自然と世界は廻る

已己已巳己

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第二十二話 巣立ちの戦利品

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~翌日~
葉月 2人とも、最終確認だけど、準備はできた?
 彩里は、村から巣立つ2人の方を向いて言葉をかけた。
錫谷 もちろん。昨日全部出してきた。
相馬 俺も快便だったぜ!
桜木 そういうことじゃないと思うなーw
相馬 え?
錫谷 そっちこそ、俺含めこいつと一緒で大丈夫そうか?俺が言うのもなんだけどな。
 勇紀は呆れながら6人に聞いた。
岩田 自分たちで決めたなら、俺らには何も言えないだろ。まあ、実際俺含めみんな大歓迎の姿勢だ。
葉月 何より、やりたいことを判断するのは自分なんだから、他の人が止める筋合いはないでしょ!
錫谷 …!そうだな!
 勇紀は昨日の自分と彩里の姿がわずかに一瞬だけ、重なったように感じた。
村の人 ほんとに行くのね…
村の人 相当名残なごり惜しいんだな。まあ無理もないか。見送りに行くぞ。
村の人 えぇ…
相馬 んじゃあ、レッツゴーだな!
村の人 おーい!
相馬 …!
村の人 せーのっ!
錫谷 …!!
村の人達 行ってらっしゃーい!!
萩原 腹から声出すよー!
錫谷 うn…おう!
8人 行ってきまーす!!
 こうして彩里達は、新たに2人の仲間を増やし、再び旅を始めたのだった。

灰白 それにしても、これいいね!
 時太は村の人が急いで完成させたリュックサックにテンションが上がっていた。
萩原 それ凄いでしょー!私が最初に考えたんだよ!
桜木 ほんとはもっと簡易的に作れる奴だったんだけどね、村の人が長く使うからって、急いで作ってくれたのよね。
百鬼 あ!その人かな?わかんないけどさ、見てよこれ!
 何かを思い出したみなもは鋭く光る2本の刀を取り出した。
百鬼 これから先長くなるからっていでくれたんだ!あとついでに砥石といしもくれたの!
葉月 えーいつの間に!よかったじゃん!
相馬 砥石ってなんだー?
錫谷 簡単に言うと刀を鋭くする道具みたいなもんだ。
相馬 へー。
錫谷 興味なさそうに反応すんなや。
灰白 村の人のおかげで、いろんなこと知れたから、この2日間、めっちゃ楽しかったね!
岩田 ああ、能力についてはかく考えられたいい機会でもあったな。
葉月 それに2人にも出会えたしね!
桜木 そうそう、これからは私たちも戦闘に参加できるようになったよ!
萩原 あ!それ私が言おうとしてたのに!
岩田 それはどういうことだ?
 当然のように真っ先に進が問いただそうとした。
桜木 先に言っておくと、先頭に立って戦うって意味じゃないからね!
萩原 私たちは守られる必要がなくなったってこと、つまりは護身用の武器を手に入れたのよ!
 千聖は我が物顔でバッグの中をあさりだした。
葉月 そう言えば、バッグの中は何が入ってるの?
桜木 それも含めて千聖が説明してくれるよー。
萩原 じゃじゃーん!まずは催涙さいるいスプレー!
葉月 へー!その中に入ってるのって村の人からもらったの!?
岩田 ならあまり頻繁ひんぱんに使ってられなくないか?
萩原 あーそれは心配しないでー、これ水だからw
桜木 スプレーにすれば消費量も抑えられるし、目くらましにも使えるし、何より替えがききやすいからね。
灰白 確かに水かかってきたらとっさに目をつぶっちゃうもんね。
萩原 そんじゃ次、みんなバッグの中見てないよね!?
岩田 見るなって言われてから、みてないぞ。
葉月 そうそう、それ気になってたんだよね。何が入ってるの?
萩原 これはつけてもつけなくてもいいんだけど、簡単な防具です!
 千聖は四肢に取り付ける木製の盾のような防具を取り出した。
桜木 正直つけたまんまだと重かったり、四肢にあとができたりして何かと不便だと思ったから、つけるのは個人のタイミングでいいかなと思って教えなかったの。まあ本音は千聖が紹介したいって言ってたからなんだけどね。
灰白 あ、入ってた。取り付け方ってわかる?
 時太がその防具を取り出すと、革製の太いひもが木製の盾についているのを見つけた。
萩原 そこに紐があるじゃん、その紐をぎりぎりまできつくめて、余った紐は結んで小さくすればいいよ!
桜木 試行はしたけど、ほんとにきつく締めないとすぐ落ちちゃうよ。特に足は注意した方がいいよ。
百鬼 防具かー!かっこよくていいなー!私早速つけるね!
葉月 自分もやろー!
 そうして彩里とみなもは四肢に防具を取り付けだした。
桜木 評判よさそうで嬉しいわー!
岩田 これは鈴音が作ったのか?
桜木 やり方とかは教えてもらったけど、これ自体は村の人にやってもらったよ。
岩田 なるほど、いい案だな!
桜木 みんなにはこれからも頑張ってもらわないとだからね!頼んだぞー。
岩田 任せろ、めっちゃ頑張るよ。
 進は言いなれてなさそうに鈴音に言った。
桜木 任せた!w
 鈴音は変な日本語に笑いながらそう返した。
萩原 そしてみんな、旅といえば必要不可欠な飲み物!水を入れる容器だよ!
葉月 おーありがたい!
灰白 何気に今までなかったから助かるね!
桜木 開け閉めできるところもあるからこぼれる心配もないし、とりあえずはこれで生きながらえはできるはずね。
錫谷 そんな死ぬみたいなこといわないでもなあ。
岩田 ん?水場が運悪く見つからなきゃ平気で死ぬぞ。
錫谷 …!
 進の威圧的な返答に勇紀は一瞬背筋が伝う思いをした。
灰白 まあそんな言わないでも、そんなことはほとんどないし、水は節約的に飲んでいけば大丈夫だよ。
相馬 え?ダメなの!?
灰白 まさかもう飲んじゃったの!?
相馬 いや今あるの知ったからまだだけど、思いっきり飲もうとしたんだけど…
錫谷 とりあえずは次の水場まで残しておくつもりでいた方がいいってことだな。
相馬 そうか…
百鬼 (私も飲んじゃうとこだった…気を付けとこ…)
萩原 さあさあ気を取り直してお次は、えっと待ってねー…あ!
 千聖はそう言うと、ニヤニヤしながらあるものを取り出した。
桜木 は、あんたほんとに作ったの!?
萩原 じゃじゃーん!これ私が作ったの!
 千聖は鈴音に止められてもなお諦めなかった、よく磨かれた木刀を取り出した。
百鬼 おおー!刀じゃん!
萩原 これがあれば、私もみなもと一緒に戦える!
百鬼 えー嬉しいー!!
桜木 だからあんたねぇ…
 鈴音は千聖に向かってけだるそうにため息をついた。
灰白 まあ、楽しそうだからしいじゃん?wわかんないけどw
葉月 千聖も、強くなるかもしれないしね!w
萩原 その笑いいらないだろ!
葉月 ごめんてーw
萩原 切りかかるぞ!
葉月 絶対持たせちゃいけない人でしょこの人!w
萩原 はー!?
相馬 はははw
桜木 (私の方は…今はいいか。)
 そうして鈴音、千聖発案の、村の人たちの作ってくれた物紹介は終わった。
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