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82、僕は…僕は…
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空side
昼食を食べ終わりゆっくりしていると、陽ちゃんがありがとうって、一緒にいてくれてありがとうって言ってくれた。
陽ちゃんはいつも温かい言葉をくれる。
暗い心に少し明かりが灯った感じがした。
目頭が熱くなって陽ちゃんに抱きついたら抱き返してくれた。
「空、今日はお風呂どうする?怖かったら拭くだけでもいいよ。」
そうだ、昨日は入らず寝ちゃったんだ…
本当は入りたくない…けど、入りたいな。
「入りたい…けど…」
「じゃあシャワーだけにする?湯船はどっちでもいいよ。シャワーだけだったら怖くない?」
「うん…多分…」
「じゃあそうしよう。」
陽ちゃんは僕が怖がらないようにしてくている。
一日中カーテンを閉めてベランダが見えないようにしたり、包丁や刃物、コンセントのコードは見えないようにしてくれている。
「ちょっとお話しようか。こっちおいで、」
陽ちゃんに呼ばれて陽ちゃんの横に座ると膝に乗せられた。
「退院してから不安なことあるか?1つずつ一緒に無くしていきたいから教えてほしい。」
陽ちゃんは僕の目を見て真剣に言ってきた。
本当に真剣に僕と向き合おうとしてくれてるんだ…それなのに僕は、
「大丈夫だよ。陽ちゃんいるから不安なんてないよ。」
陽ちゃんのその気持ちには応えられず、
笑顔で心を覆い隠してしまった。
そんな自分が余計嫌いになる。
こうやって陽ちゃんがせっかく聞いてきてくれたのに自分の気持ちをちゃんと言えない自分が嫌いだ…臆病者だ…
「そっか、急に言えって言っても難しいよな…ごめん、焦りすぎた。」
陽ちゃんは悲しい目をして僕の頭を押して胸に引き寄せた。
またその悲しい顔…
僕はいつも陽ちゃんにその顔をさせてしまうたび心がギューってなる。
陽ちゃんには笑ってほしいのに…
「ごめん…なさい…」
「空は何も悪くないよ。大丈夫、大丈夫。」
そう言って背中をトントンしてくれる。
少しずつ気持ちは落ち着いたけど、なんだか心の奥に固いものができた。
どうしたら良いんだろう。
分からない。
その繰り返し…
陽ちゃんに迷惑かけたくない
いい子でいたい。
それなのに…
いつも迷惑をかけてしまう。
もう…やだ…
どうして上手くいかないの…
胸がギューって痛くなる。
またこの痛み…
でも…陽ちゃんには言いたくない。
せっかくここにいていいって言ってくれたんだ…一緒にいてくれてありがとうって言ってくれたんだ。
これ以上、これ以上は迷惑かけない。
そう心に決め、痛みを心に閉まった。
我慢出来る。大丈夫。
「どうした?」
陽ちゃんが顔を覗き込んで聞いてくるが、笑顔を作って答えた。
「うーうん、なんもないよ。大丈夫。」
「そっか、」
そっかと言いながらも僕の背中を擦る。
閉まったはずの痛みが強くなって涙が出そうになるのを必死で引っ込める。
これ以上ここにいたらダメだ。
言いたくないことを言ってしまいそうになる。そうなる前に陽ちゃんから離れよう。
陽ちゃんの膝から降りようとすると陽ちゃんに腕を掴まれた。
「どこ行くの?」
「え…っと…」
決めていなかった。ただ離れたくて…それだけで…
「そうやってまた1人で抱えるの?」
「え…?何言ってるの?」
笑ってとぼけてみるが真剣な目には心の中まで見えてそうで目を逸らしてしまう。
「俺には言いずらいか?ごめんな、俺は空の気持ちが分からない。言ってくれなきゃ分からない。だから、教えてほしい。俺には言えないか?」
陽ちゃんの悲しい目は僕を離してくれない。
僕は…迷惑かけたくなくて…それで…
「……大丈夫…大丈夫だから……ごめんなさいっ」
陽ちゃんの手を振りほどき寝室に走って入る。
寝室に入るとドアの前に崩れ落ちた。
どうして…どうして…
本当はこの気持ちが辛くてどうしたらいいか分からなくて…でも陽ちゃんには迷惑かけたくなくて…
そのためには我慢しなきゃいけなくて…
我慢しなきゃいけないのは分かってるのに…
なのに、ホントは…『助けてほしい』
嘘つき…
僕は嘘しか言えない。
助けてなんて…言えない…
あの家から助けてもらった。
怪我も治してもらって、沢山優しくしてもらったから…
これ以上我儘言っちゃダメだ…
安心したくて机の下に潜って両手で首を絞める。
流れる涙を感じながら首を絞める力を強める。
頭がグルグルする。
もう…何も考えられない。
喉が口が全部悪い…
声さえなければ僕はいい子になれる。
昼食を食べ終わりゆっくりしていると、陽ちゃんがありがとうって、一緒にいてくれてありがとうって言ってくれた。
陽ちゃんはいつも温かい言葉をくれる。
暗い心に少し明かりが灯った感じがした。
目頭が熱くなって陽ちゃんに抱きついたら抱き返してくれた。
「空、今日はお風呂どうする?怖かったら拭くだけでもいいよ。」
そうだ、昨日は入らず寝ちゃったんだ…
本当は入りたくない…けど、入りたいな。
「入りたい…けど…」
「じゃあシャワーだけにする?湯船はどっちでもいいよ。シャワーだけだったら怖くない?」
「うん…多分…」
「じゃあそうしよう。」
陽ちゃんは僕が怖がらないようにしてくている。
一日中カーテンを閉めてベランダが見えないようにしたり、包丁や刃物、コンセントのコードは見えないようにしてくれている。
「ちょっとお話しようか。こっちおいで、」
陽ちゃんに呼ばれて陽ちゃんの横に座ると膝に乗せられた。
「退院してから不安なことあるか?1つずつ一緒に無くしていきたいから教えてほしい。」
陽ちゃんは僕の目を見て真剣に言ってきた。
本当に真剣に僕と向き合おうとしてくれてるんだ…それなのに僕は、
「大丈夫だよ。陽ちゃんいるから不安なんてないよ。」
陽ちゃんのその気持ちには応えられず、
笑顔で心を覆い隠してしまった。
そんな自分が余計嫌いになる。
こうやって陽ちゃんがせっかく聞いてきてくれたのに自分の気持ちをちゃんと言えない自分が嫌いだ…臆病者だ…
「そっか、急に言えって言っても難しいよな…ごめん、焦りすぎた。」
陽ちゃんは悲しい目をして僕の頭を押して胸に引き寄せた。
またその悲しい顔…
僕はいつも陽ちゃんにその顔をさせてしまうたび心がギューってなる。
陽ちゃんには笑ってほしいのに…
「ごめん…なさい…」
「空は何も悪くないよ。大丈夫、大丈夫。」
そう言って背中をトントンしてくれる。
少しずつ気持ちは落ち着いたけど、なんだか心の奥に固いものができた。
どうしたら良いんだろう。
分からない。
その繰り返し…
陽ちゃんに迷惑かけたくない
いい子でいたい。
それなのに…
いつも迷惑をかけてしまう。
もう…やだ…
どうして上手くいかないの…
胸がギューって痛くなる。
またこの痛み…
でも…陽ちゃんには言いたくない。
せっかくここにいていいって言ってくれたんだ…一緒にいてくれてありがとうって言ってくれたんだ。
これ以上、これ以上は迷惑かけない。
そう心に決め、痛みを心に閉まった。
我慢出来る。大丈夫。
「どうした?」
陽ちゃんが顔を覗き込んで聞いてくるが、笑顔を作って答えた。
「うーうん、なんもないよ。大丈夫。」
「そっか、」
そっかと言いながらも僕の背中を擦る。
閉まったはずの痛みが強くなって涙が出そうになるのを必死で引っ込める。
これ以上ここにいたらダメだ。
言いたくないことを言ってしまいそうになる。そうなる前に陽ちゃんから離れよう。
陽ちゃんの膝から降りようとすると陽ちゃんに腕を掴まれた。
「どこ行くの?」
「え…っと…」
決めていなかった。ただ離れたくて…それだけで…
「そうやってまた1人で抱えるの?」
「え…?何言ってるの?」
笑ってとぼけてみるが真剣な目には心の中まで見えてそうで目を逸らしてしまう。
「俺には言いずらいか?ごめんな、俺は空の気持ちが分からない。言ってくれなきゃ分からない。だから、教えてほしい。俺には言えないか?」
陽ちゃんの悲しい目は僕を離してくれない。
僕は…迷惑かけたくなくて…それで…
「……大丈夫…大丈夫だから……ごめんなさいっ」
陽ちゃんの手を振りほどき寝室に走って入る。
寝室に入るとドアの前に崩れ落ちた。
どうして…どうして…
本当はこの気持ちが辛くてどうしたらいいか分からなくて…でも陽ちゃんには迷惑かけたくなくて…
そのためには我慢しなきゃいけなくて…
我慢しなきゃいけないのは分かってるのに…
なのに、ホントは…『助けてほしい』
嘘つき…
僕は嘘しか言えない。
助けてなんて…言えない…
あの家から助けてもらった。
怪我も治してもらって、沢山優しくしてもらったから…
これ以上我儘言っちゃダメだ…
安心したくて机の下に潜って両手で首を絞める。
流れる涙を感じながら首を絞める力を強める。
頭がグルグルする。
もう…何も考えられない。
喉が口が全部悪い…
声さえなければ僕はいい子になれる。
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