ホントの気持ち

神娘

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110、もし明日

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空side


明日は久しぶりに細谷に会う。
久しぶりに電話越しに話したけどいつも通り明るくて優しかった。

細谷が気にしていた、色々思い出さないかってことがなんとなく引っかかっていた。
辛かったのは家だけで学校も友達も関係ない。
会ったからといって思い出したりしないだろう。
そう思うが……でも、もし思い出したら……どうなるんだろう……
病院やここで嫌なことを思い出した時、僕はどうなった……
リスカ……大きな声で叫んで……陽ちゃんや先生たちに迷惑をかけた……
そんな姿を細谷に見られたら……嫌われる。
そう思うと急に怖くなってきた。

「空?……空?」

ッ!
「ぇ?、あ、陽ちゃん、何?どうしたの?」

不安を隠したくて無駄に明るく返事をした。

「どうしたはこっちのセリフ。どうした?しんどい?」

「え?!大丈夫だよ。明日楽しみだね。」

「ああ、そうだな。ちょっと触らせてね。」

陽ちゃんは僕の首や耳の下、目の下を触ってじっと見つめてきた。
気持ちを悟られたくなくて無理矢理明るい自分を演じる。

「ちょっと貧血だね。クラクラしたりする?」

「大丈夫だよ。全然平気!」

「しんどくなったら言えよ。」

「うん!分かった~」


「貧血かぁ、夕食の食材は買ってきたのに鉄分豊富なの買ってこなかったなぁ。」

「大丈夫ですよ。鉄剤はあるので、」

「そうですか、明日は鉄が取れるおかず一品入れますね。」

「ありがとうございます。」

夕食は城崎先生が作ってくれる予定なのかな?
本当は僕が作るって今言うべきなんだろうけど……
なんだろう頭が重たい。本当に貧血??

もし明日パニックになったらどうしたらいいか考えなきゃなのに…頭が重たくて考えることを拒否してるみたいな感覚

「横になってな。」

「大丈夫、」

肩を押されたが拒否して傾きかけていた体を起こす。

「鉄剤今飲む?」

「………………うん、」

少し悩んだがもし本当にただの貧血なら薬で治る。
素直に頷き薬を飲むことにした。

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