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転生しました。

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「服もありがとう。本当に助かった」



「家に置いてあるより、着て貰ったほうがいいよ!
それに、おばあちゃんの服はどれも精霊の祝福がされているから頑丈だよ」


エリオはワンピースの裏側、首元の辺りを見せる。
ふにゃふにゃとした字で『軽量』『防御力増』と書かれている。


「これは、軽くて丈夫って意味で大丈夫なの?」


「そうだよー。ロズは精霊の文字が読めるんだね」


目覚めた場所で見た石碑は読めなかったが、精霊の文字は読めた。
これが『恩寵』の適用なのかと、ロズも驚いたが読める文字と読めない文字の見極めが難しいので、やはりこの世界の文字を勉強しなければならなそうだ。


「ご厚意に甘えて、ワンピースとブラウスをお借りするね」


「差し上げますよ。ロズに着てもらえれば祖母も喜びます」


スリザスに奥の部屋を案内され、ボロ麻のワンピースから精霊の祝福付きワンピースに着替える。
少し大きめだが、袖は折りあげれば着れた。

元の部屋に戻ると、テーブルの上にはパンとスープが並んでいた。久しぶりの食事の匂いにロズの腹が鳴ってしまう。


「軽食ですが、ロズもどうぞ。普段はエリオと二人なので、簡単な食事のみになってしまい……」


スリザスが恥ずかしそうに食器を並べる。
緊張をしているのか、並べられたスプーンの数が人数分より多い。
ロズが手伝う前に食事の準備は終わってしまった。


「食べよ、ロズ」


エリオが椅子を引いて促す。
椅子もテーブルも、木で作られた温かみのあるデザインになっている。
座ったロズを合図に、スリザスとエリオは手を組んで祈る姿勢になった。


「精霊に感謝し、今日生きる糧を得られる事に感謝いたします」


スリザスは言葉の後に杯を掲げる。
この世界の「いただきます」になるのだろうか。
ロズも合わせて杯を掲げた。


「どうぞ、ロズも召し上がって下さい」


スリザスは豆の入ったスープを勧める。
この豆が町の特産品のようで、ホクホクとした食感はひよこ豆に似ているが味は濃厚な大豆のようだ。
パンは硬く、スープに付けるとちょうどいいとエリオが説明してくれた。


「それと、もう遅いのでロズの部屋も用意させて頂きました。食事が終わった後に案内しますね」


「そんな!悪いです!お金も持っていないし、身分も証明できないです。迷惑しかかけられません……」


折角の親切だが、好意に甘えるばかりではいけないとロズは気を引き締める。
自由に生きるため、まずは自力で生きる事ができるようにならなければ。
ロズの姿は幼いが、心的には成人している。
服の調達は難しくとも、野宿はできるだろうと考えていた。




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