ホントの気持ち

かんこ

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1、これが日常

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 空side


「…お前なんか死ねばいいのに」
 
ああ、まただ…大丈夫、大丈夫…明日死ねば大丈夫…

僕の名前は、夕紀 空ゆうき そら毎晩のように父親から暴言を浴びている。
 でも、もう慣れた。大丈夫、大丈夫…

部屋に戻ろう。
バタン、
やっぱり自分の部屋は落ち着く、もう寝よう今日はもう疲れた…

「寝れない…あれ…なんで生きてるんだろう…死ななきゃ」
 机の中からカミソリを取り出し勢いよく左手首を切った。
 血が出てるがそんことはどうでもいい。
何度も切りつけ、気持ちが落ち着き我に返った。
「何やってんだろ…毎回同じ、死ねないの分かってるくせに死ぬ勇気もないのに、自己満だな…はぁ、片付けよ」
 血を拭き取り眠りについた。

ピピピピ…ピピピピ…

「朝…起きよ」
 まだ寝ていたい気持ちをはらい学校に行く準備をした。
「行ってきます。」
 誰かに言うわけでもなく、ただ習慣とし行ってきますを言い学校に向かった。

「寒っ、帰りたい。」
ほんとは帰りたくないのにこんな時だけ家の温もりを求めてしまう自分が嫌だ。

「おおおおい!!」
 ドンッ!!   んっ!!
後ろから男子生徒に突撃された。
こいつは、同じクラスの細谷 駿ほそたに しゅん小学校からの友達。
身長は俺より高く顔は整っているザ・ムードメーカーって感じのやつだ。
ハーフではないが髪が少し茶色っぽいが地毛だ。

「痛ったいな!何すんだよ!」

「ええ?ああ、ごめんごめんwwwいや~朝から帰りたいとか寂しいこと言うからさ~つい♪*゚」

何がついだ!可愛くねぇよ!っと言おうと思ったが相手をしたら面倒くさそうなのでスルーして教室に向かうことにした。

ドアを開け、数人のクラスメイトといつも通りの会話をする。
いつも通り過ごしているはずなのになぜか今日は気持ちが暗い気がした。
何故だろうなんか胸の当たりがモヤモヤする。
いや、気のせいだ。大丈夫…

授業が始まった。
授業中、前の席の細谷から紙が渡された。

ん?なんだこれ?メモ?
開けて見るとそこには、
『大丈夫?保健室行く?』と書かれてあった。
そう、こいつはいつもヘラヘラしてるくせに勘が鋭い時がある。
保健室には行きたくなかったため、『大丈夫』とだけ書いて渡した。

保健室が嫌いなわけじゃない。
保健室に行くと親に連絡されるからそれが嫌なんだ。
親に余計な事を言われると帰ってから何を言われるか分からない。
そしたら、疲れるから嫌なんだ。ただそれだけ…

返事をしたのにまた細谷から紙が渡された。
『次の休み時間保健室行こ、一緒に行くから』と書いてあった。
僕は『大丈夫だから、行かない』と書いて渡したが、
納得いかなかったのだろう。
細谷が後ろを向き話しかけてきた。
「大丈夫って顔してない。一緒に行くから保健室行こ?」

「しつこい、大丈夫だって言ってる。」
僕は、細谷の顔を見ることができず俯いたまま答えた。

「細谷ー!!何堂々と後ろ向いて話してんだ。授業中だぞ。」
細谷は先生に怒られ何か言いたげに僕の顔を見たが、諦めて前を向いた。
「すみません、」
「はい、授業続けるぞー」
________


キーンコーンカーンコーン…
授業が終わった。

 
なんだかいつもより授業が長く感じた。

「なぁ、空、保健室行こ?一人で行きずならいなら俺も一緒に行くから。   な?」

まだ諦めてなかったんだ、でも保健室には行きたくない。
それに別に体調が悪いわけでもない。行く必要が無い。

「どうして?」

「え?」

「どうして保健室に行くの?別に体調悪くないし、行きたくない。」
思っている気持ちを伝えたつもりだったが細谷は納得してくれなかった。

「どう見ても体調悪いだろ。強がんなくていいから、保健室行こ。」
細谷は立ち上がり僕に手を差し伸べるが、

「大丈夫だから行かない。」といいトイレに向かった。
このままだと堂々巡りな気がしたからあの場から逃げたかった。

授業が始まる直前に教室に入り細谷と話さないようにした。
その後も休み時間はしつこく保健室に行くよう言われたが断り続けた。




もう、放課後か…
帰ろう、今日は塾がある。
週に3回塾に行っている。
塾の時間分父親からの暴言を聞かなくていいから気持ちが楽だ。
1度家に帰り塾の荷物を持ち塾に向かった。
授業は6時から8時の2時間だが、いつも4時には行き時間まで自習をする。
授業後も1時間自習をしてから家に帰っている。
理由は1つ少しでも家にいる時間を減らすためだ。

「今日も自習?空くんは真面目だね。」
数学担当の神山 蒼介かみやま そうすけ先生だ。
いつも自習をしていると声をかけてくれる。
背も高く小顔でカッコイイ。
優しい声で話しかけてくれるからいつも癒される。
憧れのお兄さんって感じ。
あ…お兄さんってw先生に失礼だった、

「はい、早く来すぎたので」

「ははは、いつもそう言ってるよね。
別に自習は恥ずかしいことじゃないんだから理由なんて付けなくていいんだよ。」

家に居たくないから早く来て自習をしていることがバレたくなくていつも早く来すぎたと理由をつけ怪しまれないようにしていた。
理由というかそれで自分の気持ちを隠そうとしていたんだ。
でも、それも必要ないってことか、確かに自習は自由だもんな。
「確かに、そうですね。」

「うん、俺は努力できる空くんがすごいと思うよ。
だから自信持ってね!頑張って!!なんかあったら呼んでね。」

「ありがとうございます。」
先生はそう言って職員室に戻った。

自習の続きをしよう。
集中しているとすぐに時間が過ぎる。
授業の時間だ、教室に行こう。
荷物を持ち教室に向かおうとした。

ぐらっーーーーー(ガタッ
立ちくらみだろうか一瞬 目の前が歪み慌てて机に手をついた。
 びっくりした…もう大丈夫だな行こ…

席につき授業を受けた。
今日は2時間数学の授業だ。担当は神山先生。

「はぁ……はぁ…はぁ…」
あれ…なんか苦しい…気のせい?
いや、気のせいじゃない…どうしよう…

「…空くん?どした?」
先生が声をかけてくれているのに返事ができない…どうしよう…どうしよう…

「はぁ…はぁ………はぁ…」
怖い…怖い……怒られる…どうしよう…どうしよう…

「空くん!!空くん!!大丈夫?空くん!!」
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