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re.《335》命令
しおりを挟む何が好きで何が嫌いか、どんな人物なのか、知るのは当たり前じゃないか。
「能力の為に血族主義を重んじるが、それ以上でも以下でもない。悪魔は個だ」
こちらの不満を知ってか知らずか、彼が告げる。
そんな決まり、誰が作ったのだろう。
子供は愛情を必要とする。そんなこと、個であるとかないとか、関係ない。
「ルビーは·····」
「そうか」
ミチルはパッと相手を見返した。
語尾が笑っている気がしたからだ。
少し疲れて、嫌な感じのする笑い方。反射的に確認しようとしてしまって、慌てて俯く。
相手が椅子を引く気配がする。立ち上がるのかと思ったが、招かれたのはこちらの方だった。
「おいで」
「·····」
初めの頃と同じ場所。
彼は覚えているだろうか?
「お前が母親である前に誰の伴侶(モノ)であるのか、今一度教える必要がありそうだ」
淡い思い出を振り返るのは、冷たい声に遮断された。
「服を脱ぎなさい」
彼が告げれば、それはもう決定事項だ。
ルビーが懇願の果てに手に入れた光景も、ダリアの前では自ら見せなければいけない。
シャツを脱ぐ、そのボタンの一つ一つまで監視される。残った下着に手をかけた頃には、身体は熱くて、そして緊張で震えていた。
ブルーバイオレットの瞳が、一挙一動を見逃さぬように見つめていたからだ。
「どうした?」
促されて、ついに下着を下ろす。
青いリボンが着いたやつだ。
どうしようかと、足を組みなおすダリアは、冷たい瞳でこちらを眺めていた。
「自慰したのかい?」
臭いか、あるいは肥大化した乳頭のせいだろう。
視線を迷わせた後、ミチルは頷いた。
本当は自慰さえまともに出来なくて欲求不満だが、ルビーにされたなんて、言えない。
「·····」
「!」
相手が無言のまま立ち上がると、頭上に影ができた。
思わず身構えたくなる。あまりに大きな体格差は、彼がどれだけ知的な男だとしても、本能で恐ろしい。
「机に手を付いて」
指示を受けて、言われるがまま裸になり、挿入されるためだけに彼を待つ。そんな、悲しい現実だ。
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