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-後宮事変-
弐
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侍女が乗り込んでくる騒ぎが落ち着き、すこしの遅れは出つつも仕事はいつも通り始まる。
というより、遅れた分下女の食事の時間が縮められた。他の宮からすれば、他所の宮の侍女と下女の事情など関係がないのだから仕方ないといえば、仕方ない。だからと言って納得できるものでもないが。
大概の下女たちは、それでも今日拝めた人物のお陰か満足そうではあった。
「リシャナは機嫌悪いね」
「カジャク様だっけ?あれで許せる程私は、おめでたく無いんでね」
「誰かに聞かれたら怒られるよ?」
リシャナのつぶやきに、それはそうだけどと困ったように笑ったメイメイが、あたりを気にするように視線を動かす。
「別にいいよ、私からすればあれは悪寒ものだし」
「ほんと、リシャナって変だよね?私は素敵だと思うなぁ、カジャク様……遠目に見るだけならだけどね」
メイメイは肩を抱いてふるっと震えてみせるリシャナに、けらけらと笑ってから、少し同意してみせる。
リシャナと仲が良いだけに、メイメイもそれなりに、男への視線が厳しい。というよりは、多分あれに声をかけられてほかの下女やら侍女やらその他大勢に睨まれるのは、面倒くさいから関わり合いになりたくないのだろう。年が離れすぎてるからってのもありそうだが。
リシャナも同じ気持ちであり、特段興味もなければ、お近づきにもなりたくない。
第一そもそも、それも宦官である。
時間がないため、仲のいいもの同士で皆、簡単なものをそれぞれ作って持ち寄り手早く朝食を支度した食事の中、あちこちで浮き足立つ下女達の、リシャナとメイメイの間でも話題に上がるのは、先程藤の宮の侍女の横暴を止めた男、カジャクについてだった。
長い艶やかな暗青色の髪を風になびかせ颯爽と下女の列の最後尾から現れた、鼻筋が通り、一見美女とも言える美しい見目のいい顔の男。
最後尾、リシャナの横を通り抜け、割れる下女の列の真ん中を堂々と歩いていった。一部の下女など、顔を真っ赤にして、今にも倒れそうな物もいたくらいだった。
(あれのどこがいいのか、分からん)
遠い目であの光景を思い出し、深いため息を吐いた。
それでも、近くで見れば男に興味はないリシャナでも、あれが宦官なのはもったいないなぁと思うほど。
周りの態度でわかるように、下女の間でもよく聞く、人気の宦官様である。
リシャナの見立てでは、立場は後宮の管理辺り、彼の宦官に対しては、大抵の人は礼儀をかかさないところから見て、かなりの地位だろう。宦官だけど。
もしかしたら、顔がいいからというのもあるだろう。女には無論だが、武官とか男にもモテる顔してると鼻で笑う。
時折、陛下の通いのない姫が夜のお茶会を誘うのも見かけるが、大体そのしばらくののちそういう姫は下賜等の形で他の貴族に嫁いで行くこともある。
そもそも、後宮の姫として来た者が、宦官だろうと他の男を単体で誘うのはどうかとも思うが、元々くらいの高い姫付きの侍女たちも似たようなものである。
そういった、メイメイから流れてくる噂を聞き、陛下の正室および側室候補の素質や品性、そういう役目も担ってると予想できた。
メイメイ曰く、場所によっては陛下の寵愛を受けてるのだとかも聞く。
(もしかしたら元々種無しであった可能性もあるよなぁ)
医者見習いのリシャナからすれば、二十歳前半かそのくらいでこの職につくというのは、可能性として考えられる極めて失礼な思考を持っていた。
勿論、刑によっての可能性もあるが、そんな人物が後宮の管理を任されるはずもないから除外する。
何より顔立ちと纏う空気的には貴族、どこかの跡を継げない種無しか、次男坊以下あたりだろう。家から出世できないなら、自刑で一代出世してしまおうと考えてるのかもしれない。
予想が合ってれば、実際成功してる部類だと思う。陛下から後宮を任されるなら、それは相当信頼されてる証なのだから、外でも地位は高いものだろう。
リシャナとしては、なぜ宦官でありながらあの美貌を維持してるのか、そっちの方が摩訶不思議できになるところではあった。
関わり合いになりたくはないが、そこばかりは気になるものである。
なにせ、宦官になるとその体質が変化し太りやすくなったり、声が高くなったりと男らしさからは離れていく。男らしさという点で言えば、確かに女性っぽくも見えはするから、そうなのだろうかと言われればそうだが、ちょっと違うような気もすると首をひねる。
どちらにせよ、すでに後宮を出入りする男なら、宦官だ。例え噂通り陛下の寵愛男子だろうと、ここで姫と間違いがあっては困るのだから。
現に女にも男にも誘われてる人気っぷりなのだから。
そんな感じで、我らがカジャク様の登場で、藤の宮の侍女は主人……あれは、どちらかといえばカジャクへ悪印象を与えてしまうことで、自分の立場が危うくなるのを危惧している表情だったが、すごすごと帰っていった。
リシャナの目にはばっちりと、甘い顔で微笑むカジャクに頬を染めて立ち去る侍女が見えていた。
リシャナは思い出した歯の浮くような顔に、うえと再び悪寒に震えて、しかめ顔を浮かべると不思議そうに、興味を示すメイメイを急かして食事を済ませ、仕事へと別れた。
「ちょっと!何やってるの遅いじゃない!」
「すっすみません、下女たちの到着が遅く……」
「そんな事、関係ないわ!妾を飢えさせる気!」
リシャナの耳に、部屋の奥で、キンキンと頭に響く金切り声をあげる女性と、必死に謝る声が届く。
やってんなぁと呆れた溜息を吐くとちょっと、食事が遅れたくらいで飢えるわけがないだろと、心の中で突っ込んだリシャナは、受け取った洗濯物を洗濯場へと運ぶ。
杏の宮の姫は、少々、いやかなりの癇癪持ちで、気に入らないことがあればすぐ、あの金切り声で喚き散らす。
ほんの少し、いつもより食事が遅れたことに、侍女へ当たっていた。
そりゃ、陛下もこんなところに来たくはないな、といろんな香水と化粧の混ざった、もはや異臭とも言える衣服に顔をしかめる。
なぜこんなわがままお姫様が、未だいられるのかといえば、一度だけ陛下のお通りがあったからに他ならない。
リシャナが連れて来られる数ヶ月ほど前、後宮入りしたらしい。そしてその日の夜すぐに通りがあった。これもメイメイから聞いた話だが、来たばかりの頃は物静かで、麗しの姫君と一時期もてはやされてたとか。
どれだけ、問題児でも一度でも通いがあれば、出てから子供ができたなどという頓珍漢な、世継ぎに関してのいざこざを防ぐべく通いがあった日から半年は、後宮に留まることになる。
その間に一度も陛下の通いがなくとも、本人の意思があれば、そのまま留まることが出来る。大半の長い姫は大体そんな感じで、陛下の通いがなくても一度の通いで堂々と居座る。
流石に男を連れ込んだだとか、大き問題を起こせば、追い出されるが、杏の姫は今のところ侍女への癇癪か、洗濯物の量くらいなので、追い出されるほどでも無いらしい。
リシャナとしては、さっさと諦めて帰ってほしいところでもある。陛下は、蘭と藤くらいにしか今は通って居ない。他の姫のところにも偶に向かいはするらしいが、世継ぎはその二人の間からしか上がって来ない。
といっても、陛下の通いはなによりも蘭が多いらしい、これもメイメイからの情報だった。
一度目以降一度も来ないからこそ、ストレスで今の有り様なのかもしれないけれども、なんとも惨めこの上ない。何がそこまで陛下の興味が欲しいものかと肩を竦めた。
ともかく、ここの仕事をすると、しばらく鼻の奥にこのきつく甘ったるい匂いが残るのが不快この上ない。
あの金切り声で怒鳴られるのは、下女は直接姫に会うことがない。そこは、影響はないから対岸の火事と、何食わぬ顔で窓下を通過しようとして、頭上から水が降ってくる。
(八つ当たりね)
避けれはする。けれど、下手に避けて騒がれたり侍女に難癖つけられるのも面倒だと、そのまま頭から水かぶったリシャナが顔をあげた。
花瓶の水だろう、落ちてきた花と、すこし青臭い水に眉をしかめながら、水が降ってきた窓へ視線を向ければ、侍女のらしき綺麗な服を着た女性が二人ほど、覗いていた。
目が合えば、少し慌てたように、素知らぬ顔をして窓から離れていく。くすくすと、含み笑いしているのが隠した口元からにじみ出てる。
「もう少し、なにかないんかな……しょうもない」
滴る水もそのままに、洗濯物の上に落ちた花を見ながらため息を吐くと、そのまま洗濯場へと向かう。
自分たちの、姫の服が濡れること考えてないよなぁと、短略的な侍女たちに呆れながら、洗濯するの私だからいいと思ってんだろうなと、首を振る。
「むしろ、姫の服だからだろうけど」
行き場のない鬱憤をこうして払ってるんだろう。侍女も侍女で付く人によっては大変だなと、他人事のように呟けばさっさと済ませてしまおうと、洗濯カゴをかかえ直して、洗濯場へと向かった。
というより、遅れた分下女の食事の時間が縮められた。他の宮からすれば、他所の宮の侍女と下女の事情など関係がないのだから仕方ないといえば、仕方ない。だからと言って納得できるものでもないが。
大概の下女たちは、それでも今日拝めた人物のお陰か満足そうではあった。
「リシャナは機嫌悪いね」
「カジャク様だっけ?あれで許せる程私は、おめでたく無いんでね」
「誰かに聞かれたら怒られるよ?」
リシャナのつぶやきに、それはそうだけどと困ったように笑ったメイメイが、あたりを気にするように視線を動かす。
「別にいいよ、私からすればあれは悪寒ものだし」
「ほんと、リシャナって変だよね?私は素敵だと思うなぁ、カジャク様……遠目に見るだけならだけどね」
メイメイは肩を抱いてふるっと震えてみせるリシャナに、けらけらと笑ってから、少し同意してみせる。
リシャナと仲が良いだけに、メイメイもそれなりに、男への視線が厳しい。というよりは、多分あれに声をかけられてほかの下女やら侍女やらその他大勢に睨まれるのは、面倒くさいから関わり合いになりたくないのだろう。年が離れすぎてるからってのもありそうだが。
リシャナも同じ気持ちであり、特段興味もなければ、お近づきにもなりたくない。
第一そもそも、それも宦官である。
時間がないため、仲のいいもの同士で皆、簡単なものをそれぞれ作って持ち寄り手早く朝食を支度した食事の中、あちこちで浮き足立つ下女達の、リシャナとメイメイの間でも話題に上がるのは、先程藤の宮の侍女の横暴を止めた男、カジャクについてだった。
長い艶やかな暗青色の髪を風になびかせ颯爽と下女の列の最後尾から現れた、鼻筋が通り、一見美女とも言える美しい見目のいい顔の男。
最後尾、リシャナの横を通り抜け、割れる下女の列の真ん中を堂々と歩いていった。一部の下女など、顔を真っ赤にして、今にも倒れそうな物もいたくらいだった。
(あれのどこがいいのか、分からん)
遠い目であの光景を思い出し、深いため息を吐いた。
それでも、近くで見れば男に興味はないリシャナでも、あれが宦官なのはもったいないなぁと思うほど。
周りの態度でわかるように、下女の間でもよく聞く、人気の宦官様である。
リシャナの見立てでは、立場は後宮の管理辺り、彼の宦官に対しては、大抵の人は礼儀をかかさないところから見て、かなりの地位だろう。宦官だけど。
もしかしたら、顔がいいからというのもあるだろう。女には無論だが、武官とか男にもモテる顔してると鼻で笑う。
時折、陛下の通いのない姫が夜のお茶会を誘うのも見かけるが、大体そのしばらくののちそういう姫は下賜等の形で他の貴族に嫁いで行くこともある。
そもそも、後宮の姫として来た者が、宦官だろうと他の男を単体で誘うのはどうかとも思うが、元々くらいの高い姫付きの侍女たちも似たようなものである。
そういった、メイメイから流れてくる噂を聞き、陛下の正室および側室候補の素質や品性、そういう役目も担ってると予想できた。
メイメイ曰く、場所によっては陛下の寵愛を受けてるのだとかも聞く。
(もしかしたら元々種無しであった可能性もあるよなぁ)
医者見習いのリシャナからすれば、二十歳前半かそのくらいでこの職につくというのは、可能性として考えられる極めて失礼な思考を持っていた。
勿論、刑によっての可能性もあるが、そんな人物が後宮の管理を任されるはずもないから除外する。
何より顔立ちと纏う空気的には貴族、どこかの跡を継げない種無しか、次男坊以下あたりだろう。家から出世できないなら、自刑で一代出世してしまおうと考えてるのかもしれない。
予想が合ってれば、実際成功してる部類だと思う。陛下から後宮を任されるなら、それは相当信頼されてる証なのだから、外でも地位は高いものだろう。
リシャナとしては、なぜ宦官でありながらあの美貌を維持してるのか、そっちの方が摩訶不思議できになるところではあった。
関わり合いになりたくはないが、そこばかりは気になるものである。
なにせ、宦官になるとその体質が変化し太りやすくなったり、声が高くなったりと男らしさからは離れていく。男らしさという点で言えば、確かに女性っぽくも見えはするから、そうなのだろうかと言われればそうだが、ちょっと違うような気もすると首をひねる。
どちらにせよ、すでに後宮を出入りする男なら、宦官だ。例え噂通り陛下の寵愛男子だろうと、ここで姫と間違いがあっては困るのだから。
現に女にも男にも誘われてる人気っぷりなのだから。
そんな感じで、我らがカジャク様の登場で、藤の宮の侍女は主人……あれは、どちらかといえばカジャクへ悪印象を与えてしまうことで、自分の立場が危うくなるのを危惧している表情だったが、すごすごと帰っていった。
リシャナの目にはばっちりと、甘い顔で微笑むカジャクに頬を染めて立ち去る侍女が見えていた。
リシャナは思い出した歯の浮くような顔に、うえと再び悪寒に震えて、しかめ顔を浮かべると不思議そうに、興味を示すメイメイを急かして食事を済ませ、仕事へと別れた。
「ちょっと!何やってるの遅いじゃない!」
「すっすみません、下女たちの到着が遅く……」
「そんな事、関係ないわ!妾を飢えさせる気!」
リシャナの耳に、部屋の奥で、キンキンと頭に響く金切り声をあげる女性と、必死に謝る声が届く。
やってんなぁと呆れた溜息を吐くとちょっと、食事が遅れたくらいで飢えるわけがないだろと、心の中で突っ込んだリシャナは、受け取った洗濯物を洗濯場へと運ぶ。
杏の宮の姫は、少々、いやかなりの癇癪持ちで、気に入らないことがあればすぐ、あの金切り声で喚き散らす。
ほんの少し、いつもより食事が遅れたことに、侍女へ当たっていた。
そりゃ、陛下もこんなところに来たくはないな、といろんな香水と化粧の混ざった、もはや異臭とも言える衣服に顔をしかめる。
なぜこんなわがままお姫様が、未だいられるのかといえば、一度だけ陛下のお通りがあったからに他ならない。
リシャナが連れて来られる数ヶ月ほど前、後宮入りしたらしい。そしてその日の夜すぐに通りがあった。これもメイメイから聞いた話だが、来たばかりの頃は物静かで、麗しの姫君と一時期もてはやされてたとか。
どれだけ、問題児でも一度でも通いがあれば、出てから子供ができたなどという頓珍漢な、世継ぎに関してのいざこざを防ぐべく通いがあった日から半年は、後宮に留まることになる。
その間に一度も陛下の通いがなくとも、本人の意思があれば、そのまま留まることが出来る。大半の長い姫は大体そんな感じで、陛下の通いがなくても一度の通いで堂々と居座る。
流石に男を連れ込んだだとか、大き問題を起こせば、追い出されるが、杏の姫は今のところ侍女への癇癪か、洗濯物の量くらいなので、追い出されるほどでも無いらしい。
リシャナとしては、さっさと諦めて帰ってほしいところでもある。陛下は、蘭と藤くらいにしか今は通って居ない。他の姫のところにも偶に向かいはするらしいが、世継ぎはその二人の間からしか上がって来ない。
といっても、陛下の通いはなによりも蘭が多いらしい、これもメイメイからの情報だった。
一度目以降一度も来ないからこそ、ストレスで今の有り様なのかもしれないけれども、なんとも惨めこの上ない。何がそこまで陛下の興味が欲しいものかと肩を竦めた。
ともかく、ここの仕事をすると、しばらく鼻の奥にこのきつく甘ったるい匂いが残るのが不快この上ない。
あの金切り声で怒鳴られるのは、下女は直接姫に会うことがない。そこは、影響はないから対岸の火事と、何食わぬ顔で窓下を通過しようとして、頭上から水が降ってくる。
(八つ当たりね)
避けれはする。けれど、下手に避けて騒がれたり侍女に難癖つけられるのも面倒だと、そのまま頭から水かぶったリシャナが顔をあげた。
花瓶の水だろう、落ちてきた花と、すこし青臭い水に眉をしかめながら、水が降ってきた窓へ視線を向ければ、侍女のらしき綺麗な服を着た女性が二人ほど、覗いていた。
目が合えば、少し慌てたように、素知らぬ顔をして窓から離れていく。くすくすと、含み笑いしているのが隠した口元からにじみ出てる。
「もう少し、なにかないんかな……しょうもない」
滴る水もそのままに、洗濯物の上に落ちた花を見ながらため息を吐くと、そのまま洗濯場へと向かう。
自分たちの、姫の服が濡れること考えてないよなぁと、短略的な侍女たちに呆れながら、洗濯するの私だからいいと思ってんだろうなと、首を振る。
「むしろ、姫の服だからだろうけど」
行き場のない鬱憤をこうして払ってるんだろう。侍女も侍女で付く人によっては大変だなと、他人事のように呟けばさっさと済ませてしまおうと、洗濯カゴをかかえ直して、洗濯場へと向かった。
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