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20、不安
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空side
目を覚ましたと同時に記憶が蘇り恐怖心に耐えきれず、ベッドを降り隅で隠れることにした。
しばらくするとまたドアが開き誰かが入ってきた。
息を止め隠れていたのに、入ってきた足音が怖くて声が漏れてしまった。
「ひっ………」
声を聞かれてしまったのかどんどんこちらへ向かってくる。
心臓の音がうるさく震えが止まらない。
気付くとその人は目の前まで来ていた。
怖くて見ることができず床をじっと見つめていた。
「空、大丈夫だよ。大丈夫、ここは安全だよ。」
声を掛けられたが内容が入ってこない。
「空、もう大丈夫だよ。」
恐怖でまた息が苦しくなってきた。
それに気付いたのかその人はまたさっきみたいに俺を抱きしめ背中をさすってくれた。
怖いはずなのに心が落ち着き、目から涙が溢れ出した。
止まらない。
どうやったら止まるか考えていると、
「大丈夫、大丈夫、泣いていいよ。」
と言われた。本当に泣いていていいのかな。
しばらく泣くと心が落ち着き、涙が止まった。
恐る恐るその人の顔を見ようと見上げると、その人は知っている人だった。
「陽ちゃん…」
「やっと顔見てくれた。」
その人は僕の叔父さん、母さんの弟で小さい頃よく遊んでくれたお兄さん。
名取 陽平だから陽ちゃんって呼んでる。
「どうして…ここにいるの…」
父さんのところに俺を連れて行くのだろうか…もう嫌だ。でも、他に行く所がない。
「俺はこの病院で働いてるんだ。空の主治医になった。だから困った事があったらなんでも言ってな。」
そっか、陽ちゃんは医者なんだ。だから僕を助けたんだ。本当は死にたかったのに…
「帰りたくない。死にたい。」
ボソッと気持ちを伝えた。
そう言った途端、陽ちゃんは僕を力いっぱい抱き締めた。
「辛かったな。しんどかったな。でも、もう辛いことはないから、大丈夫だから。
これから俺と2人で暮らさないか?」
「でも、父さんは?」
「空の父さんは児童虐待及び自殺を誘発させたとして逮捕された。だからもう父さんのところに帰らなくていい。
俺の家に来ないか?」
父さんのところに帰らなくていい。その言葉に救われた気がした。
「ホントに…帰らなくていいの?
もう痛いのない?怖いのない?」
「帰らなくていいよ。大丈夫、もう痛いのも怖いのもないから。」
「僕、陽ちゃんの家行きたい。」
「おいで、」
抱き締められ、また涙が止まらなくなった。
「声出して泣いていいよ。」
「ぅううん…んあぁん…」
今までの分を全て出すように陽ちゃんの胸で大泣きした。
目を覚ましたと同時に記憶が蘇り恐怖心に耐えきれず、ベッドを降り隅で隠れることにした。
しばらくするとまたドアが開き誰かが入ってきた。
息を止め隠れていたのに、入ってきた足音が怖くて声が漏れてしまった。
「ひっ………」
声を聞かれてしまったのかどんどんこちらへ向かってくる。
心臓の音がうるさく震えが止まらない。
気付くとその人は目の前まで来ていた。
怖くて見ることができず床をじっと見つめていた。
「空、大丈夫だよ。大丈夫、ここは安全だよ。」
声を掛けられたが内容が入ってこない。
「空、もう大丈夫だよ。」
恐怖でまた息が苦しくなってきた。
それに気付いたのかその人はまたさっきみたいに俺を抱きしめ背中をさすってくれた。
怖いはずなのに心が落ち着き、目から涙が溢れ出した。
止まらない。
どうやったら止まるか考えていると、
「大丈夫、大丈夫、泣いていいよ。」
と言われた。本当に泣いていていいのかな。
しばらく泣くと心が落ち着き、涙が止まった。
恐る恐るその人の顔を見ようと見上げると、その人は知っている人だった。
「陽ちゃん…」
「やっと顔見てくれた。」
その人は僕の叔父さん、母さんの弟で小さい頃よく遊んでくれたお兄さん。
名取 陽平だから陽ちゃんって呼んでる。
「どうして…ここにいるの…」
父さんのところに俺を連れて行くのだろうか…もう嫌だ。でも、他に行く所がない。
「俺はこの病院で働いてるんだ。空の主治医になった。だから困った事があったらなんでも言ってな。」
そっか、陽ちゃんは医者なんだ。だから僕を助けたんだ。本当は死にたかったのに…
「帰りたくない。死にたい。」
ボソッと気持ちを伝えた。
そう言った途端、陽ちゃんは僕を力いっぱい抱き締めた。
「辛かったな。しんどかったな。でも、もう辛いことはないから、大丈夫だから。
これから俺と2人で暮らさないか?」
「でも、父さんは?」
「空の父さんは児童虐待及び自殺を誘発させたとして逮捕された。だからもう父さんのところに帰らなくていい。
俺の家に来ないか?」
父さんのところに帰らなくていい。その言葉に救われた気がした。
「ホントに…帰らなくていいの?
もう痛いのない?怖いのない?」
「帰らなくていいよ。大丈夫、もう痛いのも怖いのもないから。」
「僕、陽ちゃんの家行きたい。」
「おいで、」
抱き締められ、また涙が止まらなくなった。
「声出して泣いていいよ。」
「ぅううん…んあぁん…」
今までの分を全て出すように陽ちゃんの胸で大泣きした。
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