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しおりを挟む「なんで、あの人が?」
「デカい·····」
囁き声は段々と小さくなってゆく。
「おい」
頭上から、轟くような低音が聞こえた。
無視しようとして、聞き覚えのある声にぱちくりと瞬きする。
身体が、文字通り持ち上げられた。
「·····!?」
慌てて口を噤む。
この高さは、初めてではない。
「つ、かさ先輩·····?」
皆が好奇や畏怖が綯い交ぜになった視線を向ける中、優介は司に連れられて教室を出た。
まるで、物になった気分だ。気が変わって振り落とされても嫌なので、じっとしておく。
彼は無言のまま階段を上った。
四階まで来ると、他生徒の気配は無くなった。
さらに廊下を進み、一番奥の教室へ入る。長い間掃除がされていないのか、教室内は少し埃っぽかった。
優介は窓際のな机の上に降ろされた。
「っ·····」
静かな空間のせいで、振動するバイブの音が司に伝わってしまいそうだ。
下唇を噛み、焦れるような快感に耐える。
「何があった?」
優介は返答に戸惑った。
もしかして、彼は「助けて」という言葉を聞き、やってきてくれたのだろうか。
不器用な優しさなんて、これ以上知りたくない。
後退ると、机上から落ちそうになりる。
腰を引き寄せられ、司の腕に力強く引き寄せられた。
「ひゃうっ」
慌てて口を噤む。
司は、優介を抱き止めた手をパッと離した。
「なんだよ?」
長い人差し指が、頬を撫でる。
この手に、いつしか恐怖心を抱かなくなっていた。
司の手の平へ頬を傾ける。
「··········」
冷たくて気持ちが良い。思わず目を細めると、彼の指は、僅かに震えた。
「·····調子狂うだろ·····」
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