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111、不安と意思の狭間
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空side
「そろそろ帰るな。」
城崎先生を玄関まで見送り、
陽ちゃんと先生の話をぼーっと聞いていた。
「今日もありがとうございました。夕食も美味しかったです。ありがとうございました。」
「いえいえ、ありがとうございます。じゃあ明日は鉄分豊富なご飯にしますね。では、おやすみなさい。」
「ありがとうございます。おやすみなさい。」
「…………ぁ…おやすみなさい。」
ガチャ
「温かいお茶飲む?」
「……ぇ?」
「お茶飲む?」
「…飲む。」
「ソファーで待ってて」
コクリ
明日の不安が膨らむ一方で頭が重たい。
どうしよう……
細谷には会いたい。会いたいけど…
コトン
「明日のこと考えてるの?」
「え?」
「電話した後から上の空だから。久しぶりに会うから不安なの?」
陽ちゃんに嘘をつても多分バレてしまう。
僕の中の答えも悪い方向ばかりで前に進まないから陽ちゃんに考えていることを言うことにした。
「……さっき電話でね…」
「うん、」
「細谷から俺に会ったら嫌なこと思い出すんじゃないか?って言われて……
僕は…嫌だったは家だけだから、学校も友達も関係ないから思い出さないと思うんだけど……
でも…もし思い出したらいつも大声出して暴れちゃうから…細谷の前でそうなったらって思うと不安になってきて……」
「そっか、思い出すかどうかは俺にも分かんないけど、その時は俺や城崎先生が付いてるから大丈夫だよ。」
「嫌われちゃったら……」
「そっか、嫌われたくないから不安なのか…そうだな、怖いな。」
「っ……ぅん……」
僕の気持ちを分かって受け止めてくれた。
この不安を一人で処理しきれず陽ちゃんの服を握りしめて涙を零した。
「不安だったら明日じゃなくても良いんだよ。空が落ち着いてる日でもいい。」
「…フルフル…会いたい…会いたいの、でも…でも…」
「そっか、会いたいなら会おう。空のことは俺が守るから。」
「っ……っ……ぅっ……」
「短い時間でもいいんだよ。空が落ち着いて話せるなって思う時間で、」
「……ぅん……」
「言いたいことがあるなら言葉でも細谷くんみたいにお手紙でも何でも良いんだよ。」
「……うん……ぅ……っっ……明日会いたい。」
「うん、会ってもいいよ。」
「……陽ちゃん隣にいてね。」
「分かった。」
「ありがと……っぅぅ……」
考えれば考えるほど不安で涙が溢れた。
「おいで、」
陽ちゃんの膝の上に乗り首に腕を回す。
背中をさすってもらって深呼吸を繰り返す。
「空が思ってることを教えてくれてありがとう。
一人で考えて怖かったな。」
「ぅぅっぅ……ぅぅっぅ……」
会いたい気持ちと不安の狭間で押し潰されそうで泣くしかできなくなっていた。
「そろそろ帰るな。」
城崎先生を玄関まで見送り、
陽ちゃんと先生の話をぼーっと聞いていた。
「今日もありがとうございました。夕食も美味しかったです。ありがとうございました。」
「いえいえ、ありがとうございます。じゃあ明日は鉄分豊富なご飯にしますね。では、おやすみなさい。」
「ありがとうございます。おやすみなさい。」
「…………ぁ…おやすみなさい。」
ガチャ
「温かいお茶飲む?」
「……ぇ?」
「お茶飲む?」
「…飲む。」
「ソファーで待ってて」
コクリ
明日の不安が膨らむ一方で頭が重たい。
どうしよう……
細谷には会いたい。会いたいけど…
コトン
「明日のこと考えてるの?」
「え?」
「電話した後から上の空だから。久しぶりに会うから不安なの?」
陽ちゃんに嘘をつても多分バレてしまう。
僕の中の答えも悪い方向ばかりで前に進まないから陽ちゃんに考えていることを言うことにした。
「……さっき電話でね…」
「うん、」
「細谷から俺に会ったら嫌なこと思い出すんじゃないか?って言われて……
僕は…嫌だったは家だけだから、学校も友達も関係ないから思い出さないと思うんだけど……
でも…もし思い出したらいつも大声出して暴れちゃうから…細谷の前でそうなったらって思うと不安になってきて……」
「そっか、思い出すかどうかは俺にも分かんないけど、その時は俺や城崎先生が付いてるから大丈夫だよ。」
「嫌われちゃったら……」
「そっか、嫌われたくないから不安なのか…そうだな、怖いな。」
「っ……ぅん……」
僕の気持ちを分かって受け止めてくれた。
この不安を一人で処理しきれず陽ちゃんの服を握りしめて涙を零した。
「不安だったら明日じゃなくても良いんだよ。空が落ち着いてる日でもいい。」
「…フルフル…会いたい…会いたいの、でも…でも…」
「そっか、会いたいなら会おう。空のことは俺が守るから。」
「っ……っ……ぅっ……」
「短い時間でもいいんだよ。空が落ち着いて話せるなって思う時間で、」
「……ぅん……」
「言いたいことがあるなら言葉でも細谷くんみたいにお手紙でも何でも良いんだよ。」
「……うん……ぅ……っっ……明日会いたい。」
「うん、会ってもいいよ。」
「……陽ちゃん隣にいてね。」
「分かった。」
「ありがと……っぅぅ……」
考えれば考えるほど不安で涙が溢れた。
「おいで、」
陽ちゃんの膝の上に乗り首に腕を回す。
背中をさすってもらって深呼吸を繰り返す。
「空が思ってることを教えてくれてありがとう。
一人で考えて怖かったな。」
「ぅぅっぅ……ぅぅっぅ……」
会いたい気持ちと不安の狭間で押し潰されそうで泣くしかできなくなっていた。
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