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廿弐の抄 和解
其の伍
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それから、月日は流れた。
あれから結局一ヵ月ほどドイツに滞在したゆきが師走に入るすこし前に帰ってきて、刑部家には日常が戻ってきた。
いまだ和本の最後の和歌は蒐集しきれぬまま──というよりは、意図的に高村が蒐集を拒んでいたこともあり──明日に春休みを控えた今日、つまり終業式である。
「ではみんな、からだに気を付けて。来年度が今年以上に楽しい一年となるように、先生も楽しみにしてます」
と、高村は帰りのホームルームにて、高村学級として最後の言葉を生徒に告げた。
生徒たちはみなクラス替えがいやだ、とか、担任は高村先生がいい、とか好き勝手なことをわめいている。
それを言われるたび、高村は「俺の生徒になりたいなら勉強態度なんとかせえ」と軽口をたたいた。
近ごろは、なんだかんだと蒐集に乗り気ではない高村を見てすっかり元気を取り戻した八郎。
今日は刑部家にて八郎の誕生日パーティを開こう、と企画が立てられた。
参加者は花見のときとほぼ同じだが、今回は廿楽匠や『式』化した小町、光、松子の彼氏となった堀江健太郎まで呼んでの大所帯である。
「おれの誕生日プレゼント、なにくれるん!」
「え、いる? メシ食ってだべって終わりでよくね」
「おそろしい人数やもんなァ。誰かしら用意するやろうし、代表でその人から、的な感じでええやん」
「いやそれ主役の前でする話?」
八郎、柊介、武晴は現在ドン・キホーテという雑貨店でパーティ雑貨を吟味していた。
明夫と健太郎は部活があるため、終わったら高村とともに直行するとのこと。
おもえばみんなで花見パーティを催してから早十一ヶ月。すっかり仲良しメンバーになったものだ、としみじみ感じ入る八郎である。
「それにしても、いろいろと人間関係の変わった一年やったなあ」
「ホンマやで。環奈姐やんと柊クンに関してはまあ、予定調和やったけども」
「なんでやねん。てかだから別にまだ付き合うとかいう話してへんねんて」
「エッ、まだ?!」
「おまえあれから何か月経ったと……もしかしてお前、本命には手ェ出せへんタイプか?」
「うるせえ」
と、柊介が店のおもちゃで武晴の頭を殴りつける。
しかしそれをひょいと交わし、ケタケタとわらった。
「ハチがひとつ大人になるのと合わせて、お前もええ加減大人の階段のぼってこい。な、ハチ」
「ウン。かんちゃんもかわいそうや」
「…………」
すると柊介はいまから緊張しているのか、唇を噛みしめて黙りこくってしまう。
意外な一面もあるもんやな、とつぶやいてカラフルな帽子を手にとった武晴は会計へと向かった。
そのあとに続く八郎が「でも」と口角をあげる。
「おれてっきりタケって四宮のこと好きなんかと思てた」
「はっは。よう言われるわ。みんな浅倉南と上杉達也引きずってんねん。なにが幼馴染や、それだけで付き合うてたらこの世のなかカップルであふれるわ」
「でも息もぴったりやし」
「ちゃうねん。たぶんな、オレと松子というのは結婚相手にちょうどええねん。もはや安心感やねん。ドキドキシゲキックスはもはやないねんな」
「ああ、ほな堀江と別れたらワンチャンありっちゅうことか」
とつぶやく八郎に、武晴は「あ」と眉をしかめる。
「ちがうちがう。オレらの場合は四十歳になっても互いに相手がいてへんかったら結婚しよな、的な感覚やねん。こんな若い時分で結局アイツに落ち着くのはなんか、男捨てるみたいでイヤやねん」
「相当失礼なこと言うとるぞ、おまえ」
そんな話をしながら、帰路につく。
ちなみに柊介はいまだに押し黙ったままだ。
刑部家にはすでに、環奈とともにやってきた大学生集団と浜崎、『式』化した小町が座を囲んで談笑していた。
三月とはいえまだ寒いので、とゆきが用意した野外で使用できる灯油式ストーブを、廿楽と潮江が設置している。そのとなりで、相変わらずうっとりと廿楽を見つめるのは小町であった。
「このあたりでいいかァ」
「もうちょい右、右。オッケーストップ」
一方で、環奈と麻由、冴子は台所で料理の手伝い中だ。
「前に行ったキムチ鍋のお店、すんごくおいしかったのネ。こんど冴ちゃんセンパイもいっしょ行きまショー!」
「あら、どこら辺にあるの?」
「大学近くの──ラーメン屋の通りあるやないですか。あそこの一本奥に入ったとこにあるんですよ」
と麻由が身振りを交えて説明する。
わりとすぐに通じたか、冴子は「ああ」とわらった。
「わかった、あそこね。みんなで行ったの?」
「あいッ。マユちゃんとゴウくんとナオくんとかんなで、もう何回も行ったのー!」
「仲良しさんね」
とクスクスとわらっていた冴子だったが、そばに仙石が寄ってくるなり肩に力が入った。
「手伝うことある?」
「ここは女子会中なの。男の子は向こうに行っててちょうだい」
「なんや、つれないな」
と一瞬見つめあうふたり。
すぐに仙石は庭の方へ戻って行ったけれど、残された冴子はひとり顔をパタパタと扇いで熱を冷ましている。
「……仲良しさんですね」
「ホントホント」
「ご、ごめんなさいお見苦しいところを……」
さて、高校メンツである。
女子たちは八郎たちが戻る少し前に刑部家へ到着していたようで、各々持ってきたお菓子を皿に盛る作業にはいっていた。
「誕パとかちょー楽しみでさ、きのう六時間くらいしか眠れんくて」
「じゅうぶん寝とるやん」
「ちがっ、春菜は八時間寝ないと駄目なのォ!」
「へえ。寝る子は育つっていうけど、頭までは育たへんねや」
「松子ひどいーッ」
ケタケタとわらう松子のとなりで、恵子が「あ、堀江」とつぶやく。
その瞬間に大口をあけて笑っていた松子はピシッと真顔に戻り、きょろきょろと辺りを見回しはじめた。
「うっそー」
「恵子ッ、アンタね!」
「あーんこれ重いィ。だれか持ってェ」
と、盛りすぎた皿に辟易する春菜のうしろで「どれ」と声がする。
この甘くしびれるようなたらし声は──。
「ギャッ、光さん!」
「あはは、久しぶりやね春菜ちゃん。元気そうでよかった」
「ひ、光さんも!」
「どれ、これ持ったげるよ」
「いやいやッ、ええです。こんなんうち持てます!」
と一気に謙虚な女子に早変わり。
そのようすを遠くから見ていた尚弥と剛は「ほええ」とあんぐり口を開けた。
「ああやって女は世の中を渡り歩いていくんやな」
「ええなあ、男は直球勝負なとこあるもんな」
という剛に、うしろでプッと吹き出す声がした。浜崎だ。
「お前らなんちゅう会話しとんねん。ええから邪魔にならんよう座っとけ」
「へーい。アッ、てか先生アレっすね。ちょうど花見のときに離婚問題発生してましたけど、いまは華の独身貴族やないですか。ぶっちゃけ気楽ッすか?」
「まあな。もともとひとりが苦痛ってわけでもないし、当分はおひとり様でやったるわい」
とはいいながらも、浜崎はどこかぶすくれたようすである。
なおもからかおうと口角をあげた尚弥に、剛は「おまえかて」とジト目を向ける。
「いまだに引きずってんちゃうやろな。鞠花ちゃん」
「アホ。あんな夏の日の思い出なんぞとっくに切り捨てたわ」
「ほー、へー」
「うぜえな……」
縁側では、潮江と廿楽、小町が並んで座っている。
きょろりと一同を見回して、廿楽が小町に顔を向けた。
「今日はあの業平っていうヤツは来てないのか?」
「ええ。業平さま──いえ、業平くんはちょっと遠いところへ行ってしまって」
「ふうん……」
「だれや、その平安貴公子みたいな名前した奴は」
「小町の友だちだってさ。なんか前にすこし話したことがあるんだ」
「へえ。今日、来られたらよかったんになァ」
と、潮江が遠い目をして喧騒をながめる。
まったく、これほど人が集まるというのもひとえに刑部家の人々の人徳があってのものだろう。そう思えば、いまその輪のなかに自分がいるということがすこしうれしくもある。
「いいんです。あの人は──こういう場は苦手ですから」
「そうかァ?」
「ええ。うまく立ち回りはしますけれど、どちらかというと少数で遊女《あそびめ》といちゃつくほうが好きなんです」
「……性格までばっちりやな」
「あ、八郎さまたちが帰ってきましたね」
と、小町が首を伸ばした。
ようやく企画主催者兼主役のお帰りだ。
その後、まもなくして部活組──明夫、健太郎、高村も合流したところで、八郎十七歳の誕生日パーティがはじまった。
あれから結局一ヵ月ほどドイツに滞在したゆきが師走に入るすこし前に帰ってきて、刑部家には日常が戻ってきた。
いまだ和本の最後の和歌は蒐集しきれぬまま──というよりは、意図的に高村が蒐集を拒んでいたこともあり──明日に春休みを控えた今日、つまり終業式である。
「ではみんな、からだに気を付けて。来年度が今年以上に楽しい一年となるように、先生も楽しみにしてます」
と、高村は帰りのホームルームにて、高村学級として最後の言葉を生徒に告げた。
生徒たちはみなクラス替えがいやだ、とか、担任は高村先生がいい、とか好き勝手なことをわめいている。
それを言われるたび、高村は「俺の生徒になりたいなら勉強態度なんとかせえ」と軽口をたたいた。
近ごろは、なんだかんだと蒐集に乗り気ではない高村を見てすっかり元気を取り戻した八郎。
今日は刑部家にて八郎の誕生日パーティを開こう、と企画が立てられた。
参加者は花見のときとほぼ同じだが、今回は廿楽匠や『式』化した小町、光、松子の彼氏となった堀江健太郎まで呼んでの大所帯である。
「おれの誕生日プレゼント、なにくれるん!」
「え、いる? メシ食ってだべって終わりでよくね」
「おそろしい人数やもんなァ。誰かしら用意するやろうし、代表でその人から、的な感じでええやん」
「いやそれ主役の前でする話?」
八郎、柊介、武晴は現在ドン・キホーテという雑貨店でパーティ雑貨を吟味していた。
明夫と健太郎は部活があるため、終わったら高村とともに直行するとのこと。
おもえばみんなで花見パーティを催してから早十一ヶ月。すっかり仲良しメンバーになったものだ、としみじみ感じ入る八郎である。
「それにしても、いろいろと人間関係の変わった一年やったなあ」
「ホンマやで。環奈姐やんと柊クンに関してはまあ、予定調和やったけども」
「なんでやねん。てかだから別にまだ付き合うとかいう話してへんねんて」
「エッ、まだ?!」
「おまえあれから何か月経ったと……もしかしてお前、本命には手ェ出せへんタイプか?」
「うるせえ」
と、柊介が店のおもちゃで武晴の頭を殴りつける。
しかしそれをひょいと交わし、ケタケタとわらった。
「ハチがひとつ大人になるのと合わせて、お前もええ加減大人の階段のぼってこい。な、ハチ」
「ウン。かんちゃんもかわいそうや」
「…………」
すると柊介はいまから緊張しているのか、唇を噛みしめて黙りこくってしまう。
意外な一面もあるもんやな、とつぶやいてカラフルな帽子を手にとった武晴は会計へと向かった。
そのあとに続く八郎が「でも」と口角をあげる。
「おれてっきりタケって四宮のこと好きなんかと思てた」
「はっは。よう言われるわ。みんな浅倉南と上杉達也引きずってんねん。なにが幼馴染や、それだけで付き合うてたらこの世のなかカップルであふれるわ」
「でも息もぴったりやし」
「ちゃうねん。たぶんな、オレと松子というのは結婚相手にちょうどええねん。もはや安心感やねん。ドキドキシゲキックスはもはやないねんな」
「ああ、ほな堀江と別れたらワンチャンありっちゅうことか」
とつぶやく八郎に、武晴は「あ」と眉をしかめる。
「ちがうちがう。オレらの場合は四十歳になっても互いに相手がいてへんかったら結婚しよな、的な感覚やねん。こんな若い時分で結局アイツに落ち着くのはなんか、男捨てるみたいでイヤやねん」
「相当失礼なこと言うとるぞ、おまえ」
そんな話をしながら、帰路につく。
ちなみに柊介はいまだに押し黙ったままだ。
刑部家にはすでに、環奈とともにやってきた大学生集団と浜崎、『式』化した小町が座を囲んで談笑していた。
三月とはいえまだ寒いので、とゆきが用意した野外で使用できる灯油式ストーブを、廿楽と潮江が設置している。そのとなりで、相変わらずうっとりと廿楽を見つめるのは小町であった。
「このあたりでいいかァ」
「もうちょい右、右。オッケーストップ」
一方で、環奈と麻由、冴子は台所で料理の手伝い中だ。
「前に行ったキムチ鍋のお店、すんごくおいしかったのネ。こんど冴ちゃんセンパイもいっしょ行きまショー!」
「あら、どこら辺にあるの?」
「大学近くの──ラーメン屋の通りあるやないですか。あそこの一本奥に入ったとこにあるんですよ」
と麻由が身振りを交えて説明する。
わりとすぐに通じたか、冴子は「ああ」とわらった。
「わかった、あそこね。みんなで行ったの?」
「あいッ。マユちゃんとゴウくんとナオくんとかんなで、もう何回も行ったのー!」
「仲良しさんね」
とクスクスとわらっていた冴子だったが、そばに仙石が寄ってくるなり肩に力が入った。
「手伝うことある?」
「ここは女子会中なの。男の子は向こうに行っててちょうだい」
「なんや、つれないな」
と一瞬見つめあうふたり。
すぐに仙石は庭の方へ戻って行ったけれど、残された冴子はひとり顔をパタパタと扇いで熱を冷ましている。
「……仲良しさんですね」
「ホントホント」
「ご、ごめんなさいお見苦しいところを……」
さて、高校メンツである。
女子たちは八郎たちが戻る少し前に刑部家へ到着していたようで、各々持ってきたお菓子を皿に盛る作業にはいっていた。
「誕パとかちょー楽しみでさ、きのう六時間くらいしか眠れんくて」
「じゅうぶん寝とるやん」
「ちがっ、春菜は八時間寝ないと駄目なのォ!」
「へえ。寝る子は育つっていうけど、頭までは育たへんねや」
「松子ひどいーッ」
ケタケタとわらう松子のとなりで、恵子が「あ、堀江」とつぶやく。
その瞬間に大口をあけて笑っていた松子はピシッと真顔に戻り、きょろきょろと辺りを見回しはじめた。
「うっそー」
「恵子ッ、アンタね!」
「あーんこれ重いィ。だれか持ってェ」
と、盛りすぎた皿に辟易する春菜のうしろで「どれ」と声がする。
この甘くしびれるようなたらし声は──。
「ギャッ、光さん!」
「あはは、久しぶりやね春菜ちゃん。元気そうでよかった」
「ひ、光さんも!」
「どれ、これ持ったげるよ」
「いやいやッ、ええです。こんなんうち持てます!」
と一気に謙虚な女子に早変わり。
そのようすを遠くから見ていた尚弥と剛は「ほええ」とあんぐり口を開けた。
「ああやって女は世の中を渡り歩いていくんやな」
「ええなあ、男は直球勝負なとこあるもんな」
という剛に、うしろでプッと吹き出す声がした。浜崎だ。
「お前らなんちゅう会話しとんねん。ええから邪魔にならんよう座っとけ」
「へーい。アッ、てか先生アレっすね。ちょうど花見のときに離婚問題発生してましたけど、いまは華の独身貴族やないですか。ぶっちゃけ気楽ッすか?」
「まあな。もともとひとりが苦痛ってわけでもないし、当分はおひとり様でやったるわい」
とはいいながらも、浜崎はどこかぶすくれたようすである。
なおもからかおうと口角をあげた尚弥に、剛は「おまえかて」とジト目を向ける。
「いまだに引きずってんちゃうやろな。鞠花ちゃん」
「アホ。あんな夏の日の思い出なんぞとっくに切り捨てたわ」
「ほー、へー」
「うぜえな……」
縁側では、潮江と廿楽、小町が並んで座っている。
きょろりと一同を見回して、廿楽が小町に顔を向けた。
「今日はあの業平っていうヤツは来てないのか?」
「ええ。業平さま──いえ、業平くんはちょっと遠いところへ行ってしまって」
「ふうん……」
「だれや、その平安貴公子みたいな名前した奴は」
「小町の友だちだってさ。なんか前にすこし話したことがあるんだ」
「へえ。今日、来られたらよかったんになァ」
と、潮江が遠い目をして喧騒をながめる。
まったく、これほど人が集まるというのもひとえに刑部家の人々の人徳があってのものだろう。そう思えば、いまその輪のなかに自分がいるということがすこしうれしくもある。
「いいんです。あの人は──こういう場は苦手ですから」
「そうかァ?」
「ええ。うまく立ち回りはしますけれど、どちらかというと少数で遊女《あそびめ》といちゃつくほうが好きなんです」
「……性格までばっちりやな」
「あ、八郎さまたちが帰ってきましたね」
と、小町が首を伸ばした。
ようやく企画主催者兼主役のお帰りだ。
その後、まもなくして部活組──明夫、健太郎、高村も合流したところで、八郎十七歳の誕生日パーティがはじまった。
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