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re.《155》口付け
しおりを挟むツキリと、変な胸の痛みを覚える。
潔癖な感じのする眉が、不愉快よりも虚しく歪んだ気がした。
「一介の使用人を気にする必要はありません」
次にはレイモンドに肩を抱かれ、ベットへ身を預けていた。
ジェロンはいつも無愛想だ。
声が優しくなったって、まれに眼差しが熱くなったって、微笑むことは数える程もない。
それでも今こちらを見ている視線が、くらい影を落としていることは気のせいではない。
「私のマッサージがお気に召していただけるよう、精一杯ご奉仕させていただきます」
こちらの足先へ口付けを落とした唇から視線を逸らす。
「先程の無礼をお許しください」
そんな気は全くなさそうな癖をして、美しい顔は申し訳なさそうに傾いた。
唇はじれったいほど優しく、くるぶしから順にキスを弾けさせる。
どうにでもなれと思っていたのに、こんなことは不必要だ。不意に内腿に甘噛みされ、飛び上がったら、相手の肩口から紫の髪が見えた。
「ふぁ♡」
「·····なるほど」
こちらを仰ぎ見たグレイに、ゾクリと、恐怖に似た快感がかけてゆく。
「観られているだけでも善いのですか?あるいは·····」
「彼が気になるのですね」と、耳元で囁く低音に、また甘液が漏れ出す。
それを確認して、微笑む吐息が首筋へ注がれる。
ベストを脱ぎシャツを乱したら、先程まで指導を気取っていた男からは、背徳的な色気が露呈した。
「それならば、もう少しこの状況を楽しみましょうか」
どうやら悪魔界には、家門や職業以外にも、何らかの称号や、或いは能力による格付けが存在するらしい。
天界でルシフェルに仕えていたレイモンドは、この屋敷で「教育係」という肩書き以上の力を持っている。
彼がその権力を押し通せば、普段いがみ合うジェロンの方は、無理に逆らうことが出来ないということだ。
「ぁ♡」
乳頭に吸いつかれて、甘ったるい声が漏れる。
「柔らかく食んだだけなのに」と低い男の声が告げる。
そこはプクりと腫れて、痒みに似た疼きを纏っている。
繰り返し音を立てて弄ばれるうち、飛び出た兎耳が震え出した。
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