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新人魔導師、特訓する
4月5日、魔導反復訓練
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翌日が平日であるのにも関わらず行われたどんちゃん騒ぎのせいで、この日、第5研究所はひっそりと静まり返っていた。二日酔いで医務室を訪れた葵が雅に放り出されている。
元気なのはまだ酒が飲めない天音と恭平、あとは飲まなかった夏希、雅くらいのものだろうか。普段は葵のストッパーとして抑えているはずの透でさえ、今は頭を抱えてテーブルに突っ伏している。
「あのなぁ、自分の限界くらい知っておけよ」
「なんか酒買おうとしたら年齢確認くらった人が言ってるッスね……」
「元気じゃねぇか、働けよオラァ!」
童顔なのを気にしていたのか、苛立った様子の夏希が葵の頭を鷲掴みにした。手の大きさが足りていないので、両手で掴んでいる。いでで、と言う割には余裕そうなので、大して力は入っていないのだろう。
「ああ、そうだ天音」
葵の頭を掴んだまま、夏希が何かを思い出したように言う。
「あ、はい、何でしょう」
多少驚きはすれど、普通に返せてしまうあたり、この研究所に慣れてきたように感じる。いや、慣れてはいけない光景なのだが。
「今日からお前には魔導訓練を受けてもらう」
「はい!」
「てなわけで、本日のメニューがこちら」
魔導文字を書くためか、葵の頭はようやく解放された。
白の魔力が光り、天音の手元に一枚の紙が現れる。
「……え、ええと」
紙を見るなり、天音は言葉を失った。
内容はこうである。午前中はひたすら術の反復練習(教官:恭平)、午後は座学(教官:双子)と体力育成(教官:夏希)。
「体力育成、ですか?」
「だってお前体力なさそうだし」
「う……そ、それは確かにそうですけど……」
「ウチじゃあ人数的に100パー発掘調査にあたるからな。体力つけとけ」
初日に見せた大ジャンプから考えると、夏希の身体能力が高いことはわかる。まさかあのレベルまで求められているのだろうか。だとしたら今から泣きそうだ。
「ま、とりあえずトレーニングルーム行ってこい。恭平が鍛えてくれんぜ」
「はい。行ってきます!」
夏希が素のままの口調で接してくれるからか、天音の固い口調も少しずつ柔らかくなってきた。まるで実家を出るような声で元気な挨拶をして、書斎へと向かう。
「おはよーございます」
書斎にはヘッドフォンを付けた恭平が立っていた。天音を待っていたようだ。
「おはようございます! お待たせしてすみません」
「ああいや、オレもさっき夏希に聞いたトコなんで。じゃ、行きますか」
昨日「ここに残る」と宣言したばかりの天音は、まだ1人で地下へ入ることができない。恭平はそれをわかっていて、書斎に残っていてくれたのだろう。
「気まずいとは思うんですけど、まあ、気にしないでもらえたらいいかなって」
「あ、いえ……その、私が悪いんですし」
昨日の恭平の「アンタ苦手」発言。確かに傷ついたし、今も気まずい気持ちはあるけれど、あれは天音が全面的に悪いので、恭平は悪くないのだ。
「オレ、気を遣うとかできないタイプで。そのせいで第1にいたときも偉い人に嫌われてましたね」
「そ、それは……」
「こんな子どもより魔導適性がないヤツがうるせーって言ったりとか、上司のヅラ剝ぎ取ったりとかはしましたけど、あんなにキレるコトないんじゃないかなって」
それはキレてもいいやつ。
天音は喉元まで出かけていたツッコミを無理矢理飲み込んだ。可哀そうが過ぎる。初めて第1研究所の人間が哀れだと思った。こんな残酷なことがあっていいのだろうか。
地下への階段を下りながら、恭平はかつての話をしてくれる。彼にとっては気まずい時間を無くすための雑談のつもりなのだろうが、天音からすればツッコミをひたすら飲み込む時間だった。
「上司に茂って名前の人がいたんですけど、ハゲてたんですよね。これが名前負けってやつですかね?」
「んぐっ……」
「オレより先に入ってた研究員がいたんですけど、なんかオレを見て『絶望した』とか言って、休職してました」
「い、いろいろあったんですね……」
秘儀・当たり障りのない一言。
この国のコミュニケーションにおける最大の武器である。
「ま、そんなこんなで浮いてるときにこの研究所の話を聞いて。夏希がオレに声かけてくれたのもあって、今に至ります」
気が付けば、階段を降りきっていた。
地下1階、トレーニングルーム。その一室を恭平は使うらしい。
「こっちでーす」
「はい」
入ったのは何もない部屋だった。対魔導素材でできているという部屋だろうか。部屋の四隅に水晶が埋め込まれている。
「ここで午前中はひたすら魔導訓練です」
「ええと、具体的には何をするんですか?」
「魔力尽きるくらいまで反復練習。ちなみに得意な術ってなんです?」
「あ、物を呼び寄せる術ですかね……」
正直、実技はそこまで得意じゃない。それでも比較的得意な術を言えば、恭平は頷いた後、恐ろしいことを口にした。
「じゃ、それまずは100回で」
「ひゃ、え、100回ですか?」
その前に魔力が枯渇する!
そう思って問うが、恭平は頷くだけだ。
「ま、とりあえずやってみてください」
「はい……」
メモ用紙に魔導文字を書いていく。何を呼び寄せるか悩んで、自室にあるノートにしようと決めた。あまり重いものは難しいし魔力の消費も激しい。
書き終わると、紙に魔力を流し込んだ。
が、しかし。
「発動、しない……?」
「あーやっぱり」
一連の流れを見ていた恭平が気だるげに言った。やっぱり、とはどういうことだろうか。
「これ、今日の天音サンの適性値なんですけど、生成値が戻ってきてるとは言え、まだ55なんですよ」
「そうなんですね……」
「でも、天音サンは前の数値のままの気持ちで魔力を流してるから、発動分の魔力が足りてないんです」
「だから、何も起こらなかったんですね!」
「そーゆーコトですね。オレ、そんなに下がったコトないんでわかんないんですけど、とりあえず、今の数値に合わせて発動できるようになりましょう。あと99回以内に成功してくださいね」
天才節(双子命名)が出てきたが、今の天音には気にしている余裕などない。
あと99回。それまでに成功させてやる!
気合に燃える天音を、恭平は以前より柔らかな表情で見ていた。
(今のこの人なら、オレ、好きかも)
ひとまず、天音のメモ帳は99枚も紙がなさそうなので、適当な裏紙を用意してやろう。呼び寄せの術に失敗し続けている天音の横で、こっそりと自身の研究室のいらない紙を呼び寄せるのだった。
元気なのはまだ酒が飲めない天音と恭平、あとは飲まなかった夏希、雅くらいのものだろうか。普段は葵のストッパーとして抑えているはずの透でさえ、今は頭を抱えてテーブルに突っ伏している。
「あのなぁ、自分の限界くらい知っておけよ」
「なんか酒買おうとしたら年齢確認くらった人が言ってるッスね……」
「元気じゃねぇか、働けよオラァ!」
童顔なのを気にしていたのか、苛立った様子の夏希が葵の頭を鷲掴みにした。手の大きさが足りていないので、両手で掴んでいる。いでで、と言う割には余裕そうなので、大して力は入っていないのだろう。
「ああ、そうだ天音」
葵の頭を掴んだまま、夏希が何かを思い出したように言う。
「あ、はい、何でしょう」
多少驚きはすれど、普通に返せてしまうあたり、この研究所に慣れてきたように感じる。いや、慣れてはいけない光景なのだが。
「今日からお前には魔導訓練を受けてもらう」
「はい!」
「てなわけで、本日のメニューがこちら」
魔導文字を書くためか、葵の頭はようやく解放された。
白の魔力が光り、天音の手元に一枚の紙が現れる。
「……え、ええと」
紙を見るなり、天音は言葉を失った。
内容はこうである。午前中はひたすら術の反復練習(教官:恭平)、午後は座学(教官:双子)と体力育成(教官:夏希)。
「体力育成、ですか?」
「だってお前体力なさそうだし」
「う……そ、それは確かにそうですけど……」
「ウチじゃあ人数的に100パー発掘調査にあたるからな。体力つけとけ」
初日に見せた大ジャンプから考えると、夏希の身体能力が高いことはわかる。まさかあのレベルまで求められているのだろうか。だとしたら今から泣きそうだ。
「ま、とりあえずトレーニングルーム行ってこい。恭平が鍛えてくれんぜ」
「はい。行ってきます!」
夏希が素のままの口調で接してくれるからか、天音の固い口調も少しずつ柔らかくなってきた。まるで実家を出るような声で元気な挨拶をして、書斎へと向かう。
「おはよーございます」
書斎にはヘッドフォンを付けた恭平が立っていた。天音を待っていたようだ。
「おはようございます! お待たせしてすみません」
「ああいや、オレもさっき夏希に聞いたトコなんで。じゃ、行きますか」
昨日「ここに残る」と宣言したばかりの天音は、まだ1人で地下へ入ることができない。恭平はそれをわかっていて、書斎に残っていてくれたのだろう。
「気まずいとは思うんですけど、まあ、気にしないでもらえたらいいかなって」
「あ、いえ……その、私が悪いんですし」
昨日の恭平の「アンタ苦手」発言。確かに傷ついたし、今も気まずい気持ちはあるけれど、あれは天音が全面的に悪いので、恭平は悪くないのだ。
「オレ、気を遣うとかできないタイプで。そのせいで第1にいたときも偉い人に嫌われてましたね」
「そ、それは……」
「こんな子どもより魔導適性がないヤツがうるせーって言ったりとか、上司のヅラ剝ぎ取ったりとかはしましたけど、あんなにキレるコトないんじゃないかなって」
それはキレてもいいやつ。
天音は喉元まで出かけていたツッコミを無理矢理飲み込んだ。可哀そうが過ぎる。初めて第1研究所の人間が哀れだと思った。こんな残酷なことがあっていいのだろうか。
地下への階段を下りながら、恭平はかつての話をしてくれる。彼にとっては気まずい時間を無くすための雑談のつもりなのだろうが、天音からすればツッコミをひたすら飲み込む時間だった。
「上司に茂って名前の人がいたんですけど、ハゲてたんですよね。これが名前負けってやつですかね?」
「んぐっ……」
「オレより先に入ってた研究員がいたんですけど、なんかオレを見て『絶望した』とか言って、休職してました」
「い、いろいろあったんですね……」
秘儀・当たり障りのない一言。
この国のコミュニケーションにおける最大の武器である。
「ま、そんなこんなで浮いてるときにこの研究所の話を聞いて。夏希がオレに声かけてくれたのもあって、今に至ります」
気が付けば、階段を降りきっていた。
地下1階、トレーニングルーム。その一室を恭平は使うらしい。
「こっちでーす」
「はい」
入ったのは何もない部屋だった。対魔導素材でできているという部屋だろうか。部屋の四隅に水晶が埋め込まれている。
「ここで午前中はひたすら魔導訓練です」
「ええと、具体的には何をするんですか?」
「魔力尽きるくらいまで反復練習。ちなみに得意な術ってなんです?」
「あ、物を呼び寄せる術ですかね……」
正直、実技はそこまで得意じゃない。それでも比較的得意な術を言えば、恭平は頷いた後、恐ろしいことを口にした。
「じゃ、それまずは100回で」
「ひゃ、え、100回ですか?」
その前に魔力が枯渇する!
そう思って問うが、恭平は頷くだけだ。
「ま、とりあえずやってみてください」
「はい……」
メモ用紙に魔導文字を書いていく。何を呼び寄せるか悩んで、自室にあるノートにしようと決めた。あまり重いものは難しいし魔力の消費も激しい。
書き終わると、紙に魔力を流し込んだ。
が、しかし。
「発動、しない……?」
「あーやっぱり」
一連の流れを見ていた恭平が気だるげに言った。やっぱり、とはどういうことだろうか。
「これ、今日の天音サンの適性値なんですけど、生成値が戻ってきてるとは言え、まだ55なんですよ」
「そうなんですね……」
「でも、天音サンは前の数値のままの気持ちで魔力を流してるから、発動分の魔力が足りてないんです」
「だから、何も起こらなかったんですね!」
「そーゆーコトですね。オレ、そんなに下がったコトないんでわかんないんですけど、とりあえず、今の数値に合わせて発動できるようになりましょう。あと99回以内に成功してくださいね」
天才節(双子命名)が出てきたが、今の天音には気にしている余裕などない。
あと99回。それまでに成功させてやる!
気合に燃える天音を、恭平は以前より柔らかな表情で見ていた。
(今のこの人なら、オレ、好きかも)
ひとまず、天音のメモ帳は99枚も紙がなさそうなので、適当な裏紙を用意してやろう。呼び寄せの術に失敗し続けている天音の横で、こっそりと自身の研究室のいらない紙を呼び寄せるのだった。
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