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第五章 キングダムインベードミッション

国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!

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「おーい、レイ。どこ行ったー。昨日お尻ペンペンしたことまだ怒ってんのかー?」

 私、ユキが朝起きて最初に気付いたのは、レイの姿がない事だった。

 どうせまた町をほっつき歩いては、出会った知り合いに私に対しての陰口、もとい愚痴を言いふらしてまわっているのだろう、アイツも暇だなーと、楽観して考えていたのだが、

「……どこにもいねーでやんの、アイツ」

 火の中、草の中、水の中、森の中、ついでに私のスカートの中も覗いたがスパッツしか見えなかった。パンツじゃないから恥ずかしくねーってこった。

 そんな訳でなかなかなかなか大変な訳だが、レイを探して城下町を歩いていると、とある人の集まりが目についた。なにやら人混みの中央で誰かが演説でもしているみたいだ。

 その人物を、私は見たことがあった。というか、

「……あれって王様じゃねーか?」




 ※





「……昔々のそのまた昔、とある貴族の二人の兄弟……以下略称。そうして生まれたje(私)が正当な王位継承者って訳☆」

「キャーー!!」

「うおぉぉぉぉお!」

「今日はみんなにХара шоу(素晴らしい)なお知らせがあるんだぜ☆心してlisten(聞く)してくれよな☆」

「キャァァーーー!!!」

「うおおおォォォォロ!!」

「…………」

 人が疎らに集まるその中心に、熱烈な歓声(笑)を浴びる男が一人。

 ……実際、歓声に聞こえるそれらはただの悲鳴と嘔吐の音なのだが。

 自信満々なディベートとは裏腹に、残念なくらいのブ男、それがこの国の王様、レオ=レイカであった。

「実は昨晩、王城にEindringling(侵入者)が現れた。我々は何とかそれらをExclusion(排除)した訳だが、侵入者、その正体が本日行われる世界大戦のメンバーであったってことが大きなproblem(問題)なんだぜ☆」

「……えっ!?」

「ま、マジかよ……」

「それじゃあ大会は中止か……?」

 王様の衝撃の一言に、流石に先ほどまで悲鳴やらを上げていた人達も息をのみ、驚きの声を上げる。

 ……かくいう私も同様で、気付けば私は人混みの中に割って入っていた。

「陛下!レオ国王陛下!」

 私はその名を叫ぶ。

 辺りの視線は一斉に私に向いた。私も世界大戦に出場するメンバーだ。周りからは困惑の声、暴言、怒声が飛び交う。

「おお、ユキちゃん☆久しぶり。皆さん一旦Тихо(静かに)彼女はテロリストの仲間ではありません。……むしろ、おおいに協力してくれる、はずです☆」

「…………」

 王様のその一声で、観衆は一瞬で静まり返った。

「……流石ですね。王の言葉に国民は戸惑うこと無く従う。しかもこんな町の往来で、王がその身一つで闊歩する。平和な証拠です」

「でしょう。もっと誉めて☆」

「キャーー!!」

「うおぇぇぇ!!」

「…………」

 ……私は早速前言を撤回しようかと思ったが、それよりももっと気がかりなことがあった。

「……国王陛下、先程仰っていた王城に潜入したテロリストというのは、一体誰のことなのでしょうか?」

 国王陛下は首を振る。

「それは、I don't know(知らない)近衛兵達の報告待ち、だね☆」

「……左様ですか」

「……でも安心して☆君は違うって確証があるから、疑ってないよ☆何故なら……」

 王様はわざとらしく肩を落として悲観的なジェスチャーをする。……これから一体何をするんだ。私もこのブ男の顔面をずっと見続けられる程の精神力はないぞ?この王様も、ブサイクメイクをひとまず落とせば、悪くない顔をしているのだが……

「……レイちゃんが拐われたんだ」

「……………………え?」

 突如、真面目な顔で、レオ=レイカはそう言った。

 ……虚を付かれた私は声を紡げず、あたふたしているところに王様は続ける。

「……テロリストの正体は分からない。けど、私がは首謀者は東の国のエドなんじゃないかって思ってる。そこで、君に協力してもらいたいんだ」

「……エド?なんでアイツが……」

「……奴の目的を、僕は知ってるから」

「…………」

 ……お茶らけた雰囲気は露ほど感じない、真剣な瞳に私は目を奪われた。

「……協力してくれるかい?」

「………………ああ」

「……ありがとう☆それじゃあ、作戦を話すよ☆」




 ※





「……あ~あ、あんな大法螺吹いて、アンタ“地獄”に落ちるわよ」

「いや、実は一言も嘘はついてないんだよね、これが☆僕はテロリストがレイちゃんを拐ったなんて一言も言ってないし、テロの首謀者、エドの正体は未だに不明だし☆なんなのアイツ、なんであんなに強いの、鎧の中身どうなってるの?」

「鎧の中身が知りたくてーー。」

「……ま、てなわけで、僕は嘘はついてません!勝訴☆」

「い~や、アンタは大きな嘘を一つついた。…………この国は決して平和なんかじゃない、“地獄”だよ」

「……はは、言えてる☆」













『国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!国王陛下万歳!』






 そう合唱した人々は皆一斉に天を仰ぐと、魂が抜け落ちたかのように膝から崩れ落ちて、死んだ。




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