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はじまり
プロローグ?
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「はい。エントリーNo.101さん。えーっと…。幸運S以外のステータスCからFだ。平凡だね。なんで候補に?ん?死因は突然の心臓麻痺!しかも元々の病名とは違うじゃん。うわっ。君の世界の神の手違い!?かっわいそー!幸運S仕事しろ!あ、コレ前は幸運も普通だったんだ。なるほど、だからお詫びで幸運Sに。へー。てか、隣のバーさんの魂を狩るのになぜこの人の魂を狩っちゃったの?ん?あ、新人ね!あちゃー、あるよねぇ。ちょっとした手違い。うんうん。」
銀髪のふわふわした髪、銀色の瞳をした男性はピカピカと光り宙に浮いている球体に話しかけながら、書類を捲っている。机に肘をつきペラペラと紙を捲る様子はとても面倒臭げだ。
少年から青年に移行しているくらいの年齢に見える彼の体つきは線が細く、顔つきも幼い。しかし、幼い見た目ではあるが、彼は真っ白の空間でデスクに座り、多くの資料に囲まれている。
そして、彼の近くには深緑色の髪色で、眼鏡をかけた女性がいる様子から見て部下を従える役職であるようだ。
気怠そうにしながら可哀想と発言しているが、声色は面白がっている様子だ。口元はニヤニヤとしており、可愛らしい顔には似合わない。
球体はプカプカ浮きながらも時折赤く点滅し始めた。男性はそれを横目で見ながら自分の近くにいる女性に声をかけた。
「ね。モリー。この子以外に候補者ってまだいるの?」
「彼女で最後ですよ」
モリーと呼ばれた女性は眼鏡越しに薄い銀色の瞳を男性に向け、呆れたような声で返答した。彼女の腰まである髪は艶やかでとても美しく、整った顔立ちによく似合っている。
「サミュエル様。100人の候補者は〈気分が乗らない〉〈なんか嫌〉〈面白みがない〉等といった理由で却下されました。故に彼らはそれぞれ転生のため、別の世界へ渡る手続きを完了しております。彼女以外にというご希望ですと、見繕うのに時間がかかり今回の計画に遅れがでます」
「うげー。まじかー。どしよっかなー」
「ですから何度も再考しなくても良いのですかとお聞きしていたのですがね。全く」
モリーは深いため息をつくと手に持っていた追加の資料をサミュエルに手渡した。彼はそれを受け取るとじっと文字を見てから、ニヤッと笑った。
「さすがモリー。最悪のパターンに備えて準備していたんだね」
「彼がいれば戦闘面をカバーでき役目を果たせる可能性がさらに高まります。またサミュエル様が何か加護を与えれば、より目標を達成しやすいのではないでしょうか」
「うーん。でもそれじゃ面白くないよね」
「…面白い、面白くないという基準で決めるのはおやめください。かの一族の刑期は終了し、こちらから赦しを与えるためにも彼らを動かす必要があるのです。何度も説明したではないですか」
サミュエルは書類をペラペラ捲りながら、赤く光る事をやめた球体を眺めた。そして、面倒臭そうに上唇の上に羽ペンを挟み足を組むと、椅子の背もたれに体を預けてクルクルと椅子を回転し始めた。
「まー、あの家もそろそろヤバいしねぇ。妥協しちゃう?しちゃうー?この魂に任せちゃう~?」
「はぁ。100番目まではどの候補者も今回の事案に相応しい人材でしたよ。むしろ彼女は他の神にどうしてもと言われて捩じ込まれたため、戦闘能力は皆無です」
「えー?まじー?やばぁい」
「100人もいれば決まると思ったんですがね」
「だってー、微妙だったんだもーん」
「左様で」
モリーは深くため息をつくと、プカプカ浮いている球体に目線を向けた。サミュエルは未だ椅子をクルクル回して遊んでいる。遊び始めた上司を目の端に入れながら、彼女は球体に話しかけ始めた。
「あなたに課せられる試練は、貴方にとっては時には厳しいものでしょう。しかし貴方の苦手な面をカバーできる人材は必ず派遣します。そして、貴方自身にもこちらでできるサポートを保証します。どうでしょう?やってみませんか?何か希望があればその通りに致しますよ」
球体はプカプカ浮きながらも点滅したり点灯したりと、モリーに向かって話をしているように光り始めた。
「なるほど。今までの自分ではない自分になりたいと。容姿端麗、凄い能力が欲しい。試練については内容をまず聞きたい…ふむ。簡潔に申し上げますと」
パチン
「あ…」
モリーが説明をしようとしたまさにその瞬間。言葉を遮るように音が鳴り、彼女の目の前にいたはずの球体が消えた。音の発生源に目を向ければサミュエルが右手を上げている。それを確認したモリーはスッと目を細めた。
「サミュエル様。勝手に魂を送り出しましたね?」
「堅苦しい説明よりも、まずはやってみて慣れろって言うじゃん?百聞は一見にしかずだよ」
「…目的もわからぬまま送り出すのは無責任というのでは?」
「あはは。そうともいう?でもそこら辺はモリーがいいようにしてくれるでしょ?色々頼んだよ!」
「…はぁ。かしこまりました」
サミュエルはヘラヘラと笑いながら手に持っていた書類を〈可決〉とラベルが貼られた箱にポイっと投げ入れた。モリーはそれを眺めて深くため息をつくと、その場から立ち去る為に彼に背を向け目の前に現れたドアから出ていった。
「ぐふふ。楽しくなってきた。さて、さて。あちらはどうなってるかなぁ?」
サミュエルは新しいおもちゃを手に入れた子供のようにウキウキと上機嫌になると、デスクの引き出しから丸い水晶球を取り出した。そしてそれをデスクの上に置くと、覗き込んで何かを見始めたのだった。
銀髪のふわふわした髪、銀色の瞳をした男性はピカピカと光り宙に浮いている球体に話しかけながら、書類を捲っている。机に肘をつきペラペラと紙を捲る様子はとても面倒臭げだ。
少年から青年に移行しているくらいの年齢に見える彼の体つきは線が細く、顔つきも幼い。しかし、幼い見た目ではあるが、彼は真っ白の空間でデスクに座り、多くの資料に囲まれている。
そして、彼の近くには深緑色の髪色で、眼鏡をかけた女性がいる様子から見て部下を従える役職であるようだ。
気怠そうにしながら可哀想と発言しているが、声色は面白がっている様子だ。口元はニヤニヤとしており、可愛らしい顔には似合わない。
球体はプカプカ浮きながらも時折赤く点滅し始めた。男性はそれを横目で見ながら自分の近くにいる女性に声をかけた。
「ね。モリー。この子以外に候補者ってまだいるの?」
「彼女で最後ですよ」
モリーと呼ばれた女性は眼鏡越しに薄い銀色の瞳を男性に向け、呆れたような声で返答した。彼女の腰まである髪は艶やかでとても美しく、整った顔立ちによく似合っている。
「サミュエル様。100人の候補者は〈気分が乗らない〉〈なんか嫌〉〈面白みがない〉等といった理由で却下されました。故に彼らはそれぞれ転生のため、別の世界へ渡る手続きを完了しております。彼女以外にというご希望ですと、見繕うのに時間がかかり今回の計画に遅れがでます」
「うげー。まじかー。どしよっかなー」
「ですから何度も再考しなくても良いのですかとお聞きしていたのですがね。全く」
モリーは深いため息をつくと手に持っていた追加の資料をサミュエルに手渡した。彼はそれを受け取るとじっと文字を見てから、ニヤッと笑った。
「さすがモリー。最悪のパターンに備えて準備していたんだね」
「彼がいれば戦闘面をカバーでき役目を果たせる可能性がさらに高まります。またサミュエル様が何か加護を与えれば、より目標を達成しやすいのではないでしょうか」
「うーん。でもそれじゃ面白くないよね」
「…面白い、面白くないという基準で決めるのはおやめください。かの一族の刑期は終了し、こちらから赦しを与えるためにも彼らを動かす必要があるのです。何度も説明したではないですか」
サミュエルは書類をペラペラ捲りながら、赤く光る事をやめた球体を眺めた。そして、面倒臭そうに上唇の上に羽ペンを挟み足を組むと、椅子の背もたれに体を預けてクルクルと椅子を回転し始めた。
「まー、あの家もそろそろヤバいしねぇ。妥協しちゃう?しちゃうー?この魂に任せちゃう~?」
「はぁ。100番目まではどの候補者も今回の事案に相応しい人材でしたよ。むしろ彼女は他の神にどうしてもと言われて捩じ込まれたため、戦闘能力は皆無です」
「えー?まじー?やばぁい」
「100人もいれば決まると思ったんですがね」
「だってー、微妙だったんだもーん」
「左様で」
モリーは深くため息をつくと、プカプカ浮いている球体に目線を向けた。サミュエルは未だ椅子をクルクル回して遊んでいる。遊び始めた上司を目の端に入れながら、彼女は球体に話しかけ始めた。
「あなたに課せられる試練は、貴方にとっては時には厳しいものでしょう。しかし貴方の苦手な面をカバーできる人材は必ず派遣します。そして、貴方自身にもこちらでできるサポートを保証します。どうでしょう?やってみませんか?何か希望があればその通りに致しますよ」
球体はプカプカ浮きながらも点滅したり点灯したりと、モリーに向かって話をしているように光り始めた。
「なるほど。今までの自分ではない自分になりたいと。容姿端麗、凄い能力が欲しい。試練については内容をまず聞きたい…ふむ。簡潔に申し上げますと」
パチン
「あ…」
モリーが説明をしようとしたまさにその瞬間。言葉を遮るように音が鳴り、彼女の目の前にいたはずの球体が消えた。音の発生源に目を向ければサミュエルが右手を上げている。それを確認したモリーはスッと目を細めた。
「サミュエル様。勝手に魂を送り出しましたね?」
「堅苦しい説明よりも、まずはやってみて慣れろって言うじゃん?百聞は一見にしかずだよ」
「…目的もわからぬまま送り出すのは無責任というのでは?」
「あはは。そうともいう?でもそこら辺はモリーがいいようにしてくれるでしょ?色々頼んだよ!」
「…はぁ。かしこまりました」
サミュエルはヘラヘラと笑いながら手に持っていた書類を〈可決〉とラベルが貼られた箱にポイっと投げ入れた。モリーはそれを眺めて深くため息をつくと、その場から立ち去る為に彼に背を向け目の前に現れたドアから出ていった。
「ぐふふ。楽しくなってきた。さて、さて。あちらはどうなってるかなぁ?」
サミュエルは新しいおもちゃを手に入れた子供のようにウキウキと上機嫌になると、デスクの引き出しから丸い水晶球を取り出した。そしてそれをデスクの上に置くと、覗き込んで何かを見始めたのだった。
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