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拾捌の抄 恋の行方
其の伍
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夕食後。
消灯時間の二十二時までは時間があるので、松子はぶらりと旅館内の散策に出た。とくに竹の生えた庭園は、恋する乙女が頭を悩ませるにはもってこいのロケーションである。
すでに他クラスの生徒も数名いたが、松子は構わず庭園そばのベンチに座った。
(…………)
女として自信がないわけではない。
町に出たら声をかけられるし、これまで告白をされたことだって何回もあった。性格はすこしお節介だが、いまの時代は大和撫子よりもこっちの方がウケもいい。
──けれども。
本気で人を好きになると、とたんにこれまで気が付かなかった自分のコンプレックスに気付かされる。
きっと他人に話したら笑われてしまうような些細なことも、いまの自分にはおそろしくハンデに感じてしまう。
「…………いや、サムい」
おもわずつぶやいた。
体感温度ではない。おのれの思考に対しての感想である。──しかし、つぎの瞬間に感じたのは、肩になにかをかけられたこと。
「そない薄着で庭なんか出たら、そら寒いわ」
「え、──」
堀江健太郎。
どうやら彼の上着をかけてくれたようだ。全身の血が、肩に集中するのを感じる。
松子の頬がボッと熱くなった。
「ほ、堀江くん!」
「ここの庭すげえな、部屋から見えたけど……実際見ると迫力がちがう」
「あ、ね。そうそう。近くでじっくり見たくてさ」
いつもは無愛想に閉まった口元も、いまは立派な庭園を前にすこし弛んでいる。彼の瞳にキラキラとうつる光がまぶしい。
松子は見とれるあまり黙ってしまう。
「……それより朝」
会話を続けたのは、健太郎のほうだった。
「刑部と喧嘩してたやろ。もう大丈夫なん?」
「ああっ、うん。あれね──なんやいろんな人に言われるわ。お騒がせしちゃって、あはは。でももう太宰府天満宮のあとすぐ仲直りしたから」
「そうなんか。いや、えらい珍しい奴らが喧嘩しよるなぁ思ててん。四宮も刑部も、ふだん怒らへんからよ」
「も、もしかしてそれ心配して来てくれたん?」
松子の胸がドクンと鳴った。
これはもしかしなくても脈があるのかもしれない。いや、少女漫画ならば間違いなく脈ありのパターンだ。
言ってしまおうか──と松子が腹筋に力をいれたとき、健太郎は「ああ」と目を見開いた。
「いやぜんぜん関係なくて」
「…………、え?」
「男子の大部屋でいま女子も混ざってトランプしよるから、四宮も連れてこいって尾白に言われた。なんや、元中おなじの自分らが行くより、俺が行った方が素直に来るやろうからって」
「…………」
「でもあんまり無理にってのもな。どうする?」
純粋な瞳である。
松子はギリリと奥歯を噛みしめた。
「…………そ、そうやったん。なんかごめんね、わざわざトランプ抜けてきてもろうて」
「いや俺はトランプせんと、もう寝るし」
「──あ、そ……。それなら尚のこと申し訳ない、参加もしてへんのに武晴の馬鹿のせいでわざわざ……」
うちも参加せえへん、といった松子の声がひどく沈む。が、健太郎は「そう」と気にせずうなずいた。
「あ、これ。上着おおきに。私ももう部屋戻るね」
「ああ」
ふたりは、エレベーターではなく、なんとなく階段をのぼる。
男子部屋は二階、女子は三階なので踊場でお別れだ。──と思ったら、健太郎はなぜか三階までついてきた。
「堀江くん、部屋下やろ?」
「もう遅いから三階まで──部屋までは、さすがに図々しいからやめとくけど」
「えっ、ぜんぜんええねんけど……」
「え?」
「なんでもありません」
松子の心臓は限界近くまで高鳴っている。
これ以上近くにいたら死ぬかもしれない、と松子は階段を駆けあがった。
「ホンマにおおきに。ごめんね、手ェ煩わせてもうて」
「ええって。またあした」
「う、うん。あしたね」
ふたたび階段を降りてゆく健太郎の姿を見て、松子はおもわず呼び掛けた。
ん、と顔をあげた健太郎。
松子は心臓が飛び出んばかりの緊張のなか、
「おやすみなさい」
と手を振った。
健太郎はフッと照れたように口角をあげる。
──おやすみ。
そういった彼の声を、姿を、笑顔を。
一生忘れないだろうとおもった。
──。
────。
『明けぬれば 来るるものとは 知りながら
なを恨めしき 朝ぼらけかな』
その夜の夢。
場面は、夕食前に入った風呂での会話だった。
「っかー焦れってェ。ええわ、オレが一肌脱いだるわ」
「いまはもろ肌脱いどるけどな! ぎゃはは!」
「おいハチ、しょーもないギャグかましとる場合かアホ。ええか堀江──」
──おやすみなさい。
頬をりんごのように染めた彼女。
おやすみ、と返した顔は変じゃなかっただろうか。不自然だっただろうか。気取りすぎていただろうか──。
嗚呼。
いっそ朝なんて来なければいい。
堀江健太郎は、トランプで盛り上がる部屋の隅で、とろけるほどの甘い夢を見ていた。
※ ※ ※
──夜が明けるとまた日が暮れ、
あなたに会えるのだと知っていても、
やはり別れねばならぬ夜明けのときは
ひどく恨めしいものだ。──
第五十二番 藤原道信朝臣
題知らず。
嫌なことがあると、その後の善いことさえ
心に掛けず悲しむ、人の情を詠める。
※
二日目。
長崎最初の目的地、原爆資料館。
前日にいった大刀洗平和祈念館では『特攻隊』など、戦争軍人についてを学んだが、ここでは第二次世界大戦において無差別虐殺ともいえる一般市民の被害について学ぶ。
案の定、三組の生徒たちは写真パネルを見ては涙ぐみ、原子爆弾『ファットマン』の模型を見ては怒りをあらわにした。
「明日の自由行動では、浦上天主堂に行くやつもいてるやろ。投下されたあとの天主堂レプリカも見て、現状と見比べるのもええ」
と声をかけ、高村はふっとわずかに口角をあげる。
パネルを見て涙をこらえる須藤真澄を発見し「ハンカチいります?」と茶化すように近寄った。
「……高村先生って、もうちょっと場所を考えて厳かにするとかいう頭はないんですか。たまにとんでもなく冷たい人になりますね」
「そんなことないでしょう。だってうれしいんですよ」
「うれしい?」
この資料館のなかで、よくそんな単語が出てくるものだ──と真澄の顔がぐっと歪んだ。
しかし高村の気持ちは真実であった。
「現代はこれほど、命が重くなったんやなあ……て」
「…………」
たまに彼はふしぎなことをいう。
と、真澄は思う。
いったいどこからの視点でモノを言っているのかと首をかしげたくなるが、彼はいたって真剣らしい。
「まあ、そうですね。でもせやからって教員がはしゃいでどうするんですか」
「いやはや。なにしろここは初めて来たもので──人間の叡智と愚かさがよくあらわれた展示なんですねえ」
「あらそうなんですか。あしたの自由行動ではどちらを?」
「まだ決めかねているところです。いつの時代をめぐるか──ううむ。悩みどころや」
とわらって、高村はぺこりと頭を下げると生徒の元へと戻ってゆく。
(…………)
いっしょにどうですか、なんて。
いい歳してばかばかしい、と真澄はおおきく首を振った。
──。
────。
「なんやて、なんも言えへんかった?」
武晴が眉を下げた。
つぎの目的地、出島へ向かう途中のバスのなかである。
対するは松子。昨夜の気遣いによって、健太郎と松子がどこまで進展したのかを確認するべく聞いたあげくの反応であった。
「だ、だってアンタ……いきなりあんなん不自然や。自分は参加せえへんトランプの人員なんて迷惑にも程があるて! 嫌われたらどうしてくれるん!」
「なにボケたこと言うてんねん。おまえな、明日はもう自由行動やねんぞ。どうせ班なんざみんな好き勝手変えて動くんや。そんときにデートさせたろうっちゅうオレの慮りを無碍にする気か?」
「むりむりむり──ていうかきのう、あれから部屋戻ってなんか言うてた? 四宮さんかわいいとか言うてた?」
「言うてたわけあるかアホ。さっさと寝入ったわ」
「えええええ……やっぱり脈ナシや」
と頭をかかえる松子の肩を小突いて、武晴は「あーメンドクセ」と背をそらす。
「あのな、よう考えてみ。そないメンドクサイ役回りを引き受けた男が、脈ナシなんてことあるか?」
「やめてェ、期待させへんといてェ」
「期待させとるんちゃうわ。事実を言うとんじゃボケ松子」
──と。
前席にて顔を寄せ合い、小声でぼそぼそと話し合うふたりのようすが気になるのか、バスの真ん中あたりに座る堀江健太郎はちらちらと視線を送ってくる。
そんな熱視線に気づくはずもない松子はつづけた。
「堀江くんはやさしいから引き受けてくれただけやもん。いまのまま告白なんかしたら、野球一筋でいたいからとかなんとかいうて断られるに決まってる……」
「……男に夢見すぎ。どうでもいい女相手にやさしくする男はほぼいてへんし、なんなら堀江は男子のなかじゃやさしくない方やで」
「うそ」
「ホント」
おどろいた。
松子がおもわずバッとうしろの健太郎へ視線を向けると、ちょうどこちらに目を向けていた彼とばっちり目が合ってしまう。
お互いすぐに目はそらしたが、もはやふたりの挙動からにじみ出る感情は抑えきれていない。
そのようすを傍から見ていた柊介は、
「見ているこっちがかゆくなる」
と苦笑した。
その後、松子は武晴に背を押され『出島表門橋』の上で堀江健太郎へ告白。
顔を真っ赤にした健太郎はふたつ返事で快諾することとなる。
消灯時間の二十二時までは時間があるので、松子はぶらりと旅館内の散策に出た。とくに竹の生えた庭園は、恋する乙女が頭を悩ませるにはもってこいのロケーションである。
すでに他クラスの生徒も数名いたが、松子は構わず庭園そばのベンチに座った。
(…………)
女として自信がないわけではない。
町に出たら声をかけられるし、これまで告白をされたことだって何回もあった。性格はすこしお節介だが、いまの時代は大和撫子よりもこっちの方がウケもいい。
──けれども。
本気で人を好きになると、とたんにこれまで気が付かなかった自分のコンプレックスに気付かされる。
きっと他人に話したら笑われてしまうような些細なことも、いまの自分にはおそろしくハンデに感じてしまう。
「…………いや、サムい」
おもわずつぶやいた。
体感温度ではない。おのれの思考に対しての感想である。──しかし、つぎの瞬間に感じたのは、肩になにかをかけられたこと。
「そない薄着で庭なんか出たら、そら寒いわ」
「え、──」
堀江健太郎。
どうやら彼の上着をかけてくれたようだ。全身の血が、肩に集中するのを感じる。
松子の頬がボッと熱くなった。
「ほ、堀江くん!」
「ここの庭すげえな、部屋から見えたけど……実際見ると迫力がちがう」
「あ、ね。そうそう。近くでじっくり見たくてさ」
いつもは無愛想に閉まった口元も、いまは立派な庭園を前にすこし弛んでいる。彼の瞳にキラキラとうつる光がまぶしい。
松子は見とれるあまり黙ってしまう。
「……それより朝」
会話を続けたのは、健太郎のほうだった。
「刑部と喧嘩してたやろ。もう大丈夫なん?」
「ああっ、うん。あれね──なんやいろんな人に言われるわ。お騒がせしちゃって、あはは。でももう太宰府天満宮のあとすぐ仲直りしたから」
「そうなんか。いや、えらい珍しい奴らが喧嘩しよるなぁ思ててん。四宮も刑部も、ふだん怒らへんからよ」
「も、もしかしてそれ心配して来てくれたん?」
松子の胸がドクンと鳴った。
これはもしかしなくても脈があるのかもしれない。いや、少女漫画ならば間違いなく脈ありのパターンだ。
言ってしまおうか──と松子が腹筋に力をいれたとき、健太郎は「ああ」と目を見開いた。
「いやぜんぜん関係なくて」
「…………、え?」
「男子の大部屋でいま女子も混ざってトランプしよるから、四宮も連れてこいって尾白に言われた。なんや、元中おなじの自分らが行くより、俺が行った方が素直に来るやろうからって」
「…………」
「でもあんまり無理にってのもな。どうする?」
純粋な瞳である。
松子はギリリと奥歯を噛みしめた。
「…………そ、そうやったん。なんかごめんね、わざわざトランプ抜けてきてもろうて」
「いや俺はトランプせんと、もう寝るし」
「──あ、そ……。それなら尚のこと申し訳ない、参加もしてへんのに武晴の馬鹿のせいでわざわざ……」
うちも参加せえへん、といった松子の声がひどく沈む。が、健太郎は「そう」と気にせずうなずいた。
「あ、これ。上着おおきに。私ももう部屋戻るね」
「ああ」
ふたりは、エレベーターではなく、なんとなく階段をのぼる。
男子部屋は二階、女子は三階なので踊場でお別れだ。──と思ったら、健太郎はなぜか三階までついてきた。
「堀江くん、部屋下やろ?」
「もう遅いから三階まで──部屋までは、さすがに図々しいからやめとくけど」
「えっ、ぜんぜんええねんけど……」
「え?」
「なんでもありません」
松子の心臓は限界近くまで高鳴っている。
これ以上近くにいたら死ぬかもしれない、と松子は階段を駆けあがった。
「ホンマにおおきに。ごめんね、手ェ煩わせてもうて」
「ええって。またあした」
「う、うん。あしたね」
ふたたび階段を降りてゆく健太郎の姿を見て、松子はおもわず呼び掛けた。
ん、と顔をあげた健太郎。
松子は心臓が飛び出んばかりの緊張のなか、
「おやすみなさい」
と手を振った。
健太郎はフッと照れたように口角をあげる。
──おやすみ。
そういった彼の声を、姿を、笑顔を。
一生忘れないだろうとおもった。
──。
────。
『明けぬれば 来るるものとは 知りながら
なを恨めしき 朝ぼらけかな』
その夜の夢。
場面は、夕食前に入った風呂での会話だった。
「っかー焦れってェ。ええわ、オレが一肌脱いだるわ」
「いまはもろ肌脱いどるけどな! ぎゃはは!」
「おいハチ、しょーもないギャグかましとる場合かアホ。ええか堀江──」
──おやすみなさい。
頬をりんごのように染めた彼女。
おやすみ、と返した顔は変じゃなかっただろうか。不自然だっただろうか。気取りすぎていただろうか──。
嗚呼。
いっそ朝なんて来なければいい。
堀江健太郎は、トランプで盛り上がる部屋の隅で、とろけるほどの甘い夢を見ていた。
※ ※ ※
──夜が明けるとまた日が暮れ、
あなたに会えるのだと知っていても、
やはり別れねばならぬ夜明けのときは
ひどく恨めしいものだ。──
第五十二番 藤原道信朝臣
題知らず。
嫌なことがあると、その後の善いことさえ
心に掛けず悲しむ、人の情を詠める。
※
二日目。
長崎最初の目的地、原爆資料館。
前日にいった大刀洗平和祈念館では『特攻隊』など、戦争軍人についてを学んだが、ここでは第二次世界大戦において無差別虐殺ともいえる一般市民の被害について学ぶ。
案の定、三組の生徒たちは写真パネルを見ては涙ぐみ、原子爆弾『ファットマン』の模型を見ては怒りをあらわにした。
「明日の自由行動では、浦上天主堂に行くやつもいてるやろ。投下されたあとの天主堂レプリカも見て、現状と見比べるのもええ」
と声をかけ、高村はふっとわずかに口角をあげる。
パネルを見て涙をこらえる須藤真澄を発見し「ハンカチいります?」と茶化すように近寄った。
「……高村先生って、もうちょっと場所を考えて厳かにするとかいう頭はないんですか。たまにとんでもなく冷たい人になりますね」
「そんなことないでしょう。だってうれしいんですよ」
「うれしい?」
この資料館のなかで、よくそんな単語が出てくるものだ──と真澄の顔がぐっと歪んだ。
しかし高村の気持ちは真実であった。
「現代はこれほど、命が重くなったんやなあ……て」
「…………」
たまに彼はふしぎなことをいう。
と、真澄は思う。
いったいどこからの視点でモノを言っているのかと首をかしげたくなるが、彼はいたって真剣らしい。
「まあ、そうですね。でもせやからって教員がはしゃいでどうするんですか」
「いやはや。なにしろここは初めて来たもので──人間の叡智と愚かさがよくあらわれた展示なんですねえ」
「あらそうなんですか。あしたの自由行動ではどちらを?」
「まだ決めかねているところです。いつの時代をめぐるか──ううむ。悩みどころや」
とわらって、高村はぺこりと頭を下げると生徒の元へと戻ってゆく。
(…………)
いっしょにどうですか、なんて。
いい歳してばかばかしい、と真澄はおおきく首を振った。
──。
────。
「なんやて、なんも言えへんかった?」
武晴が眉を下げた。
つぎの目的地、出島へ向かう途中のバスのなかである。
対するは松子。昨夜の気遣いによって、健太郎と松子がどこまで進展したのかを確認するべく聞いたあげくの反応であった。
「だ、だってアンタ……いきなりあんなん不自然や。自分は参加せえへんトランプの人員なんて迷惑にも程があるて! 嫌われたらどうしてくれるん!」
「なにボケたこと言うてんねん。おまえな、明日はもう自由行動やねんぞ。どうせ班なんざみんな好き勝手変えて動くんや。そんときにデートさせたろうっちゅうオレの慮りを無碍にする気か?」
「むりむりむり──ていうかきのう、あれから部屋戻ってなんか言うてた? 四宮さんかわいいとか言うてた?」
「言うてたわけあるかアホ。さっさと寝入ったわ」
「えええええ……やっぱり脈ナシや」
と頭をかかえる松子の肩を小突いて、武晴は「あーメンドクセ」と背をそらす。
「あのな、よう考えてみ。そないメンドクサイ役回りを引き受けた男が、脈ナシなんてことあるか?」
「やめてェ、期待させへんといてェ」
「期待させとるんちゃうわ。事実を言うとんじゃボケ松子」
──と。
前席にて顔を寄せ合い、小声でぼそぼそと話し合うふたりのようすが気になるのか、バスの真ん中あたりに座る堀江健太郎はちらちらと視線を送ってくる。
そんな熱視線に気づくはずもない松子はつづけた。
「堀江くんはやさしいから引き受けてくれただけやもん。いまのまま告白なんかしたら、野球一筋でいたいからとかなんとかいうて断られるに決まってる……」
「……男に夢見すぎ。どうでもいい女相手にやさしくする男はほぼいてへんし、なんなら堀江は男子のなかじゃやさしくない方やで」
「うそ」
「ホント」
おどろいた。
松子がおもわずバッとうしろの健太郎へ視線を向けると、ちょうどこちらに目を向けていた彼とばっちり目が合ってしまう。
お互いすぐに目はそらしたが、もはやふたりの挙動からにじみ出る感情は抑えきれていない。
そのようすを傍から見ていた柊介は、
「見ているこっちがかゆくなる」
と苦笑した。
その後、松子は武晴に背を押され『出島表門橋』の上で堀江健太郎へ告白。
顔を真っ赤にした健太郎はふたつ返事で快諾することとなる。
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