ホントの気持ち

かんこ

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36、怒らせちゃった…

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空side

「ごめん…なさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

陽ちゃんの怒っている顔…1番見たくなかった。
陽ちゃんにだけは怒られたくなかった。
なのに、怒らせてしまった。
どうしたらいい?どうしたら許してくれる?
陽ちゃんは何を求めているの?

陽ちゃんがどんどん近づいてくる。
怖くて後ずさりするが背中に壁が当たりもう下がれない…
陽ちゃんの手が僕の腕を掴んだ。
殴られると思い目を閉じ、体に力を込めた。


「はぁ、殴らねぇよ。」

想像していた痛みは来なかった。
恐る恐る目を開けると、陽ちゃんが僕を見つめていた。

「はぁ、ごめん、俺が悪かった。」

「え?」

どうして陽ちゃんが謝るの?

「空にとって風呂ってそういう場所だよな。
俺の考えが甘かった。分かってあげられてるつもりだったのに、全然分かってなかった。
ごめん、お前なりにいっぱい考えたんだよな。
苦しかったな。体もこんな冷えて…冷水でも被ったか?」

陽ちゃんは優しく抱きしめ安心させてくれた。





「怖いだろうけど、俺も一緒に入るからお湯だけ浸かろう。」

「いゃ……」

さっき入った恐怖や苦しさが僕の頭を支配していた。
もう苦しいの嫌だ…

「嫌か、苦しくないぞ?」

「……」
ほんとに苦しくないのかな…
今は陽ちゃん怒ってない?分からない…

苦しくない風呂の入り方を知らない空は首を縦に振ることができなかった。



「分かった。」
陽ちゃんが急に服を脱ぎ、
湯船に入った。

「こうやって入るんだよ、おいで、」
陽ちゃんは手を広げ、入るよう言ってきた。
だが、入る事ができない。

「空、このイス座って」
イスに座ると足にお湯をかけられた。

「?!」

「温かい?」

「うん、温かい。」

「そっか、気持ちいいな」

「気持ちいい?」

「そうだよ。これ気持ちいいって言うんだよ。」

初めて知った。何だか心まで温まる気がした。

「空、おいで。ここはもっと温かいよ。」

もっと温かくなりたい。
湯船に片足を入れた。

温かい…

「おいで~」

陽ちゃんは手を広げ待っていてくれた。
湯船に入り、陽ちゃんに抱きついた。
さっきまで水が怖かったのが嘘のよう。
今はぽかぽか心を落ち着かせてくれた。

「気持ちいいな、」

「うん、気持ちいい」




湯船に浸かり心も体もぽかぽかしていた。

「そろそろ上がろっか、」

ホントはもっと湯に浸かっていたかったが、のぼせちゃうから上がろうと言われた。


「空、体拭ける?」

「拭ける。」
陽ちゃんからタオルを受け取り、体を拭いた。


俺の体は痣で変色していたり細かったりで弱そう。
それに対して陽ちゃんの体はカッコイイ。
細いが筋肉が付いていて引き締まっている。

「そんなまじまじ見られたら恥ずかしいなw
何か気になるもんでもあったか?」

「陽ちゃんの体カッコイイ。」

「お、ありがとうwそんなストレートに言われたら照れるなw」

陽ちゃんは顔を赤くして照れていた。



服を着てドライヤーをしてもらった。
前にもしてもらったことがあったがこれも温かくてぽかぽかする。

「これも気持ちいい?」

「ん?気持ちいいか?」

「温かい」

「そっか、温かいか、確かにドライヤーは気持ちいいな。ドライヤー好き?」

ドライヤーが好きというより陽ちゃんに頭を撫でられるのが好き。

「陽ちゃんが頭触ってくれるから好き。」

「お、何だw今日はやけに素直だなw
そっか、撫でられるの好きか。可愛いな」

何が可愛いのかは分からなかったが、陽ちゃんが笑ってくれたから良かった。




「病室温まってるから、戻ろう。」

「うん、」

手を繋いで病室に向かった。
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