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《147》協調性皆無

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ノワは表情筋の限界まで顔を歪めた。


「いつまで浸かってる」


ロイドが、早く来いと岸から声をかけた。
























    遠征の真の目的はドゥジーヤの駆逐では無い。

チーム行動を通して協調性を学び、自分たちの力で生き抜く術を学ぶ。特に後者は、学園での授業とはまるきりの別物だった。


「··········」


遠征3日目の朝、ノワは丸太の上に座り、メンバー一人一人を一瞥した。

ここ2日間の森林生活でわかったことがある。

ここにいる全員は、皆サバイバル経験者さながらの実践力を持っている。

しかし、大きな欠陥がある。


「出発するぞ」


ホム海岸まではあと20キロ程度。

ロイドの呼び掛けで、一行は出発する。
会話はひとつもない。

このメンバーには、協調性が皆無だった。

デリックは初日から変わらずノワの斜め後ろを歩いている。
リダルは後方を歩き、前方を行くロイドからは、近寄り難い雰囲気が漂っていた。


「レイゲル先輩」


休息の時間が設けられると、ノワはレイゲルに話しかけた。


「ロイド先輩と、何かあったんですか?」

「いいや?」


さわやかな答えが帰ってくるが、ロイドの機嫌が良くないのは一目瞭然だ。


「でも、どこか具合が悪いとか·····」

「ノワは、優しいね」

「?」


レイゲルがノワの頭を撫でる。

兄がいたらこんな気分だろうか。ノワは照れくささから、唇に力を入れた。

それを見ていたロイドの気分がさらに悪くなったことには気づかない。


「そうだ、ノワ。俺がロイドと話をしてみるから、少し手伝ってくれる?」


自分から聞き出すのは気が引けていた。ノワはほっとして頷く。


「この先は、ドゥジーヤを二手に分かれて探そう。俺とロイドは西側、三人は東側で」


レイゲルはロイドに提案しながら、ノワへそっとウインクした。


「賛成です!」


ノワは1番に手をあげた。

ロイドが少しの間考えてから、そうだなと同意する。


「それほど危険な獣ではないから、問題ないだろう」


やがて、木々の間から岩場が見えた。

やっと海岸まで着いたのだ。ノワは、久方ぶりに石の地面を踏んだ。


「2時間後、ここで」


ロイドが淡々と告げ、レイゲルと共に西へ向かって進んでゆく。


「はい!気を付けて·····」


ノワは、不安げに二人の背中を眺めた。

きっと、戻ってくる頃には、ロイドの調子も戻っているだろうか。


「僕らも、行こう·····」


二人が進んだ方向の反対を振り向く。


リダルは、既に随分先を歩き始めている。
あからさまにノワを避けているようだった。


「馬鹿野郎·····」

「ノワくん?」


デリックがノワの顔をのぞき込む。


「·····ううん、なんでもない」





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