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ゲームセンター
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「さて、残るラストは、屋上のゲームセンターのみだぜ!」
やけにテンションの高くなった小舞君が颯爽と階段をかけ上がる。
このデパートの屋上へは階段を使用しなければ上がれない仕組みになっている。 エレベーターで上がっても屋上のゲームセンターには辿り着かず、駐車場に着いてしまうので注意が必要だ。
屋上のゲームセンターへと続く扉を開くと、そこでは金属音やら機械音やらで最早騒音とも取れる音が流れてきた。 ここまでくるとパチンコ店と変わらないのでは?
「ひゃー! メダルの落ちる音すごっ! ここまで大きいとそりゃ下じゃ出来ないわ!」
耳を塞ぎつつも騒音に掻き消されない位の大きな声で濱井さんが言ってくる。
「じゃあどうする? メダルのゲームだけでやっていくか?」
「僕個人としてはアーケードゲームが気になる。 最近新しい機種が入ったらしいから、それの視察がてらね。」
「へー、坂内君って意外とゲーマーなんだね。 僕にはさっぱりだよ」
「慣れればこれくらいの喧騒は日常茶飯事になるからな。 ゲームセンターとはそういうところだ。」
良くわからないが、そういうところの場所なら仕方ない。
さて、当てもなく歩くわけにもいかないので、先程から喧しく響いているメダルのゲームをしに行くことにした。
「メダルはここで両替が出来るみたいだな・・・ うわ! マジかよ!」
「どうしたの?」
「ここのメダル、1000円で300枚交換できるのかよ!」
「え? そんなに珍しいことなの?」
「あぁ。 メダル両替の相場的には200~230枚程度が平均なんだが、ここは300枚、つまりメダル1枚で大体3円くらいになるんだよ。 これはなかなかに破格だぞ。」
「それは仕方ないのではないのか?」
小舞君が興奮している所に坂内君が相づちを打つ。 そしてそのあと坂内君が指を差す方向を見ると、子供達がワイワイと楽しんでいるのが見えた。
「なるほどね。 メダルゲームって、入れる金額によってはそんなにだし、何よりも当たったときの喜びが大きいから、子供たちにとっては楽園なのか。」
「強いて言うなら、大人も安上がりになるしな。 大人から子供まで笑顔になれる。 そんな世界って訳か。」
「なにそこでみんな悟りの境地開いてんのよ。 私達向けはあっちよ。」
濱井さんに進められて向かった先は、これまたゲームセンターらしい風貌の室内だった。 そこにいるのは僕たちみたいな高校生の姿が数多くみられた。
「お、こっちもこっちでそれっぽいじゃん?」
「じゃあ僕は待機してるよ。」
「あれ? ゲームはやらない方?」
「そんなことはないけれど、さっきので頭使って疲れてるんだ。 ちょっとくらい休ませてよ。」
「そういうことでしたか。 では私達はこの中にいますから、タイミングを見計らって声をかけてくださいね?」
江ノ島さんの注意を受けた後にみんな散り散りに散っていった。 みんなを見送った後、僕は近くの自販機で缶の炭酸ジュースを買う。 そして「カキョッ」という音ともに炭酸を飲む。 喉を通る刺激が心地良い。
「はぁー。 なんか随分と濃い1日だなぁ。」
高校に入るまではそんなことをしてこなかっただけに、少し新鮮に感じたりもしている。 一応今家に戻れば母さんと父さんは両親水入らずで楽しんでいるはずだ。 夜になれば家族で団らんとするのだろうな。 だが、今だけはこの楽しさに浸っていたい。
「しかし、こうやって周りを見ているだけで、目がチカチカしてくるなぁ。 視力自体は悪くないけれど、なんていうか目に悪い感じはするよね。」
「誰に向かって話しているんですか?」
そんな独り言のように話していると、安見さんが後ろからやってくる。 安見さんもなにか飲み物を買ってきていた。
「別に。 ただの独り言。 そっちはどう? 楽しめてる?」
「ええ、とても。 ただどうしてもやってみたいことがあって。」
「やってみたいこと?」
ゲームセンターでやってみたいことってなんなんだろう? 拭えない疑問を抱きながら、安見さんに聞いてみる。
「あれですよ、あれ。」
安見さんが指差す方向を見る。 そこには・・・
「プリクラ?」
そう、これもゲームセンターではお馴染みのプリクラコーナーである。 カーテンに書かれている女性達は楽しそうに自撮りをしている。 というか目の大きさがアンバランスな気がする。 合成加工したのかな?
「うん。 江ノ島さんや円藤さんを誘っていってくればいいじゃないのかな?」
「最初はそうしたのです。 ですが私が気になったプリクラの台では女子だけでは撮れなかったのですよ。」
今時そんなプリクラマシンある? そんな疑問を抱きながらも言いたいことは大体分かったので、一緒にプリクラコーナーに行くことにした。
今のプリクラはかなりハイテクになっているらしく、機械の方から写真映りのいい体勢を教えてくれるので、僕らはそれに合わせてポーズをとればいいだけだ。
『それではいきますよ・・・。 3・2・1 ハイ!』
適当に撮られやすいポーズを取って、プリクラのカメラに向かって顔を合わせれば後は「パシャ」とカメラが撮られるので、これで完了だ。 それなりに様々なポーズを取れるので意外と楽しい。
『それでは最後に、男性は女性の後ろ側に回って、後ろから抱き付くように腕を前に交差させて下さい!』
なっ・・・・・・! そんな要求をしてくるのか!? 僕が安見さんを・・・後ろから・・・ 少し抵抗がありつつも、指示通り安見さんを後ろから抱き付くように包み込む。 プリクラでよかった・・・
その後その写真を撮られて、プリントする前の加工を施して、プリントアウトされる。
「な、なかなかに楽しめたね。」
「そうですね。 特に最後のは私もビックリしちゃいました。」
そのわりには結構ノリノリだったような・・・・・・
別の意味で疲れてしまったので、先程のベンチ戻ると、大学生だろうか? 2~3人程で囲うように立っていた。 邪魔だなと思いつつ近くに行くと、その隙間から困惑した円藤さんの姿が見えた。
やけにテンションの高くなった小舞君が颯爽と階段をかけ上がる。
このデパートの屋上へは階段を使用しなければ上がれない仕組みになっている。 エレベーターで上がっても屋上のゲームセンターには辿り着かず、駐車場に着いてしまうので注意が必要だ。
屋上のゲームセンターへと続く扉を開くと、そこでは金属音やら機械音やらで最早騒音とも取れる音が流れてきた。 ここまでくるとパチンコ店と変わらないのでは?
「ひゃー! メダルの落ちる音すごっ! ここまで大きいとそりゃ下じゃ出来ないわ!」
耳を塞ぎつつも騒音に掻き消されない位の大きな声で濱井さんが言ってくる。
「じゃあどうする? メダルのゲームだけでやっていくか?」
「僕個人としてはアーケードゲームが気になる。 最近新しい機種が入ったらしいから、それの視察がてらね。」
「へー、坂内君って意外とゲーマーなんだね。 僕にはさっぱりだよ」
「慣れればこれくらいの喧騒は日常茶飯事になるからな。 ゲームセンターとはそういうところだ。」
良くわからないが、そういうところの場所なら仕方ない。
さて、当てもなく歩くわけにもいかないので、先程から喧しく響いているメダルのゲームをしに行くことにした。
「メダルはここで両替が出来るみたいだな・・・ うわ! マジかよ!」
「どうしたの?」
「ここのメダル、1000円で300枚交換できるのかよ!」
「え? そんなに珍しいことなの?」
「あぁ。 メダル両替の相場的には200~230枚程度が平均なんだが、ここは300枚、つまりメダル1枚で大体3円くらいになるんだよ。 これはなかなかに破格だぞ。」
「それは仕方ないのではないのか?」
小舞君が興奮している所に坂内君が相づちを打つ。 そしてそのあと坂内君が指を差す方向を見ると、子供達がワイワイと楽しんでいるのが見えた。
「なるほどね。 メダルゲームって、入れる金額によってはそんなにだし、何よりも当たったときの喜びが大きいから、子供たちにとっては楽園なのか。」
「強いて言うなら、大人も安上がりになるしな。 大人から子供まで笑顔になれる。 そんな世界って訳か。」
「なにそこでみんな悟りの境地開いてんのよ。 私達向けはあっちよ。」
濱井さんに進められて向かった先は、これまたゲームセンターらしい風貌の室内だった。 そこにいるのは僕たちみたいな高校生の姿が数多くみられた。
「お、こっちもこっちでそれっぽいじゃん?」
「じゃあ僕は待機してるよ。」
「あれ? ゲームはやらない方?」
「そんなことはないけれど、さっきので頭使って疲れてるんだ。 ちょっとくらい休ませてよ。」
「そういうことでしたか。 では私達はこの中にいますから、タイミングを見計らって声をかけてくださいね?」
江ノ島さんの注意を受けた後にみんな散り散りに散っていった。 みんなを見送った後、僕は近くの自販機で缶の炭酸ジュースを買う。 そして「カキョッ」という音ともに炭酸を飲む。 喉を通る刺激が心地良い。
「はぁー。 なんか随分と濃い1日だなぁ。」
高校に入るまではそんなことをしてこなかっただけに、少し新鮮に感じたりもしている。 一応今家に戻れば母さんと父さんは両親水入らずで楽しんでいるはずだ。 夜になれば家族で団らんとするのだろうな。 だが、今だけはこの楽しさに浸っていたい。
「しかし、こうやって周りを見ているだけで、目がチカチカしてくるなぁ。 視力自体は悪くないけれど、なんていうか目に悪い感じはするよね。」
「誰に向かって話しているんですか?」
そんな独り言のように話していると、安見さんが後ろからやってくる。 安見さんもなにか飲み物を買ってきていた。
「別に。 ただの独り言。 そっちはどう? 楽しめてる?」
「ええ、とても。 ただどうしてもやってみたいことがあって。」
「やってみたいこと?」
ゲームセンターでやってみたいことってなんなんだろう? 拭えない疑問を抱きながら、安見さんに聞いてみる。
「あれですよ、あれ。」
安見さんが指差す方向を見る。 そこには・・・
「プリクラ?」
そう、これもゲームセンターではお馴染みのプリクラコーナーである。 カーテンに書かれている女性達は楽しそうに自撮りをしている。 というか目の大きさがアンバランスな気がする。 合成加工したのかな?
「うん。 江ノ島さんや円藤さんを誘っていってくればいいじゃないのかな?」
「最初はそうしたのです。 ですが私が気になったプリクラの台では女子だけでは撮れなかったのですよ。」
今時そんなプリクラマシンある? そんな疑問を抱きながらも言いたいことは大体分かったので、一緒にプリクラコーナーに行くことにした。
今のプリクラはかなりハイテクになっているらしく、機械の方から写真映りのいい体勢を教えてくれるので、僕らはそれに合わせてポーズをとればいいだけだ。
『それではいきますよ・・・。 3・2・1 ハイ!』
適当に撮られやすいポーズを取って、プリクラのカメラに向かって顔を合わせれば後は「パシャ」とカメラが撮られるので、これで完了だ。 それなりに様々なポーズを取れるので意外と楽しい。
『それでは最後に、男性は女性の後ろ側に回って、後ろから抱き付くように腕を前に交差させて下さい!』
なっ・・・・・・! そんな要求をしてくるのか!? 僕が安見さんを・・・後ろから・・・ 少し抵抗がありつつも、指示通り安見さんを後ろから抱き付くように包み込む。 プリクラでよかった・・・
その後その写真を撮られて、プリントする前の加工を施して、プリントアウトされる。
「な、なかなかに楽しめたね。」
「そうですね。 特に最後のは私もビックリしちゃいました。」
そのわりには結構ノリノリだったような・・・・・・
別の意味で疲れてしまったので、先程のベンチ戻ると、大学生だろうか? 2~3人程で囲うように立っていた。 邪魔だなと思いつつ近くに行くと、その隙間から困惑した円藤さんの姿が見えた。
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