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re.《281》
しおりを挟む尻を鷲掴みした指が、下着に忍び込みながら柔らかみを揉んでくる。
「柔けぇ·····」
「ん、·····っ♡」
またキスされてしまう。
舌と舌を撫で合うような口付けは、敏感になった口の粘膜に良くない。
いつの間にか押し広げるようにして揉みしだかれる尻が、熱くてたまらない。
それでも、しばらくそうされるまま時計の針は秒を刻んだ。
アヴェルのことは考えないようにしていた。
また気まぐれだと思うようにしていた。
それでも、鋭い金色がこちらを射止めて、単純な告白をするから、動揺してしまう。
(おなか、熱い)
彼のマナに当てられて全身が熱い。
本当にそれだけだろうか。
(また濡れてきたの、バレちゃう)
でも、彼は、この身体が濡れると、喜びをにじませるように微笑むのだ。
「ゃ·····♡ん、ふ·····♡·····ニャン·····♡」
ずらされた下着。
とうとう、彼との触れ合いで濡らしていたのがバレてしまう。
そう思った時だった。
────高いベルの音が鳴った。
廊下から少し早歩きな足音、次いでノックの音。
無視して続行しようとするアヴェルだが、使用人が彼を呼ぶ声には緊張が滲んでいる。
何かあったのだ。
嫌な予感と伝染った緊張に苛まれ、アヴェルを見上げる。
「··········」
彼はむくりと起き上がって、脱ぎかけていたシャツを羽織った。
「すぐ戻る」
「!」
ちょっと強く頭をヨシヨシされ、羽毛をかけられる。
薄着だけど寒くはない。
「おい、うるせえな。ちょっと待ってろ」
「ですが·····────」
扉の向こうの使用人と話していたアヴェルは、やがて彼に呼ばれたジェロンがやって来ると、さっさと出ていってしまった。
もしかして、不安な顔をしたから、少しでも1人にしないようにしてくれたのだろうか。
考えたミチルは、すぐにかぶりを振った。
アヴェルはそんなに器用な男じゃない。
それに、ひとりが怖いなんて言ったこともないし、彼は自分のことをほとんど知らない。
だから一人取り残されることがどんなに心細いかなんて、分かるはずない。
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