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118、許さない優しさ
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名取side
パニックは落ち着いたがまだ怖いんだろう。俺の服を掴んで離さない。
「ホットミルク美味しかった?」
「うん、美味しかった。ありがとう。」
「どういたしまして、空は砂糖多めの方が好き?」
「うん、甘い方が好き。」
「そっか、覚えとこ。」
会話はできるが若干目が泳ぐ。
周囲を警戒してるのか、
「おいでー、ぎゅーしようか。」
「……うん、」
ゆっくり俺の膝に跨り首に腕を回してくれた。
「よしよし、」
ブランケットを空の肩にかけて背中をさする。
少し警戒が和らぐといいけど、肩に力が入りっぱなしでなかなか落ち着かない。
「ベッド行こうか、抱っこするよ。」
「…うん、」
わざとベッドサイドの電気はつけたままベッドに横になった。
「空、眠れそう?」
「………分かんない…」
「じゃあ眠たくなるまでお話しようか。」
「うん、」
「じゃあ、空は犬と猫どっちが好き?」
「………猫…でも犬も好き。」
「そっか~じゃあなんの猫が好き?」
「アメリカンショートヘア」
「そうなんだ~じゃあ犬は?」
「……柴犬」
「何色の柴犬?」
「茶色」
「そうなんだ~可愛いよね。」
「うん、」
「ペットとか飼いたい?」
「……いらない。」
「そっか~、いらないかぁ」
「…育てられないから…」
「育てられない?そうかな、空優しいから面倒見良いと思うけどな。」
「優しくない……僕も…いつか…」
「??僕も何?」
「うーうん、なんでもない。」
空の心に黒い塊が見えた。
ほって置いたらそれに飲み込まれそうで、取り除かなければならないと感じた。
「教えて、僕も何?」
「………僕も………大きくなったら似てくるでしょ…」
「…父親に?」
「うん…だから…ペットは飼わない方がいいよ。可哀想だよ。」
「空、それは違うよ。確かに血が繋がってるからもしかすると見た目は似てしまうかもしれない。けど、血が繋がってるからって虐待をする人になるとは限らない。それは空がこれから色んな人と関わって、優しい心を作っていったら絶対起こらない。
それにね、そうやって先のこと考えて可哀想って思えてる時点で虐待なんてしないよ。大丈夫。
空の心は優しい心だよ。」
「……でも…僕………許せないだ…」
「ん?」
「父さんが僕にしたこと、それ以上にお母さんを傷付けたこと…許さなきゃって思うのに…許せないんだ…」
「許さなくていいよ。俺だって一生許さない。一緒だよ。」
「…一緒?」
「うん、一緒。俺の大切な人2人も傷付けられたんだ。許せるわけないよ。皆が許すって言っても俺は許さない。」
「……うん、」
「許さないのも俺は優しさだと思うな。」
「え?許さないのに?」
「うん、だって悪いことしたのに簡単に許されたらその方が辛いよ。ならとことん怒って恨まれる方が俺はいいな。まぁこの考えは人によると思うけど。」
「そっか…陽ちゃんも一緒なら僕も許さない。」
「うん、空が思うようにしたらいいんだよ。」
「うん、ありがとう。……今までたくさん我慢したから…ちょっとくらい怒っても…バチ当たらないかな…」
「そうだね。そのくらいじゃバチ当たらないよ。」
「そっか、…うん、」
納得したのか肩の力がすーっと抜けていった。
このまま眠れるかな。
優しく包み込むように抱きしめ、背中をさすった。
パニックは落ち着いたがまだ怖いんだろう。俺の服を掴んで離さない。
「ホットミルク美味しかった?」
「うん、美味しかった。ありがとう。」
「どういたしまして、空は砂糖多めの方が好き?」
「うん、甘い方が好き。」
「そっか、覚えとこ。」
会話はできるが若干目が泳ぐ。
周囲を警戒してるのか、
「おいでー、ぎゅーしようか。」
「……うん、」
ゆっくり俺の膝に跨り首に腕を回してくれた。
「よしよし、」
ブランケットを空の肩にかけて背中をさする。
少し警戒が和らぐといいけど、肩に力が入りっぱなしでなかなか落ち着かない。
「ベッド行こうか、抱っこするよ。」
「…うん、」
わざとベッドサイドの電気はつけたままベッドに横になった。
「空、眠れそう?」
「………分かんない…」
「じゃあ眠たくなるまでお話しようか。」
「うん、」
「じゃあ、空は犬と猫どっちが好き?」
「………猫…でも犬も好き。」
「そっか~じゃあなんの猫が好き?」
「アメリカンショートヘア」
「そうなんだ~じゃあ犬は?」
「……柴犬」
「何色の柴犬?」
「茶色」
「そうなんだ~可愛いよね。」
「うん、」
「ペットとか飼いたい?」
「……いらない。」
「そっか~、いらないかぁ」
「…育てられないから…」
「育てられない?そうかな、空優しいから面倒見良いと思うけどな。」
「優しくない……僕も…いつか…」
「??僕も何?」
「うーうん、なんでもない。」
空の心に黒い塊が見えた。
ほって置いたらそれに飲み込まれそうで、取り除かなければならないと感じた。
「教えて、僕も何?」
「………僕も………大きくなったら似てくるでしょ…」
「…父親に?」
「うん…だから…ペットは飼わない方がいいよ。可哀想だよ。」
「空、それは違うよ。確かに血が繋がってるからもしかすると見た目は似てしまうかもしれない。けど、血が繋がってるからって虐待をする人になるとは限らない。それは空がこれから色んな人と関わって、優しい心を作っていったら絶対起こらない。
それにね、そうやって先のこと考えて可哀想って思えてる時点で虐待なんてしないよ。大丈夫。
空の心は優しい心だよ。」
「……でも…僕………許せないだ…」
「ん?」
「父さんが僕にしたこと、それ以上にお母さんを傷付けたこと…許さなきゃって思うのに…許せないんだ…」
「許さなくていいよ。俺だって一生許さない。一緒だよ。」
「…一緒?」
「うん、一緒。俺の大切な人2人も傷付けられたんだ。許せるわけないよ。皆が許すって言っても俺は許さない。」
「……うん、」
「許さないのも俺は優しさだと思うな。」
「え?許さないのに?」
「うん、だって悪いことしたのに簡単に許されたらその方が辛いよ。ならとことん怒って恨まれる方が俺はいいな。まぁこの考えは人によると思うけど。」
「そっか…陽ちゃんも一緒なら僕も許さない。」
「うん、空が思うようにしたらいいんだよ。」
「うん、ありがとう。……今までたくさん我慢したから…ちょっとくらい怒っても…バチ当たらないかな…」
「そうだね。そのくらいじゃバチ当たらないよ。」
「そっか、…うん、」
納得したのか肩の力がすーっと抜けていった。
このまま眠れるかな。
優しく包み込むように抱きしめ、背中をさすった。
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