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しおりを挟む瞼を開いても、視界は薄暗いままだった。
「ん、ぅ·····?」
伸ばした腕は、硬いものにぶつかる。
優介は間抜けな声を漏らし、目の前の物体に触れた。
押し退けようと手のひらに力を入れるが、ビクともしない。
「·····ん·····」
動かないものは仕方がない。
優介は早々に諦めて、温もりのある壁に額を押し付けた。
「あったかい····」
陽だまりのような匂いだ。居心地が良くて、優介は再び瞼を閉じた。
鼻を擦り寄せ──優介はハッと目を見開く。
目の前に、太い首があった。
「········!」
優介は、声にならない叫び声を上げてあとずさる。
たくましい腕が、優介を引き寄せた。
背中と腰に回された手の感触が生々しく、自分が全裸だと気づかされる。
司の手が、するすると優介の身体をまさぐり出した。
「ひ···」
見上げた先で、鬱陶しそうに眉をひそめる顔があった。
「おはようございまひゅ」
舌を噛んでしまった。優介は痛みを耐えるように唇を引き結ぶ。
近くで見ると、強姦魔は意外にもきれいな目をしている。
嫌な鼓動に焦り、優介は視線をさまよわせた。
そんな優介を一通り見届け、司は時計へと目をやった。
時刻は5時。久しぶりの快眠だ。
司は再び瞼を閉じた。
「あ、つかさせんぱい····」
戸惑う優介は、数分後、安らかな眠りについたのだった。
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