89 / 136
88、お風呂は気持ちいい
しおりを挟む
空side
陽ちゃんが嬉しそうだと僕もなんだか嬉しいな、
「空~、お風呂入ろうか」
お風呂…
まだ少し怖い…でも…昨日も入ってないし…
「大丈夫、気持ちいいことだけだよ。」
「ぶくぶくしない?」
「しないよ。苦しいことも冷たいこともしない。」
陽ちゃんはそんなことしない。
そんなこと分かってるのに…思い出して怖くなる。
「難しかったら明日にする?」
でも…明日は神山先生と城崎先生が来てくれる。
ちゃんと綺麗にしたい。
「入る…」
陽ちゃんの服をギュッと握りしめ勇気を出した。
「分かった、怖くなったら途中で出てもいいからね。」
コクリ
着替えを持ってお風呂に行く。
病院や僕のお家のお風呂より広い。
お風呂の中を必要以上に見てしまう。
「服脱げるか?」
陽ちゃんはあとパンツだけなのに僕はまだ服を着たまま立っていた。
病院でも何度もお風呂には入ってるのに…どうしてこんなに怖いの…
「空、無理しなくていいよ。」
ホントは入りたくない…でも…
服に手をかけるが震えて上手く脱げない。
陽ちゃんに手伝ってもらってやっと脱げた。
この歳にもなって1人で服を脱ぐこともできないなんて…
情けないのとお風呂の恐怖で我慢していた涙がぐーっと上に集まってくる。
「大丈夫、大丈夫、」
抱きしめられ思わず陽ちゃんの首に腕を回す。
肌と肌が直接触れ、体温を直に感じる。
陽ちゃんってこんなに温かかったんだ。
そんなことを考えていたらいつの間にか震えも治まっていた。
陽ちゃんから体を離す。
「お風呂行く。」
「うん、行こうか、」
お風呂に入ると椅子に座るよう促される。
「お湯の熱さこのくらいで良い?」
「うん、」
手で触り確認する。
「頭洗うね。」
「自分で洗える…」
「俺が洗いたいの、イヤ?」
そんな言い方されたらイヤなんて言えない。
黙って洗ってもらうことにした。
病院でも何度か陽ちゃんに洗ってもらった。陽ちゃんの触り方はいつも優しくて気持ちいいから安心する。
「痒いとこないか?」
「ないよ。」
「はーい、じゃあ流すから目つぶってね~」
頭を洗い終え体を洗う。
「体は自分で洗う、」
いつもやってもらってるのに何だか恥ずかしくて、ボディータオルを手に取る。
「どうした?恥ずかしいのか?」
わざわざ言わなくてもいいじゃん!
余計恥ずかしくなり、陽ちゃんはほっといて適当に体を洗う。
「俺も洗おー」
陽ちゃんも頭や体を洗い終え、一緒に湯船に浸かろうとするけどやっぱりお湯がはられた湯船を見ると喉が詰まって息が苦しくなる。
それに気づいた陽ちゃんはそっと僕の体を包み込む。
足がすくみ、その場にしゃがみこんでしまった。
「体冷えちゃうからお湯だけかかろうね。」
湯船が見えないように後頭部を押さえられ陽ちゃんの胸に頬をつける。
腰から下に湯船のお湯をゆっくりかけられ、体が温まってゆく。
徐々にかける位置が上がって行き、肩にお湯がかかる。
ここの水は冷たくもないし、熱くもない。
大丈夫…大丈夫…
「お湯入る。」
陽ちゃんに肌をくっつけたまま伝える。
「うん、入ろうか。おいで、」
僕のタイミングで湯船に入れるように先に入って待ってくれる。
勇気が出るまでに少し時間はかかったが、無事湯船に浸かることができた。
陽ちゃんの上に座り、後ろから抱きしめられる。
陽ちゃんの腕をしっかりと持って体を支える。
少しでもバランスを崩してしまうとパニックを起こしてしまうのを知っている陽ちゃんは腰をギュッと引き寄せる。
「温かいか?」
「うん、気持ちいい。陽ちゃんとのお風呂はいつも気持ちいいね。」
いつも気持ちいい。入ってしまえばいつもそう思うのだけれど、入るまでの勇気を出すのにいつも時間がかかってしまう。
いつか何も考えずにお風呂に入れる日がきたらいいな。
「そろそろ上がろうか。」
「うん」
お風呂を出て体を拭く。
体の痣も綺麗に消え、普通の肌になった。
お肉も前よりは付いたかな。
「どうした?自分の体まじまじと見て、」
「ん?いや、痣無くなったなっと思って。」
「ホントだな、治って良かったな。
骨折も綺麗に治って良かったな。
もう痛いとこないか?」
「うん、ないよ。陽ちゃんは鍛えてるの?」
引き締まって、薄らと割れた腹筋。
何度見てもカッコイイな。
その腹筋に触れる。
「いや、特に何かをしてるわけじゃないんだけどな、」
「良いな~僕も陽ちゃんみたいにカッコよくなりたい。」
「初めて病院で一緒にお風呂に入った時もそんなこと言ってたよな。空だってちゃんと食べてお肉ついたら俺みたいになるよ。」
「そうなのかな?」
今のひ弱な体からは一切想像できない。
「ほら、服着るぞ。体冷えちゃうからな。」
「うん」
陽ちゃんが嬉しそうだと僕もなんだか嬉しいな、
「空~、お風呂入ろうか」
お風呂…
まだ少し怖い…でも…昨日も入ってないし…
「大丈夫、気持ちいいことだけだよ。」
「ぶくぶくしない?」
「しないよ。苦しいことも冷たいこともしない。」
陽ちゃんはそんなことしない。
そんなこと分かってるのに…思い出して怖くなる。
「難しかったら明日にする?」
でも…明日は神山先生と城崎先生が来てくれる。
ちゃんと綺麗にしたい。
「入る…」
陽ちゃんの服をギュッと握りしめ勇気を出した。
「分かった、怖くなったら途中で出てもいいからね。」
コクリ
着替えを持ってお風呂に行く。
病院や僕のお家のお風呂より広い。
お風呂の中を必要以上に見てしまう。
「服脱げるか?」
陽ちゃんはあとパンツだけなのに僕はまだ服を着たまま立っていた。
病院でも何度もお風呂には入ってるのに…どうしてこんなに怖いの…
「空、無理しなくていいよ。」
ホントは入りたくない…でも…
服に手をかけるが震えて上手く脱げない。
陽ちゃんに手伝ってもらってやっと脱げた。
この歳にもなって1人で服を脱ぐこともできないなんて…
情けないのとお風呂の恐怖で我慢していた涙がぐーっと上に集まってくる。
「大丈夫、大丈夫、」
抱きしめられ思わず陽ちゃんの首に腕を回す。
肌と肌が直接触れ、体温を直に感じる。
陽ちゃんってこんなに温かかったんだ。
そんなことを考えていたらいつの間にか震えも治まっていた。
陽ちゃんから体を離す。
「お風呂行く。」
「うん、行こうか、」
お風呂に入ると椅子に座るよう促される。
「お湯の熱さこのくらいで良い?」
「うん、」
手で触り確認する。
「頭洗うね。」
「自分で洗える…」
「俺が洗いたいの、イヤ?」
そんな言い方されたらイヤなんて言えない。
黙って洗ってもらうことにした。
病院でも何度か陽ちゃんに洗ってもらった。陽ちゃんの触り方はいつも優しくて気持ちいいから安心する。
「痒いとこないか?」
「ないよ。」
「はーい、じゃあ流すから目つぶってね~」
頭を洗い終え体を洗う。
「体は自分で洗う、」
いつもやってもらってるのに何だか恥ずかしくて、ボディータオルを手に取る。
「どうした?恥ずかしいのか?」
わざわざ言わなくてもいいじゃん!
余計恥ずかしくなり、陽ちゃんはほっといて適当に体を洗う。
「俺も洗おー」
陽ちゃんも頭や体を洗い終え、一緒に湯船に浸かろうとするけどやっぱりお湯がはられた湯船を見ると喉が詰まって息が苦しくなる。
それに気づいた陽ちゃんはそっと僕の体を包み込む。
足がすくみ、その場にしゃがみこんでしまった。
「体冷えちゃうからお湯だけかかろうね。」
湯船が見えないように後頭部を押さえられ陽ちゃんの胸に頬をつける。
腰から下に湯船のお湯をゆっくりかけられ、体が温まってゆく。
徐々にかける位置が上がって行き、肩にお湯がかかる。
ここの水は冷たくもないし、熱くもない。
大丈夫…大丈夫…
「お湯入る。」
陽ちゃんに肌をくっつけたまま伝える。
「うん、入ろうか。おいで、」
僕のタイミングで湯船に入れるように先に入って待ってくれる。
勇気が出るまでに少し時間はかかったが、無事湯船に浸かることができた。
陽ちゃんの上に座り、後ろから抱きしめられる。
陽ちゃんの腕をしっかりと持って体を支える。
少しでもバランスを崩してしまうとパニックを起こしてしまうのを知っている陽ちゃんは腰をギュッと引き寄せる。
「温かいか?」
「うん、気持ちいい。陽ちゃんとのお風呂はいつも気持ちいいね。」
いつも気持ちいい。入ってしまえばいつもそう思うのだけれど、入るまでの勇気を出すのにいつも時間がかかってしまう。
いつか何も考えずにお風呂に入れる日がきたらいいな。
「そろそろ上がろうか。」
「うん」
お風呂を出て体を拭く。
体の痣も綺麗に消え、普通の肌になった。
お肉も前よりは付いたかな。
「どうした?自分の体まじまじと見て、」
「ん?いや、痣無くなったなっと思って。」
「ホントだな、治って良かったな。
骨折も綺麗に治って良かったな。
もう痛いとこないか?」
「うん、ないよ。陽ちゃんは鍛えてるの?」
引き締まって、薄らと割れた腹筋。
何度見てもカッコイイな。
その腹筋に触れる。
「いや、特に何かをしてるわけじゃないんだけどな、」
「良いな~僕も陽ちゃんみたいにカッコよくなりたい。」
「初めて病院で一緒にお風呂に入った時もそんなこと言ってたよな。空だってちゃんと食べてお肉ついたら俺みたいになるよ。」
「そうなのかな?」
今のひ弱な体からは一切想像できない。
「ほら、服着るぞ。体冷えちゃうからな。」
「うん」
1
お気に入りに追加
378
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる