだろうか。 

けれど、もう自分にはできない。精一杯の思いを勇気に、下品に口にした願いは、いつかの日、酷くなぶられて捨てられた。

問い掛けには、抑えきれない恥辱心で涙が溢れ出した。


「！」


無理やり相手を見あげさせられる。

与えられたキスは驚くほど甘い。視界はぼやけたまま、官能的な下に夢中になる。
そのまま、弱く絶頂していた。


「どんなに健気に想ったところで·····お前の一番の夫は、この俺だよ」