30 / 100
第二章 メモリー&レイルート
やっぱり変態スケベのバカヤローですね。
しおりを挟む風呂場を覗くと、脱衣所の電気がついていた。
脱衣棚を見渡すが、着替えらしき者はない。一体誰が、何をしにここに来たのだろう。清掃の方だろうか?今が何時かは分からないがこんな時間に行っているのか。
旅館等に泊まるとき、浴槽の掃除はいつしているのかと考えた事はあるが、布団を敷いて、風呂場に人がいなくなったらするものだと思っていた。こんな、日も変わった時間帯に本当に掃除をしているのだろうか?
……何か急に疑わしくなってきた。本当に清掃員か?だがそれ以外に思い当たる節がない。
俺は浴室のドアを音をたてないように開ける。そしてその隙間から中を覗く。
「はぁはぁはぁ……。」
浴室からは女性が喘ぐような声が聞こえる。ヤバい、エロい。下半身が元気になる。
好奇心にかられ、俺はドアを更に開く。
その時、気持ちが高ぶり、ドアを開ける手に力が入る。そして、ギギィ、とドアが音をたててしまう。
「だ、誰ですか!?」
ドアの向こうから声が聞こえた。ヤバい。完全にばれた。どうする、どうするんだ、俺。脳をフル回転させる。て言うかさっきの声どこかで…。
しばらく考えるが、名案は浮かばず、するとドアが開かれる。先程の声の主が向こうからドアを開いたようだ。
「……貴方ですか。何ですか、覗きでもしようと思ってたんですか?…やっぱり変態スケベのバカヤローですね。」
そこには綺麗な空色の髪、銀縁の眼鏡をかけた美少女。レイがそこにたっていた。レイの蔑む様な視線が俺に突き刺さる。
「待って!待ってレイさん!!誤解だから!!」
俺は先程の出来事を誤解がないよう、丁重に説明する。
「……では覗きでは無いと。」
「そもそも脱衣所に着替えがなかったから入浴してた訳じゃないでしょ。」
「……流石は覗きのプロですね。そんな所に目をつけるとは…。」
「いや、違うわ!!!あー、もうめんどくせぇ!!!!」
「ふふ、冗談ですよ。」
いや全く冗談に聞こえない。こいつあれだな、欠点がほぼ無い完璧人間だと思っていたが、そうでもないな。まず色々根に持ちすぎる。あとめんどくさい。
やっぱり完璧な人間なんてこの世にはいないんだろうな。
「所でお前は何やってたんだ。」
不意にした質問。その時、ふと思い出した。レイの喘ぎ声を。途端に心臓の鼓動が早くなる。気まずさにレイから目をそらす。
「私ですか?」
そう答えるレイ。何故かはよく分からないがレイの動作の一つ一つが妙に色っぽく感じる。
……童貞拗らせすぎだろ、俺。
辺りをキョロキョロとする俺を、レイは不思議そうに見るが、それには言及せず質問に答える。
「私は壁の修理ですよ。怪人の襲来で壊れてしまった。」
「……あぁ、なるほど。」
俺は全てを察した。そう言えば風呂場は現在半壊状態だった。レイはその修理を行っていたようだ。しかも一人で。かなりの重労働だ、これは疲れて息も荒れるだろう。よく見てみるとレイは額に汗を浮かべている。
……別に変な想像はしてなかったぞ?俺は。
「でもそういうのって他の守護者達に任せればいいんじゃないか?」
「さっきまではずっと彼女達がやってくれていましたが、不眠不休は流石に辛いと思いまして。」
それで代わってやったというわけか。何だコイツ、いい奴過ぎるだろ。天使か、天使なのか。
「じゃあ今度は俺が代わってやるよ。だからいいよ、休んでて。」
「べ、別に大丈夫ですよそんなこと!!第一にチロさんは客人ですし、それに助けてもらった恩もあります。だから大丈夫ですよ。」
「でもこういう重労働は男の仕事だろ?」
「そ、それでも……。」
頑なに仕事を譲ろうとしないレイ。まあ、確かに客人に仕事をやらせるというのはいささか抵抗があるのは俺も分かる。
「じゃあさ、手伝うよ。一緒に。」
「……いいんですか?」
「ああ、どうせ戻っても寝れないだろうしな。」
もう眠気はすっかり覚めてしまっていた。あんなに体が重かったのに、不思議なものだ。
「…ではよろしくお願いします。」
「おうよ!」
かくして、俺はレイと共に壁工事作業を行った。レイが作業の指示を行い、俺が動く。手際よく作業を進めて、そしてものの数時間で壁工事作業は終わった。
「早かったですね。」
「ああ、少しは寝れる時間がありそうだな。」
レイの質問に、俺は額の汗を拭いながらそう答える。するとレイが少し笑って………
「チロさん、もしよろしければお互い汗をかきましたし、一緒にお風呂にしませんか?」
「……は?」
思わず変な声が出る。それもそうだ。いきなりこんなこといわれたら変な声も出る。
「お前は俺が男だとわかっているよな?」
「ええ。」
「俺に、裸を見られても恥ずかしくないのか?」
「ええ。」
全く物怖じするようすも無く、レイは淡々と答える。俺が困惑し、黙っているとレイは……
「チロさん、前にお嫁にするなら私の様な方がいいと…。そう仰いましたよね?」
「……それは紛れもない“真実”ですか?」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる