悪魔皇子達のイケニエ

亜依流.@.@

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re.《286》軋み

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まるで、好きな子と2人きりじゃないと拗ねて口を聞かない、幼稚な子供そのものの考え方で、後先も考えていない。

ミチルに拘り、執着しているのは間違いない。


「ミチルに全てを託すも同然の呪いさ。恐らく彼は」


───他の何を侵したとしても、ミチルに危害を加えることは"出来ない"。

これは、確信と呼んでも良いだろう。

幼い子供のようで、しかし幼い子供が浪費するには呆れて言葉も出ないほど、恐ろしく莫大な力の無駄遣い。
青年の目的は益々分からなくなる。


「野良犬が····人の伴侶になんの用があるって言うんだ」


独占欲を剥き出しにしたアヴェルは、敵を完全に嫌悪しているらしい。
その条件こそ彼の望みであるかのように思えているのだろう。


「勿論、"私のこと"についてはお伝えしない方向で───」


ギィ。


控えめに響いたきしみを全員が振り返る。

扉の隙間から、潤ったピンクが覗いている。
その場の男たちは皆思わず気を緩めかけ、それから顔を見合せた。

恐らく、少し前から聞かれていたようだ。


「·····入りなさい」


なぜまた、1人で部屋の外を彷徨いているのか。そういう説教は、仕方が無いので今は見逃す。

ルシフェルとコンタクトを取り、ダリアは他の3人の皇子を解散させた。
彼らは各領地へ向かい、土地の安否や異常を把握する必要がある。


「コイツに何かあったら、ただじゃおかねえぞ」


そう吐き捨てて去ったアヴェルの言葉は、かえってミチルを怖がらせたらしい。
ミチルはビクリと肩を震わせ、テレポートから城外へ移動する三人を見守っていた。




















「野良ギルド未登録能力者の襲撃があった」


いまは捕らえられ、地下にいるという。

静かになった部屋。
定めるようにこちらを眺めるダリアの片眉が、ほんの数ミリ歪む。


「どこから聴いていた?」


まるで、裏取引をしていたマフィアに見つかって、目撃者として処分されてしまう役柄になった気分だ。

さっきの話とギルドの愉快犯は同一人物だったらしい。


盗み聞きしていたのはバツが悪いが、おかげで大体のことを把握できた。
















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