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第一章 ボーイ・ミーツ・ツーディーガールズ
ついに……決着!!!後編
しおりを挟む…奪三振でワンナウトの直後にストレートのフォアボールでワンナウトランナーは一塁。
化け物級の速球を投げるタツだったが、それを操るコントロールは壊滅的だった。
ほぼ勝利を確信していた俺たち中央の国チーム。しかしその幻想は一気に崩れ、試合の行方はまだまだ分からなくなった。
「タイムお願いします。」
キャッチャーのライがマウンドに駆け寄っていく。恐らくド真ん中でもいいから打たせていけ!といった話だろう。
そして同時に一塁側、北の国ベンチも何やら動きがあった。次のバッターである一番のレイがベンチの方、代表のユキの所にに向かっていく。
「……どうしたんだよ。サインならねーぞ。」
「…ユキ様、先程は申し訳ありませんでした。」
レイがユキに対して深く頭を下げる。それに対するユキは意外そうな表情を一瞬浮かべたが、直ぐにまた仏頂面に戻る。
レイが話を続ける。
「…私自身、臆病な面がありまして、どうしても消極的な作戦を取ってしまいがちで、決してユキ様の力を見くびっていた訳では無いということを理解していだきたいのと、それとまだ選手たちは諦めていません。なのでユキ様もペンチの端で不機嫌な顔をしていらっしゃらないで、皆さんに声援を送ってあげてください。皆も私もユキ様に繋げば何とかなると思っています。なのでユキ様も決して最後まで諦めないでください。」
「…………いつ誰が諦めたなんて言ったよ?」
「私自身、ユキ様の側近ですから。」
「……ふん、じゃあ打てよ。そして私に繋げ。」
「承知しました。」
両者タイムを終え、試合が再開される。
「ふん!」
「ストライーク!!」
タツはスピードを捨てて、コースをつくピッチングに変えてきた。しかしそれでも球速は150㎞/h後半と速く、中々打てる代物ではない。
「ふん!!」
「おりゃあ!」
「ファールボール!!」
しかしレイもその球に粘り強く食らい付いていく。そしてカウントはツースリーとなった。
「ふんっ!!」
「(甘いッ!!)」
カーンッ!!!
レイの打球は強いゴロで三遊間を抜けていった。
「よっしゃあああ!!繋いだああ!!」
「よく打ったレイ!!流石私の側近だぜ!!」
レイが塁上でガッツポーズで応じて、球場のボルテージはさらに高まっていく。
ワンナウトランナー、一塁、二塁。長打が出れば同点。ホームランでサヨナラという場面になった。
「(タツ、落ち着け。偶然だ。お前の球がそう簡単に連打される訳がない。)」
「(ああ、分かってる。大丈夫だ。)」
タツに慌てた様子は無い。幾多の修羅場をくぐり抜けた男の中の男、この程度では動じない。
「うおおっ!!」
「よっしゃああ!!」
「出たー!レフト前!!」
しかし打球はライナーでレフトへ。幸い当たりが強かったのと、レフトのヒロの好返球でタイムリーにはならなかったもののワンナウト満塁となった。
「何だよ…、ケッコー打たれんじゃねぇか……。」
連打を許して一打同点という場面になってしまった。そして打順はクリーンアップに。ネクストバッターサークルのユキがマウンドのタツにプレッシャーをかける。
「お前が決めろ!!私に回そうとしないでいいぞ!!粉砕してやれ!!」
「チッ、なめんじゃねぇぞこの俺を!!」
ユキの言葉の牽制にも全く動じないタツ。キャッチャーミット目掛け渾身のストレートを投じる。
「おりゃあ!!」
キーン!!
鋭い打球は三遊間へ、レフトへ抜けそうな当たりが襲う。
「てやあああ!!!」
しかしそれをショートのカズがダイビングキャッチ。
「くそっ!!間に合わない!!」
だが、送球が出来ず、サードランナーが返り一点差となる。さらにまた満塁のピンチ。
そこで迎えるのは………。
「よっしゃ!!私がここで引導を渡してやる!!!」
最強のスラッガー。……北の国の"侍"だ。
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