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いざ、フィンなんとか王国へ
気分はお姫様
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シャルムは後ろから、先ほどまでアーサー殿下が座っていたソファーに座った。
「マイカ様。私も本日はこれにて失礼します。この離宮のものは全て自由にお使いください。一階はこの広間と食堂、図書室。2階はマイカ様の寝室と衣装室、浴室がございます。手洗いも完備されております。使い方などわからないことがあれば、マリアにお申し付けください」
「何から何までありがとう。シャルムのことをルイスと呼んでもいいかしら?」
「マイカ様に初めて名前を呼んでいただけるとは。もちろんでございます」
ルイスは驚いたように目を見開いた後に、初めて笑顔を見せた。無表情からの微笑み。しかも美形。ギャップ萌えだ。きゅんっと胸が疼いた。
「では、失礼いたします」
無表情に戻ったルイスはそう言って部屋から出て行った。
『美形の微笑みやばいんだけどぉぉお!」
『マイカさん。ルイスが気に入ったんですか?』
心の中で叫びながら膝の上のリチェ様を撫で回していると、リチェ様はコロンっとお腹を出してもっとしてーっとねだりながら声をかけてきた。
『気に入ったというか。1番まともそうだからかな。王太子はなんか胡散臭いし。黒髪さんは怖い顔してるし。黒フードは顔も見せないくせに怯えてるし。赤毛さんはニヤニヤ人の胸ばっかり見てたのよ?』
『確かにその中ではルイスはまともですね。あ、マイカさんそこもっと!』
リチェ様の白い毛皮をもみくちゃにしながら触っていると、気持ちがいいのかリチェ様はうっとりしだした。
「聖女様」
ん?っと顔を上げて声をした方に目を向けると、マリアが立っていた。
「あ、マリアもマイカって呼んでね」
「はい。畏まりました。ではマイカ様、そろそろ日が暮れます。夕食の前に湯浴みなさいますか?」
「もうそんな時間か。じゃ、そうしようかな。案内お願いね」
「畏まりました。では2階に向かいましょう」
私はモフモフタイムをやめてリチェ様を抱っこして立ち上がると、マリアについて浴室に向かった。
「マイカ様の自室は入ってすぐにソファーがある広間。広間は各部屋の中間地点となっております。右側の扉が寝室。寝室の中に衣装室に通じる扉がございます。左側の扉が手洗いと浴室でございます」
ふんふんっと頷きながらマリアの説明を聞いた。雰囲気は高級ホテルのロイヤルスウィートのようだ。一階の広間より調度品や家具は女性向けの色味やデザインが多い。寝室の作りが気になって扉を開くと、ドーンっとキングサイズの天窓付きベッドが置いてあった。
『すごい部屋だね。お姫様になった気分』
『マットレスもふかふかですよー!』
リチェ様はぴょんっとベッドの上に乗ってゴロゴロと背中を擦り付けるようにくねくねしはじめた。猫になってからというものの、リチェ様は本能に抗えない様子だ。ベッドの上に腰掛けてリチェ様を見ながら、こちらにきてから初めて心から笑った。
「マイカ様。湯浴みの準備が整いました。こちらへどうぞ」
リチェ様とベッドの上でキャッキャッと戯れていると、マリアに声をかけられた。無邪気にはしゃいだ姿を見られて恥ずかしくなったが、マリアの表情が特に変わらなかったので乱れた服を整えてベッドから降り浴室に向かった。
浴室に入ると白いバスタブが一つあり、すでにお湯が入っており真っ赤な花びらが浮かんでいた。
「では、お手伝いいたします」
マリアに肩の金具をパチンっと取られると、あれよあれよという間に全て脱がされた。
「じ、自分でやるよ」
「いいえ。これも私の仕事ですので。こちらの首飾りも外しましょう」
そう言ってマリアが首飾りに手を伸ばすと、バチッと音を立てた。びっくりしたマリアは伸ばした手を引っ込めてこちらを見つめてきた。
「この首飾りは私以外は触れないの。外さなくても大丈夫だからこのままでいいよ」
「畏まりました。では湯船に」
マリアは私に湯船に浸かるよう促してきた。丸裸も寒いので、渋々湯船に浸かった。赤い花びらはバラのような匂いがした。
「この花はなんていうの?」
「こちらはバラでございます」
なるほど。物の名前は私の世界とあまり変わらないのかもしれないと思いながらマリアに身を任せた。隅々まで丁寧に洗ってもらい、湯船から出るとタオル敷かれた簡易的なベッドに横になるように指示された。
うつ伏せになって寝ると、マリアはバラの匂いがする香油で頭から足の先まで全身くまなく塗り込んできた。時折り痛い場所もあったが、塗りながらされるマッサージが気持ちよく終わった頃には体の中からポカポカになった。
浴室から出る前に丁寧に体を拭かれ、脱衣所のような場所で下着(また紐でした)を身につけられ、薄い青色の生地が使われたエンパイアスタイルのようなドレスを着させられた。
髪の毛はマリアが何かを呟くとホワッと温かい空気に包まれ、一瞬のうちに乾いた。
「ありがとう。すごく気持ちよかった」
「それは、ようございました。お水をご用意しますのでソファーにかけてお待ちください」
マリアは一礼した後に広間に用意されている水瓶から、陶器でできたコップに水を注いでテーブルの上に置いた。コップを手に取り、一気に飲み干すとプハーっと息をついた。
「おかわりはいかがですか?」
「大丈夫。ありがとう」
「では、夕食が整うまでしばし自室でお待ちください」
マリアは一礼した後に部屋から出て行った。
『もう声出して会話していいかな』
『一応ドアの向こうに警備のために騎士がいるみたいです。様子を伺ってるようなので、まだ心での会話の方がいいかもしれないです』
『わかった。独り言多い人って思われるるの嫌だしね』
お風呂の間は大人しくソファーに丸くなって寛いでいたリチェ様の隣に腰掛けて背中を撫でた。
『ねぇ。そういえばルイスがリーン神って言ってたけど、リチェ様のこの世界の神様としての名前?』
『そうとも言えますし、違うとも言えますね』
ユラユラと尻尾を揺らしながらリチェ様はテーブルの上に飛び乗ると、向かい合うようにその場に座った。
『第8世界には様々な宗教が生まれました。なので人々が崇める神も複数います。リーン神は知恵の神として教えを説いてる神で、この国はリーン教を信仰してます』
『でも神託はリチェ様がしたんだよね?』
『はい。この世界の神々は全て私ですから』
はて?どういう意味だろうと私はリチェ様の言葉が理解できず首を傾げた。その様を見たリチェ様は少し笑ったような雰囲気を出した。
『姿や形、性別に教えや名前。どれも違いますが、元を辿ると全て私ということです。あまりよく考えすぎない方がいいですよ!私が神であるということだけ認識してれば大丈夫ですって』
テーブルからこちらの膝に乗り移ってきたリチェ様は肉球でポンポンって私の膝を叩いた。
『今日はもうご飯を食べて、ゆっくり寝ましょう!明日からは胡散臭い王太子と一日中一緒なんですから、英気を養わないと!』
『そ、そうだね』
そんな会話をしている間にマリアが部屋にやってきて一階の食堂に案内された。テーブルの絵にはスープ、前菜からメインのお肉までフルコースの料理が置かれていた。
リチェ様用のご飯は魚のほぐしみのようなものが入った皿がテーブルの上に置かれていた。
なるべく音を立てないようにしながら食事をはじめた。出された料理は特に食べられない物なく、美味しい夕食に舌鼓を打った。リチェ様も満足そうに顔を洗っている。
食後のお茶を飲んでくつろいだあと、再び自室に案内された。せっかくきたドレスは脱がされ、シンプルデザインの白いネグリジェに着替えさせられた。
「マイカ様。私はこれにて失礼いたします。何かあればベルでお呼びください。また明日の朝になりましたら伺いますので。それまではゆっくりお休みください」
「うん。わかった。おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
部屋から出ていくマリアを見送った後リチェ様と2人で寝室に向かった。
「リチェ様。ここなら大きな声ださなければ喋っていいよね?」
『そうですね!マイカさん、この世界はどうですか?過ごしやすいですか?』
「まだなんともわかんないけど。今のところ不自由はしてないかな」
『よかった!』
「あ、リチェ様のこと名前呼んでも大丈夫?」
『はい。リチェルカーレの名前は知られてないので民達も私が神だとは気がつかないと思いますし、問題ないです!』
「わかった。もう色々あって疲れたから寝よっか」
私が布団に潜り込むとリチェ様は枕元にちょこんとと座った。
『はい、おやすみなさい。寝てる間の警備はおませください!』
よろしくーっと声をかけて目を瞑ると、思いのほか疲れていたのか私はすぐに眠った。
「マイカ様。私も本日はこれにて失礼します。この離宮のものは全て自由にお使いください。一階はこの広間と食堂、図書室。2階はマイカ様の寝室と衣装室、浴室がございます。手洗いも完備されております。使い方などわからないことがあれば、マリアにお申し付けください」
「何から何までありがとう。シャルムのことをルイスと呼んでもいいかしら?」
「マイカ様に初めて名前を呼んでいただけるとは。もちろんでございます」
ルイスは驚いたように目を見開いた後に、初めて笑顔を見せた。無表情からの微笑み。しかも美形。ギャップ萌えだ。きゅんっと胸が疼いた。
「では、失礼いたします」
無表情に戻ったルイスはそう言って部屋から出て行った。
『美形の微笑みやばいんだけどぉぉお!」
『マイカさん。ルイスが気に入ったんですか?』
心の中で叫びながら膝の上のリチェ様を撫で回していると、リチェ様はコロンっとお腹を出してもっとしてーっとねだりながら声をかけてきた。
『気に入ったというか。1番まともそうだからかな。王太子はなんか胡散臭いし。黒髪さんは怖い顔してるし。黒フードは顔も見せないくせに怯えてるし。赤毛さんはニヤニヤ人の胸ばっかり見てたのよ?』
『確かにその中ではルイスはまともですね。あ、マイカさんそこもっと!』
リチェ様の白い毛皮をもみくちゃにしながら触っていると、気持ちがいいのかリチェ様はうっとりしだした。
「聖女様」
ん?っと顔を上げて声をした方に目を向けると、マリアが立っていた。
「あ、マリアもマイカって呼んでね」
「はい。畏まりました。ではマイカ様、そろそろ日が暮れます。夕食の前に湯浴みなさいますか?」
「もうそんな時間か。じゃ、そうしようかな。案内お願いね」
「畏まりました。では2階に向かいましょう」
私はモフモフタイムをやめてリチェ様を抱っこして立ち上がると、マリアについて浴室に向かった。
「マイカ様の自室は入ってすぐにソファーがある広間。広間は各部屋の中間地点となっております。右側の扉が寝室。寝室の中に衣装室に通じる扉がございます。左側の扉が手洗いと浴室でございます」
ふんふんっと頷きながらマリアの説明を聞いた。雰囲気は高級ホテルのロイヤルスウィートのようだ。一階の広間より調度品や家具は女性向けの色味やデザインが多い。寝室の作りが気になって扉を開くと、ドーンっとキングサイズの天窓付きベッドが置いてあった。
『すごい部屋だね。お姫様になった気分』
『マットレスもふかふかですよー!』
リチェ様はぴょんっとベッドの上に乗ってゴロゴロと背中を擦り付けるようにくねくねしはじめた。猫になってからというものの、リチェ様は本能に抗えない様子だ。ベッドの上に腰掛けてリチェ様を見ながら、こちらにきてから初めて心から笑った。
「マイカ様。湯浴みの準備が整いました。こちらへどうぞ」
リチェ様とベッドの上でキャッキャッと戯れていると、マリアに声をかけられた。無邪気にはしゃいだ姿を見られて恥ずかしくなったが、マリアの表情が特に変わらなかったので乱れた服を整えてベッドから降り浴室に向かった。
浴室に入ると白いバスタブが一つあり、すでにお湯が入っており真っ赤な花びらが浮かんでいた。
「では、お手伝いいたします」
マリアに肩の金具をパチンっと取られると、あれよあれよという間に全て脱がされた。
「じ、自分でやるよ」
「いいえ。これも私の仕事ですので。こちらの首飾りも外しましょう」
そう言ってマリアが首飾りに手を伸ばすと、バチッと音を立てた。びっくりしたマリアは伸ばした手を引っ込めてこちらを見つめてきた。
「この首飾りは私以外は触れないの。外さなくても大丈夫だからこのままでいいよ」
「畏まりました。では湯船に」
マリアは私に湯船に浸かるよう促してきた。丸裸も寒いので、渋々湯船に浸かった。赤い花びらはバラのような匂いがした。
「この花はなんていうの?」
「こちらはバラでございます」
なるほど。物の名前は私の世界とあまり変わらないのかもしれないと思いながらマリアに身を任せた。隅々まで丁寧に洗ってもらい、湯船から出るとタオル敷かれた簡易的なベッドに横になるように指示された。
うつ伏せになって寝ると、マリアはバラの匂いがする香油で頭から足の先まで全身くまなく塗り込んできた。時折り痛い場所もあったが、塗りながらされるマッサージが気持ちよく終わった頃には体の中からポカポカになった。
浴室から出る前に丁寧に体を拭かれ、脱衣所のような場所で下着(また紐でした)を身につけられ、薄い青色の生地が使われたエンパイアスタイルのようなドレスを着させられた。
髪の毛はマリアが何かを呟くとホワッと温かい空気に包まれ、一瞬のうちに乾いた。
「ありがとう。すごく気持ちよかった」
「それは、ようございました。お水をご用意しますのでソファーにかけてお待ちください」
マリアは一礼した後に広間に用意されている水瓶から、陶器でできたコップに水を注いでテーブルの上に置いた。コップを手に取り、一気に飲み干すとプハーっと息をついた。
「おかわりはいかがですか?」
「大丈夫。ありがとう」
「では、夕食が整うまでしばし自室でお待ちください」
マリアは一礼した後に部屋から出て行った。
『もう声出して会話していいかな』
『一応ドアの向こうに警備のために騎士がいるみたいです。様子を伺ってるようなので、まだ心での会話の方がいいかもしれないです』
『わかった。独り言多い人って思われるるの嫌だしね』
お風呂の間は大人しくソファーに丸くなって寛いでいたリチェ様の隣に腰掛けて背中を撫でた。
『ねぇ。そういえばルイスがリーン神って言ってたけど、リチェ様のこの世界の神様としての名前?』
『そうとも言えますし、違うとも言えますね』
ユラユラと尻尾を揺らしながらリチェ様はテーブルの上に飛び乗ると、向かい合うようにその場に座った。
『第8世界には様々な宗教が生まれました。なので人々が崇める神も複数います。リーン神は知恵の神として教えを説いてる神で、この国はリーン教を信仰してます』
『でも神託はリチェ様がしたんだよね?』
『はい。この世界の神々は全て私ですから』
はて?どういう意味だろうと私はリチェ様の言葉が理解できず首を傾げた。その様を見たリチェ様は少し笑ったような雰囲気を出した。
『姿や形、性別に教えや名前。どれも違いますが、元を辿ると全て私ということです。あまりよく考えすぎない方がいいですよ!私が神であるということだけ認識してれば大丈夫ですって』
テーブルからこちらの膝に乗り移ってきたリチェ様は肉球でポンポンって私の膝を叩いた。
『今日はもうご飯を食べて、ゆっくり寝ましょう!明日からは胡散臭い王太子と一日中一緒なんですから、英気を養わないと!』
『そ、そうだね』
そんな会話をしている間にマリアが部屋にやってきて一階の食堂に案内された。テーブルの絵にはスープ、前菜からメインのお肉までフルコースの料理が置かれていた。
リチェ様用のご飯は魚のほぐしみのようなものが入った皿がテーブルの上に置かれていた。
なるべく音を立てないようにしながら食事をはじめた。出された料理は特に食べられない物なく、美味しい夕食に舌鼓を打った。リチェ様も満足そうに顔を洗っている。
食後のお茶を飲んでくつろいだあと、再び自室に案内された。せっかくきたドレスは脱がされ、シンプルデザインの白いネグリジェに着替えさせられた。
「マイカ様。私はこれにて失礼いたします。何かあればベルでお呼びください。また明日の朝になりましたら伺いますので。それまではゆっくりお休みください」
「うん。わかった。おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
部屋から出ていくマリアを見送った後リチェ様と2人で寝室に向かった。
「リチェ様。ここなら大きな声ださなければ喋っていいよね?」
『そうですね!マイカさん、この世界はどうですか?過ごしやすいですか?』
「まだなんともわかんないけど。今のところ不自由はしてないかな」
『よかった!』
「あ、リチェ様のこと名前呼んでも大丈夫?」
『はい。リチェルカーレの名前は知られてないので民達も私が神だとは気がつかないと思いますし、問題ないです!』
「わかった。もう色々あって疲れたから寝よっか」
私が布団に潜り込むとリチェ様は枕元にちょこんとと座った。
『はい、おやすみなさい。寝てる間の警備はおませください!』
よろしくーっと声をかけて目を瞑ると、思いのほか疲れていたのか私はすぐに眠った。
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