上 下
59 / 66

59日目 がんばっているように見える人たちには何が起こっているのか?

しおりを挟む
がんばっているように見える人たちには、いったい何が起こっているのでしょうか?
私たちの知らない何を彼らは知っているのでしょうか?

思考でそこへ到達するのは難しいと思います。それはこれまでに書いてきたとおりです。
今いる場所でがんばるのは無理があります。思考の外側に立つ必要があります。
私たちの思考に任せてしまうと、がんばってそこへ到達しようとしてしまいます。

がんばっているように見える人たちは、楽しんでやっています。一方で、楽しんでいないケースもあります。それは盲目的にやっているケースです。

むしろ、ほとんどのケースは楽しんでいることを認識すらしておらず、たいていは盲目的なケースかもしれません。

「スゲー楽しい」と私たちが考えるような感じではなく、もっと静かな、生きる喜びのような状態でしょう。

そして、実はあまり考えていません。自動的に行動していると言い換えてもいいかも知れません。
不安や心配、問題を抱えていません。これは問題が起きないという意味ではなく、抱えていないということです。不安や心配も起きてこないということではなく、抱えこんではいないということです。

彼らに「どうしてがんばれるのですか?」と尋ねてみると、おそらくは自分自身でもよくわかっていないと思います。
本人たちはがんばっているという自覚はなく、普通にやっているだけだと思っています。

複雑に、難しくしてしまっているのは私たちです。

できる人から見たら、できない私たちは理解できないようです。
「どうしてできないの?」「楽しんでやればいいだけじゃん」とこんな感じです。

楽しんでやっていると書きましたが、まったく楽しんでいないケースもあります。

試験勉強や受験勉強がこれに該当します。場合によっては絵の練習やスポーツの練習もこれに該当します。

それでも、盲目的にやっているその状態を楽しんでいたりします。苦しいことが楽しいというマゾ的な状態です。もくもくと何かをやるという行為、それ自体が生きる喜びなのです。

登山に例えてみるとわかりやすいかも知れません。一歩一歩をもくもくと歩いています。これが楽しさや喜びなのですが、登山の楽しさを知らない人は、何が楽しいのかがわかりません。

楽しんでいるにせよ、盲目的にやっているにせよ、いずれも共通項があります。
それは思考が差し挟まれていないということです。

私たちは歩いて頂上へ登るよりも、ヘリコプターで頂上へ到達してしまう方が合理的で良いことだと考えてしまいます。

これがそもそもの元凶であり、思考の正体なのです。私たちの持つ、愚かな側面です。

私たちの「がんばろうとする」行為を例えてみると、一生懸命にヘリコプターを探し、効率よく頂上へ到達しようする行為です。それは私たちが、目指すべきではないものを目指してしまっていたということです。

思考は、
・到達するのは早ければいいと考える。
・結果が良ければいいと考える。
・儲かればいいと考える。

逆に考えると、
・上達が遅いのは良くない。
・結果が悪いのは良くない。
・損をしたくない。

こうした合理的な側面が思考にはあります。

私たちの生きる喜びというのは合理的な思考の外側にあります。
思考の内側にいては到達できるはずがありません。

私たちの目指すべきは、登山のような、一歩一歩をもくもくと歩く行為です。
本物の夢中になる状態というのは、心が鎮まった状態です。そこは思考の外側の領域です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

オリジナルエロ小説でお金を稼ぐ忘備録

どん丸
エッセイ・ノンフィクション
ノクターンノベルズに始まりpixiv、fantia、FANBOX、DLsite、FANZA、そしてアルファポリスでオリジナルエロ小説を書いて儲けはどんな感じかの忘備録。あくまでも忘備録でこうするといいよ!みたいな話ではありません。書いているのがエロ小説という都合上ちらっとエロ用語が入るのでR15にしています。月の売り上げが出るタイミングで更新します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

日記のような何か

無知無能無謀丸
エッセイ・ノンフィクション
私が体験した出来事やオススメアニメなどを手持ち無沙汰なのに任せて投稿します

怪異・おもらししないと出られない部屋

紫藤百零
大衆娯楽
「怪異・おもらししないと出られない部屋」に閉じ込められた3人の少女。 ギャルのマリン、部活少女湊、知的眼鏡の凪沙。 こんな条件飲めるわけがない! だけど、これ以外に脱出方法は見つからなくて……。 強固なルールに支配された領域で、我慢比べが始まる。

処理中です...