悪魔皇子達のイケニエ

re.《６４》黒豹

褐色の腕が荒々しく腰を掴み、汗ばんだシャツを脱がせようとする。


「ァ、だめっ·····」

「ほら、よそ見しない」


小さく呟くが、口元には、こちらを抱き寄せていたハインツェの指が差し込まれた。


「えぅッ」


長い指は舌の上をズリズリ撫でて、ときに指と指で挟み込んだりしながら口内を弄ぶ。

シャツは肩口を露出させ、最終的にボタンなんて無視されて剥ぎ取られてしまう。後ろの男に下着が濡れてることを指摘されると、唾液を滴らせながら、目の奥が熱くなった。


「お口も気持ちぃの、チル·····それとも牙が良かったのかなぁ·····」

「ん、♡ぁ、う"♡」

「可愛いね·····舌出してごらん」

「ニャ·····♡」


後ろの男に尻を揉みしだかれているせいか、彼らの媚薬のせいか、本来なら最悪のいじめっ子の声がとろけるほど優しく聞こえる。

言う通りにして舌を突き出す。
なんてことない。彼はそっと舌を吸い取って、あやすようなキスを開始した。


「ン·····♡ん、ふ♡」


ライムグリーンの瞳は恍惚とした輝きをのぞかせる。
寝起きを襲われたのに、おかしいじゃないか。

愛でられていると感じてしまうなんて。


「いい子でお留守番してた？」

「ゃう♡」


そっと唇を放されて、問いかけられる。

濡れた皮膚が恥ずかしい。
行き場をなくした視線をさ迷わせながら、返答を促されて頷く。
そうしたら、本来こちらを虐め倒してきていた手が、お利口だと、頭を撫でた。

ミチルはわけがわからないまま黙りこくった。
この前から、やっぱりこのイジメっ子はおかしい。


「·····発情した臭いプンプンさせやがって·····」

「！」


尻を鷲掴みしていた手に力が入る。
じっとり湿った尻の頬から、10本の指は少しずつ内側へ進み、そこを押し広げた。

よく見えないから尻を突き出せなんて言われるが、散々臭うと罵られて出来るわけが無い。
首を振ると、視界の端に高い鼻が見えた。


「·····おい·····んなに勿体ぶって、楽しいか？あ？」


低い声は、怖いのにゾクゾクする。
思わずキュンと疼いたそこに、硬い熱気が押し付けられた。


「ハインツェそいつには随分可愛いマネするじゃねえか」


くるぶしを強く掴まれる。
少し痛い。

なんだか怒っているみたいだ。


「お前から誘ってきたんだろうが」