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しおりを挟む誰にも渡したくない。優介が泣いて嫌がったとしても、彼の幸せを壊すとしても、彼が欲しかった。
3年の寮についた司は、エレベーターを待ちきれず階段をかけ上がった。
迷うことなく翔の部屋へ進む。
荒々しく扉を叩く。強行突破を試みようかと考えた頃、短い解錠音が鳴った。
開けられた扉の先に現れたのは、スラックスと乱れたシャツ姿の翔だった。
司は翔を強く睨みつけた。
「優介を渡せ」
対して、彼はふっとほくそ笑む。
「この様子を見て、よくもまだそんなことが言えるな?」
扉の角に体を寄せ、翔はチラと後ろを振り返った。
この先の光景は見ずとも想像することが出来る。怒りに拳を震わせる司を眺め、翔は続けた。
「いつものように力づくで止めたって無駄だ。優介はもう俺のものさ」
かわいた笑い声と共に、司は湧き上がる憤りを吐き出す。
身体を重ねるうち、優介が自分を好きになるような気がしていた。
自分が優介に惹かれたように、彼もまた自分を特別に思ってくれると───さんざん痛めつけておいて、なんと滑稽な思い上がりだろうか。
司は翔の肩を押し、無理やりに室内へ入っていった。
ベットの上に優介が横たわっていた。熟れた身体は、熱を持て余すようにぐっしょりとと濡れていた。
「先輩·····?」
優介は、朦朧とする意識の中で、目の前の男に呼びかける。
幻覚だろうか。?腕を伸ばす力はなかった。
「お前の入る余地はない。解ったなら、早くここから·····」
出ていけ、と言おうとした翔は、その先の司の行動を訝しげに見守る。
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