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196.おもちゃの指
しおりを挟む「·····???」
ぺちぺちと頬を叩いてみるも、瞼は重く閉じたまま。
意識を無くしたはずの腕はこちらの腰をがっしりホールドしている。
困惑して部屋を見渡したミチルは、最終的に下敷きになった男へ視線を戻した。
間違いでなければ、恐らくレイモンドの分体に乗り移っていた、アビス・サタンの意識。
一体、そんなことが有り得るのだろうか?
あまりに非現実的だった思い出を疑い始めたところで、ギクリと動きを止める。
逃げ出そうとして身をよじったら、内側からゾクゾクした気分を味わったのだ。
「·····、?♡·····ッ」
そっと姿勢を低くして、お尻だけ動かしてみる。
「ニャ·····ッ、?♡」
孔を何かが貫通している。
細長いが、存在を主張するような凸凹のある物質だ。
これは、意識を無くす前に挿入されていた中指だ。
正体を突き止めると、ミチルは泣きたくなった。犯人はこの状況を放ったらかしにして消えてしまったのだから当然だ。
しかし涙している場合では無い。
何とかして引き抜いて、彼の腕の中から逃げなければ。
色んな方向に力を入れて脱出を図る。
やはりビクともしなくて、むしろこっちが辛くなるだけだ。
「はぅ·····♡」
思わず重たい吐息が漏れる。
イきそうだったところで焦らされて、さっきまで口内を存分に侵された。
それで今は、動けば意図せず快楽を拾ってしまっている。
ミチルはそっと腰を持ち上げてみた。
「·····ッ♡」
もどかしい快感が足の先まで駆けてゆく。
溢れる愛液が逞しい素肌の上でぱちゃぱちゃ鳴るのを聴きながら、いつの間にか、自ら腰を揺らしていた。
「ン、ぅ♡ん、にゃう·····♡·····ッ♡」
力の入らない指だが、それでも硬くて、自分のとは全く違う。
腰だけ振るから、疲れてきた腿が震える。そうするとさっきとはまた違う気持ちよさに涎が垂れる。
こんなことをしてはダメだ。
レイモンドを変態だ最低だと言える立場ではない。
(でも·····っ)
その変態の指で1人遊戯をしながら、ミチルはひたすら声を押し殺した。
「ぁ·····♡」
指の先が少し動いた気がした。
予期せぬ出来事に甘声がこぼれるが、それきり玩具は動かなくなる。
「はぁ♡あぅ·····♡」
切なくて裸の体を相手に擦り付ける。
人の温もりに似た温かさを感じる。ゴツゴツする身体に擦り寄りながら、必死に腰を振った。
しばらくしてミチルは動きをとめた。
イけそうなのに、下半身が言うことを聞かない。
相手の胴体を伝った蜜がシーツを汚す。
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