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「こんなにも俺を狂わせておいて、今更逃げられるとでも思ったのか?」
 

形の良い唇が低い声をつむぐ。彼は不思議そうに首を傾げた。


「教えてあげるよ、優介」


彼のシャツが脱ぎ捨てられる。


「俺がどれだけ優介を愛してるか」


靱やかに鍛え上げられた身体からは、とても逃げられそうにない。優介は彼を見上げたまま動けなくなってしまった。

まるで美しい獣のようだ、と、頭の片隅で思った。


"愛してる"


当たり前のように告げられたそれは、とても信じ難いものだった。


「そして、お前は俺のものだってこと·····」


彼の名前を呼ぼうと開いた口は、ぱくりと塞がれる。 


「·····ン·····っ」


優介は手を伸ばして翔の肩に触れた。

拒まなければいけないのに、腕には力が入らない。
暖かな体温と硬い身体が生々しい。優介は、改めて今の状況を理解した。

腕は力強い手に掴まれ、ベッドトへと押し付けられた。
優しい拘束は、身をよじると力を増す。口内に忍ばれた舌が、優介を堪能するようにぴちゃぴちゃと水音を鳴らした。


「ん、·····ぅん·········」


角度を変えながら喉奥までを蹂躙される。高い鼻が優介の鼻を撫でた。


「·········ん、ふ·····」


息苦しさに、思考がぼんやりと霞んでゆく。ベッドに押し付けられた両手にはとうとう力が入らなくなる。
優介はされるがまま濃厚なキスを受け入れた。

やがて離れた唇が、こちらを見つめそっと弧を描く。

優介の背を官能的な痺れが駆け抜けていった。

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