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第一章 帰ってきたアイツ
10話 四人目
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桜爛大附十面テニスコート前。
カゴに入ったボールをカートに乗せて、テニス部の部室からコートまで駆ける凛久と、クランクを回してコートネットをあげる蓮。そのようすを、胸を高鳴らせて見つめる谷遥香──。
いまだ、高宮雅久のすがたはない。
おい凛久、と蓮は呆れた声色で言った。
「おまえおなじ家に住んでるくせに、どうして引きずってこなかったんだよ」
「起こしたよ。そしたら四人目連れていくから先行ってろって、殴られてさぁ」
「それで?」
「二度寝してた」
「いや叩き起こせよ!」
「だ、だってあいつ寝起き機嫌わるいんだもん~……」
蓮は深くため息を吐く。
おまけに、とこんどは遥香に顔を向けた。
「七浦コーチも来てないんですけど──もしかして昨日の出来事はぜんぶ夢?」
「不吉なこと言わないでよっ。雅久くんは約束破るような子じゃないでしょ、大丈夫よ」
と。
遥香がわらったときだった。校舎から歩いてくるふたつの影がある。伊織と雅久にしては、片方のシルエットがずいぶんとふとましい。目をこらした遥香がゲッ、と声を漏らした。
野呂と校長である。
休日の、現在午前九時をすこし過ぎたところだというのに、なんと早いご登場であろうか。ワンテンポ遅れて気がついた凛久と蓮も、ウワッと遥香を盾に身を隠す。
野呂のやつ、と蓮がつぶやいた。
「きのうあんなコテンパンにやられたくせに、どういう面の皮の厚さだ」
「マジで今度は何しに来たんだ!?」
「た、たぶん」遥香は眉を下げる。
「人数が足りないからって、早いところ廃部を決めちゃうつもりなのよ。一応期限は今日までだから」
「今日ったって、まだはじまって九時間しか経ってねーけど」
「ヤバイよ蓮、雑魚のオレたちじゃきのうみたいに追い払えねーよ。どうしよう、どうする!」
焦る凛久にもむなしく、ふんぞり返る校長の背に隠れるように、野呂がテニスコート前へとやってきた。彼はニヤニヤわらってコートを眺める。
どうやら目標未達の部員数を厭らしく数えているらしい。さらに野呂は、昨日やられた女コーチのすがたもないと見るや一気に前へ出てきた。
「これはこれは、谷先生」
「お──おはようございます。校長先生、野呂コーチ」
「リミットは今日ですが、どうですか調子は」
「……え、ええ。ですがまだ今日は始まったばかりですので。これから全員揃う予定ですのよ、オホホ」
「いやいやそれは困りますよ、谷先生」
野呂が下卑た笑みを浮かべた。
なぜですかと問う前に、彼は勝利を確信した顔で腕を広げる。
「校長は十時にご予定があるんだそうです。その後は直帰されるとのことですから、いまの今、コートにいらっしゃる今の状況をもとにご決断していただかないと。ねえ校長先生」
「ああ──わるいんだがね谷くん。私はあと十分くらいでここを発たねばならんのだがね。それでその、コーチと部員は揃ったのかね」
「えっ。そ、それ……そんなの聞いてませんよ!」
「おいおい君、」野呂が割って入る。
「聞いてないで済まないのが社会だろう。君はいったい学校でなにを学んできたんだ。えっ?」
「…………」
「あと十分で成果物を出せと、こう言っているわけだ。指導者と部員ふたり。あと十分だよ。出来るのか? 出来るんだろうな。きのうあれだけこの私を虚仮にしたのだから!」
野呂は、枯れ枝のような指を遥香へ突きつけた。しかし彼女はそちらを見向きもせずに、野呂のうしろに佇む校長へ目を向ける。
「……こ、校長先生は──本気で桜爛テニス部を失くすべきとお思いですか」
「む、」
「かつてあれだけの栄華を飾った、桜爛の誇りです。十年前の──」
「慎みたまえ、いま質問をしているのは」
「あなたが慎みなさい、野呂さんッ!」
と。
さけんだのは誰でもない、谷遥香だった。生徒たちがこれまで聞いたことのない大きな声。怒りで肩をふるわせながら野呂を押し退けて、校長の前へと踏み出す。
「野呂さんは昨日時点でコーチを解任されたはずです。いまは部外者となったのですから、余計な口をはさむのはやめてください。桜爛テニス部の正顧問はこのわたしですッ」
「…………」
野呂はとつぜんの反撃にすくんだらしい。呆然と遥香を見つめたまま動かない。
そして校長ッ、という遥香の声で、校長の肩がびくりと揺れた。
「あなたは現役時代に日本史をお教えされていたそうですね。ご認識がおありかどうか存じませんが、わたしも歴史教師です。ですからわたしは知っています。『歴史』が、幾多の先人たちの努力によって守られ、いまにつなげられていることを!」
「な、なにを──」
「分かりませんか。国も学校も、規模がちがえど同じことです。いまはすこし低迷しておりますけれど、ここ桜爛大附テニス部にはこれまで築き上げてきた素晴らしい歴史があるんです。かつての子たちが努力に努力を重ねて、全国王者の地位を守りつづけた歴史が!」
「し、しかしだね。そうは言っても結果を出せない部活に高い経費予算を投入するのは、経営を考えるうえで」
「だからこそッ」
と、遥香はとうとう校長の胸ぐらをつかんだ。
「一年生たちがみな『指導者を変えろ』という反逆を起こしたんでしょう。桜爛テニス部を守るために、現状を変えて守りつづけようとしているんでしょッ。その努力がきのうやっと実を結んで、ようやく本日から、新星桜爛テニス部として始まろうとしているんでしょおッ!」
ガシャンッ。
音を立ててフェンス扉が蹴り開けられた。
一同がぎくりとそちらを向く。すこし遅れて、息を切らした遥香が瞳に涙を浮かべながら振り向いた。そこにはフェンスを蹴り開けたのだろう足をあげた高宮雅久と、その足もと、サイドを刈り上げたマンバンヘアのアジアンスクワットをした生徒がひとり。
三白眼をくるりと遥香へ向けて、にいっとわらった。
「谷セン、いいことゆーじゃん」
「俺もいまカンドーした」
な、とふたりは互いに目を見合わせて、じろりと校長へ視線を寄越す。
見るからに不良学生のような目つきといで立ちのふたりを前に、野呂はすぐさま校長の背に隠れ、校長はじりりとあとずさった。
三白眼の少年は、かまわずぐっと校長へ顔を近づけると、
「遅くなってすんませんっしたァ」
とわざとらしく頭を下げた。
「桜爛テニス部四人目、新名竜太でーす。よろしくおなしゃーす」
よ、四人目ェ。
校長のうしろでさけんだ野呂の声が裏返る。
新名と名乗った少年はゆっくり立ち上がり、コートのなかにいる遥香に向けてにっこりと笑顔を向けた。
「来るとちゅう、雅久のバイクがガス欠したんスよ。遅れてごめんネ谷セン☆」
「に、新名くん──」
「でもコーチも遅れて来たんだからセーフだよな?」
といって雅久が口角をあげる。
え、コーチ?
と、一同の顔がキョトンとした瞬間、コート前にすさまじい音を立てて走り込んでくる車があった。フェンス前で小さくなっていた野呂を轢き殺す一歩手前、車は急停車する。乱暴な運転とは裏腹に、車はどこぞの貴族が乗るような真っ黒な高級車である。
荒々しく運転席の扉が開け放たれ、のそりと出てきたひとりの影──。もはやみな予想はついた。遥香と凛久、蓮の顔が驚愕から歓喜へ。野呂にかぎっては呆気から恐怖へ。
「はーっ朝からハードな一日やで、ホンマ。おかげでちょっと遅れてもうた。……あらっ、みなさんおそろいで」
ほな練習はじめよか、と。
桜爛テニス部新コーチとなった七浦伊織が、サングラスを押しあげてにっこりわらった。
カゴに入ったボールをカートに乗せて、テニス部の部室からコートまで駆ける凛久と、クランクを回してコートネットをあげる蓮。そのようすを、胸を高鳴らせて見つめる谷遥香──。
いまだ、高宮雅久のすがたはない。
おい凛久、と蓮は呆れた声色で言った。
「おまえおなじ家に住んでるくせに、どうして引きずってこなかったんだよ」
「起こしたよ。そしたら四人目連れていくから先行ってろって、殴られてさぁ」
「それで?」
「二度寝してた」
「いや叩き起こせよ!」
「だ、だってあいつ寝起き機嫌わるいんだもん~……」
蓮は深くため息を吐く。
おまけに、とこんどは遥香に顔を向けた。
「七浦コーチも来てないんですけど──もしかして昨日の出来事はぜんぶ夢?」
「不吉なこと言わないでよっ。雅久くんは約束破るような子じゃないでしょ、大丈夫よ」
と。
遥香がわらったときだった。校舎から歩いてくるふたつの影がある。伊織と雅久にしては、片方のシルエットがずいぶんとふとましい。目をこらした遥香がゲッ、と声を漏らした。
野呂と校長である。
休日の、現在午前九時をすこし過ぎたところだというのに、なんと早いご登場であろうか。ワンテンポ遅れて気がついた凛久と蓮も、ウワッと遥香を盾に身を隠す。
野呂のやつ、と蓮がつぶやいた。
「きのうあんなコテンパンにやられたくせに、どういう面の皮の厚さだ」
「マジで今度は何しに来たんだ!?」
「た、たぶん」遥香は眉を下げる。
「人数が足りないからって、早いところ廃部を決めちゃうつもりなのよ。一応期限は今日までだから」
「今日ったって、まだはじまって九時間しか経ってねーけど」
「ヤバイよ蓮、雑魚のオレたちじゃきのうみたいに追い払えねーよ。どうしよう、どうする!」
焦る凛久にもむなしく、ふんぞり返る校長の背に隠れるように、野呂がテニスコート前へとやってきた。彼はニヤニヤわらってコートを眺める。
どうやら目標未達の部員数を厭らしく数えているらしい。さらに野呂は、昨日やられた女コーチのすがたもないと見るや一気に前へ出てきた。
「これはこれは、谷先生」
「お──おはようございます。校長先生、野呂コーチ」
「リミットは今日ですが、どうですか調子は」
「……え、ええ。ですがまだ今日は始まったばかりですので。これから全員揃う予定ですのよ、オホホ」
「いやいやそれは困りますよ、谷先生」
野呂が下卑た笑みを浮かべた。
なぜですかと問う前に、彼は勝利を確信した顔で腕を広げる。
「校長は十時にご予定があるんだそうです。その後は直帰されるとのことですから、いまの今、コートにいらっしゃる今の状況をもとにご決断していただかないと。ねえ校長先生」
「ああ──わるいんだがね谷くん。私はあと十分くらいでここを発たねばならんのだがね。それでその、コーチと部員は揃ったのかね」
「えっ。そ、それ……そんなの聞いてませんよ!」
「おいおい君、」野呂が割って入る。
「聞いてないで済まないのが社会だろう。君はいったい学校でなにを学んできたんだ。えっ?」
「…………」
「あと十分で成果物を出せと、こう言っているわけだ。指導者と部員ふたり。あと十分だよ。出来るのか? 出来るんだろうな。きのうあれだけこの私を虚仮にしたのだから!」
野呂は、枯れ枝のような指を遥香へ突きつけた。しかし彼女はそちらを見向きもせずに、野呂のうしろに佇む校長へ目を向ける。
「……こ、校長先生は──本気で桜爛テニス部を失くすべきとお思いですか」
「む、」
「かつてあれだけの栄華を飾った、桜爛の誇りです。十年前の──」
「慎みたまえ、いま質問をしているのは」
「あなたが慎みなさい、野呂さんッ!」
と。
さけんだのは誰でもない、谷遥香だった。生徒たちがこれまで聞いたことのない大きな声。怒りで肩をふるわせながら野呂を押し退けて、校長の前へと踏み出す。
「野呂さんは昨日時点でコーチを解任されたはずです。いまは部外者となったのですから、余計な口をはさむのはやめてください。桜爛テニス部の正顧問はこのわたしですッ」
「…………」
野呂はとつぜんの反撃にすくんだらしい。呆然と遥香を見つめたまま動かない。
そして校長ッ、という遥香の声で、校長の肩がびくりと揺れた。
「あなたは現役時代に日本史をお教えされていたそうですね。ご認識がおありかどうか存じませんが、わたしも歴史教師です。ですからわたしは知っています。『歴史』が、幾多の先人たちの努力によって守られ、いまにつなげられていることを!」
「な、なにを──」
「分かりませんか。国も学校も、規模がちがえど同じことです。いまはすこし低迷しておりますけれど、ここ桜爛大附テニス部にはこれまで築き上げてきた素晴らしい歴史があるんです。かつての子たちが努力に努力を重ねて、全国王者の地位を守りつづけた歴史が!」
「し、しかしだね。そうは言っても結果を出せない部活に高い経費予算を投入するのは、経営を考えるうえで」
「だからこそッ」
と、遥香はとうとう校長の胸ぐらをつかんだ。
「一年生たちがみな『指導者を変えろ』という反逆を起こしたんでしょう。桜爛テニス部を守るために、現状を変えて守りつづけようとしているんでしょッ。その努力がきのうやっと実を結んで、ようやく本日から、新星桜爛テニス部として始まろうとしているんでしょおッ!」
ガシャンッ。
音を立ててフェンス扉が蹴り開けられた。
一同がぎくりとそちらを向く。すこし遅れて、息を切らした遥香が瞳に涙を浮かべながら振り向いた。そこにはフェンスを蹴り開けたのだろう足をあげた高宮雅久と、その足もと、サイドを刈り上げたマンバンヘアのアジアンスクワットをした生徒がひとり。
三白眼をくるりと遥香へ向けて、にいっとわらった。
「谷セン、いいことゆーじゃん」
「俺もいまカンドーした」
な、とふたりは互いに目を見合わせて、じろりと校長へ視線を寄越す。
見るからに不良学生のような目つきといで立ちのふたりを前に、野呂はすぐさま校長の背に隠れ、校長はじりりとあとずさった。
三白眼の少年は、かまわずぐっと校長へ顔を近づけると、
「遅くなってすんませんっしたァ」
とわざとらしく頭を下げた。
「桜爛テニス部四人目、新名竜太でーす。よろしくおなしゃーす」
よ、四人目ェ。
校長のうしろでさけんだ野呂の声が裏返る。
新名と名乗った少年はゆっくり立ち上がり、コートのなかにいる遥香に向けてにっこりと笑顔を向けた。
「来るとちゅう、雅久のバイクがガス欠したんスよ。遅れてごめんネ谷セン☆」
「に、新名くん──」
「でもコーチも遅れて来たんだからセーフだよな?」
といって雅久が口角をあげる。
え、コーチ?
と、一同の顔がキョトンとした瞬間、コート前にすさまじい音を立てて走り込んでくる車があった。フェンス前で小さくなっていた野呂を轢き殺す一歩手前、車は急停車する。乱暴な運転とは裏腹に、車はどこぞの貴族が乗るような真っ黒な高級車である。
荒々しく運転席の扉が開け放たれ、のそりと出てきたひとりの影──。もはやみな予想はついた。遥香と凛久、蓮の顔が驚愕から歓喜へ。野呂にかぎっては呆気から恐怖へ。
「はーっ朝からハードな一日やで、ホンマ。おかげでちょっと遅れてもうた。……あらっ、みなさんおそろいで」
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