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束の間の休息があってもいいですよね?
30.夜会
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「ーーっえ!? 子供!?
サラおねーさまではなくてお母様も!?」
「くすっ……えぇ、サラさんもそうだけど、私とカイの子供。あなたの妹か弟がここにいるのよ。。」
ええええぇーっ……仲良いとは思ってたけど……まさか今更子供が出来るとは……お母様もう35歳なのに……?
いやね、前世だったら全然何も問題ないけど、この世界での35歳って孫いてもおかしくないねんれいだし……。
……ていうかお盛んですね、お母様お父様……。
どうやら妹か弟が出来るそうです。
全く気付いてなかったけどそう言われればお母様のドレスわたしの作ったマタニティ仕様(なるべく目立たないようにバレないようにデザインしてある)着てますね。
うん、気付けよ、わたし!
学園の休みは8日間、そして往復時間で2日2日の4日間……滞在期間は4日間。
初日はおこめ食堂にいったし、昨日は生まれ変わり館にいった……うーん、今日はどうしよーかなぁ~?
冒険者ギルド行くのもいいけど、お母様の懐妊祝いでも買いに行こうかな?
「ユイちゃんっ!」
「ふぇ? あれぇ、ラルフお兄様、どうしたんですか?
今から出かけるつもりなんですけど一緒にいきますか?」
「あれ、もしかして聞いてない?
今日は夜会があるから出かけちゃダメだよ。」
えっ
「き、聞いてないです……けど。」
「そうか、ユイちゃんお茶会とかも好きじゃないから何かと理由つけて逃げちゃうもんねぇ。
だから父上も母上も内緒にしてたのかな……?
うん、でも今日は僕のパートナーとして出るのはすでに決まってるからね、参加で返事しちゃったし今更パートナーを誰かに頼むこともできないから拒否権はないよ?」
若干笑顔が黒いですよお兄様!?
「いえ、待ってくださいラルフお兄様。
そもそもわたしはまだ社交デビューしてませんが……。
それにドレスとか何も準備してません。」
「大丈夫大丈夫、今日アイラが参加できないから僕のパートナーユイちゃんしかいないの。
だから父上にも許可とってあるよ。
ドレスは生まれ変わり館でこれを! ってデザイナーさんたちに渡されたやつを採用しといたから。」
な、何も大丈夫じゃないですがっ!? そんな話、昨日お店にいったときにも何も聞いてないんですけど!?
まさかの従業員が敵だった!
うわあああん、貴族のお嬢様するの面倒くさいから嫌いなんだよおおお!
「ユイリエールお嬢様、目を閉じてください。
……はい、大丈夫です。これで終わりですよ。」
長い長い湯浴みや化粧や着付けなどの生き地獄が終わった。
長かった……。魔王と戦う方が楽なんじゃないかと思っちゃうくらいには疲れたー……もちろん戦ったことないけど……。
と普通の人は思わないようなことを思いながらぐったりしていたらドアが開いてお母様がひょっこり入ってきました。
「そろそろ終わったかしら?
まぁっ! ユイちゃんとっても可愛いわ!
さすが私とカイの娘ねっ!」
お母様もお父様にエスコートされて夜会参加するらしいのですが、今日もお母様は月の女神なんじゃないかと思えるくらい綺麗です。
艶々の黒曜石のような黒の髪は、綺麗に編み込まれてどうなってるかわたしにはわからない感じに複雑に編み込まれていて、なにあれどうなってるの状態。
着ているドレスは落ち着いた大人の女性らしく濃紺。
結婚してからはずっとお父様の瞳の色であるアイオライトカラーのドレスしか着ないようになったらしいんですよね、純愛っぽいですよね!
あ、濃淡はありますよ。
毎回同じ濃さだと流石に飽きちゃいますしね。
あぁでも家では色んな色着てますけどね?
お母様ピンクとかとっても似合うんですよねぇ……流石です。
もちろんデザインは我が生まれ変わり館のもの。
今日は妊婦さん用にデザインしておいたエンパイアラインのスクエアネックのドレス。
二の腕から先はドレスと同じ布で覆われていて、手首から下はレースで中指の指輪と繋がっていて指先は出ているデザイン。
足元は足首より少し長いくらいで裾は引きずらないようなギリギリの長さにしてーーといっても少しヒールがあるから引きずることはありえないけどーー太ももあたりからスリットのようにレースで脚線美を表しています。
もちろんヒールの高さは低めの太め、妊婦さんですから危険は少しでも少なくしています。
胸の切り替えより下はレースで覆われていて、レースは全部上から下にかけて濃紺から白のグラデーションになってます。
デザインはわたしがしたものですけど、カラーデザインはサラおねーさまがしたみたいです。
お母様の美しさが際立ってとても綺麗です、さすがおねーさま!
「はぁぁ……、お母様美しいです!
これを着るのは初ですか?」
「ありがとう。
えぇ、初めてよ。数回しか着ちゃダメなんて、勿体ないくらい綺麗なドレスなのに……お腹も苦しくなくてとっても楽だわ~。」
やっぱり貴族というものは面倒くさい。
貴族のメンツとしてあまり長い間同じドレスを着るのは良くないってことで、服飾店の活性化のためも含めて5回を目安に売りに出したり処分などをしてもう着ることはできません。
まぁそこらへんの判断は自分たちでするのですが、結構周りの人も見てるので油断は出来ないので皆その暗黙の了解のルールは守っています。
なんて面倒くさい世界、無駄なプライド。
作る側としては捨てないで売ったりあげたり、というのが嬉しいです。
せっかく作ったのにダメになる前に捨てられちゃうのは悲しい……。
まぁ我が家では加工したりして家や領内の孤児院などに寄付してるんですけどね。
今回のはマタニティドレスなのでお家で着てもいいんじゃないかなと思っちゃったりしてますが。
気付いてなかったのに言うのもあれですが、結構お腹出てますね、お母様……
「ユイちゃんの今日のドレスはまるで薔薇の妖精さんみたいねぇ。
とっても似合うわぁ。」
薔薇の妖精さんなわたしのドレスはビリジアンカラーでワンショルダーのアンクル丈ドレスです。
裾あたりは蔦が絡まっているような刺繍があってそのさらに下は赤く染まっています。
ショルダー部分に赤い薔薇のコサージュがついていて裾に向かって花びらが散っている刺繍がしてあります。
実はこれずっと前から社交界デビューのとき用に作っていたデザインのうちの一つなんですよね。
デザインはそのままに形をどうするかとか色々案があったんですけど、まだ社交デビューじゃないからって寝かせてたんですよね。
今回お兄様の依頼でわたしの今の年齢に合わせてアンクル丈で可愛い感じにして作ってくれたみたいです。
流石わたしのお店のスタッフさん!
自分でデザインした服を着るのは少しだけ照れくさいですけど、やっぱり可愛いと思えるデザインを着れるのは素敵ですよね。
髪の毛もハーフアップにして薔薇がぶら下がっている簪をさしてもらいました。
棒部分は幾重も重なった蔦デザイン。
おろしている毛先だけふわっと内巻きにしていて我ながら可愛いです。
パンプスはわたし好みのペタンコのシンプルなもの。
通常は子供でも常日頃からヒールを履くものですが、わたしは常日頃からペタンコです。
ヒール疲れるから嫌いです。
妊婦さんのお母様ははいてるのにね。
「えへへ、ありがとうございます。
もう行きますか?」
「そうね、そろそろ行きましょうか。
じゃあラルフとカイが広間で待ってるって言っていたから行きましょう。」
「はい、お母様。」
扉を開いてお兄様たちの待っている広間に行くと、黒い燕尾のスーツ姿のお父様と、光加減で赤が入っていることがわかる黒の燕尾スーツのお兄様が待っていました。
どちらもエスコート相手の髪の色ですね。
そしてお父様もお兄様も翡翠色のハンカチーフを胸ポケに入れていて、お父様はよく見ると天使の羽根モチーフだと分かるかなー程度のカフスボタン、お兄様はガッツリ薔薇モチーフのカフスボタンです。
スーツは髪色、ハンカチーフは瞳の色とお母様とわたしをイメージした作りになっています。
何か恥ずかしいですね。
あ、お父様のカフスが天使モチーフなのは、お母様の黒の天使って二つ名があるからですね。
これは常に使ってるやつで、以前聞いたことがあったので『あぁ、なるほど……』って思いました。
「うわぁー、ユイちゃん可愛い!
とっても似合ってるよ、僕の天使……誰にも見せたくないくらい……!
うん、特にストラには絶対見せない!
今日はユイちゃんが家にいる間使用人棟以外出入り禁止にしてよかった。」
あ、そういえばさっきからストラがいないです。
お兄様めちゃくちゃ笑顔ですけど、まさかの出禁とか。
お父様もお母様も苦笑してますよ。
「ユイ似合ってるよ。
10歳とは思えないほど大人の女性のように美しいよ。もう立派なレディだな。」
「私もユイちゃんには及ばないけどカラーデザイン出来るんだからっ。」
「ユイリエールお嬢様、間違いなく可愛らしくて今日の注目の的ですね。」
キズリお兄様は普段あんまり喋らないけど褒める時はめっちゃ褒めるから照れくさいです……
でもサラおねーさまが可愛くて癒された。
ラルフお兄様の護衛のライはちょっとたらしっぽい雰囲気あるんですよね……。
ルナとかがたらし込まれないように要注意ですよ。
ちなみに普段はストラが警戒しててライがわたしの近くにいることはあんまりないです。
『近くにいるだけで孕みそう』とか言われたときは爆笑しましたけどね。
「ではお嬢様、本日のエスコートはわたくしラルフシェイド・リシュールに任せていただいてもよろしいでしょうか?」
気障ったらしく足をスッと引いて右手を差し出してきたお誘いポーズのお兄様に笑いながら手を乗せ片手でドレスを摘んで笑顔でお返事。
「もちろん、喜んでお願い致しますわ、ラルフシェイドお兄様。」
満面の笑みがお兄様から返ってきて可愛い可愛いとぎゅうぎゅうされました。
髪が崩れる! ってメイドさんたちにぷんすこ怒られてました。
-------------------------------------
「着きましたよお嬢さん、ここが本日の夜会会場ティヤー侯爵家ですよ。」
「ふふっ、お兄様今日はキザです。」
「可愛いユイちゃんをエスコートできるなんて夢のようだからね。笑顔でいてくれるならいくらでもやるよ?
アイラのときは僕も同じタイミングの夜会デビューだったから緊張してたし……今日はしっかりとエスコートするからね。」
やっぱり場数を踏むと人って成長するってことなんですかね。
お兄様ももう何年も夜会でてますもんね。
さて、ティヤー侯爵家はたしか貴族貴族したお家だったっけ……。
ならば末娘のわたしが粗相をして我が家の足を引っ張るわけにはいかないから完璧に擬態しなければ……!
帰ったら皆に褒めてもらうために頑張るぞー!
案内されて一歩夜会会場に入ると会場全体がギラギラと光っていて夜とは思えない眩さで、なんていうか、東京を思い出す。
我が家ではあんまり多くないですが、たまに開かれる夜会を覗いたことがあるけれど……こんなにギラギラ光ってなくてもっと落ち着いた雰囲気だったはず……。
なんていうか目に毒なギラギラすぎて、目が~! ってなります。
「おいでユイちゃん、父上たちに続いて主催であるティヤー侯爵に挨拶しとこう。
会場は……まぁ、そのうち目が慣れるから我慢してね。」
あ、お兄様も眩さに負けてるんですね、いつもより薄目じゃないですか。
主催のティヤー侯爵を見つけましたが、見た目は分かりやすく貴族……ころんころんしそうなしっとり汗が滲んでいるデブでハフハフしてそうな人でした。
ブタとは言いません、豚はよく見ると可愛いんですよ?
彼らは体脂肪率が13%くらいでとても低いし、とても綺麗好きな動物なので豚に謝ってください。
ちなみに18歳から39歳女性の標準体脂肪率は21~34%だそうですよ。
前世のテレビか何かでそれを知ったときは衝撃を受けましたよ。豚に謝れー!
お父様たちが挨拶している後ろでお兄様に連れられて待機していると、挨拶が終わったお父様たちはわたしたちに軽く手を振り去っていきました。
今日はエスコートにお兄様がいるから別行動なのです。
「おや、ラルフシェイド次期侯爵……今日はとても美しいお嬢さんを連れていますな、紹介していただいても?」
「こんばんはティヤー侯爵。
今日はお招きいただきましてありがとうございます。
この子は私の末の妹のユイリエールです。
今日は妹のアイラが来れないのでエスコートを任せましたがまだ10歳でデビュタントもしていないので不慣れですが多めに見ていただけると嬉しく思います。」
「初めましてティヤー侯爵様、リシュール侯爵末娘のユイリエール・リシュールと申します。」
ニッコリとお母様直伝の笑顔で淑女の挨拶をすればほぅ……とジロジロと品定めされます。
正直自由に生きてはきたけど、淑女教育だってその裏でビシバシされてきました。
伊達に何年も余分に生きてませんからね、同い年のピヨ子たちには負けませんから自信はあります。
負けませんが、ジロジロ見るなデブって言いたい、我慢。
「おや、ラルフシェイド様の妹君でしたか。
はじめましてユイリエール嬢、私はルイス・ティヤーと申します。
いやいや美しい妹君ですな……10歳には思えない美しさに、落ち着いた雰囲気もあって素晴らしいお嬢さんだ。
息子がもう少し若ければ婚約を申し込みたいくらいに。年上でも大丈夫だったらぜひどうかな?」
はっはっはって笑ってるけどデブ貴族の息子はデブって相場があるのでお断りですが。
あっ、お兄様の顔が若干引きつってる! お兄様、笑顔が剥がれ落ちそうですよ!?
「ははっ、ご冗談をティヤー侯爵。
さすがに僕よりも10近く上のあなた様のご子息様ですと妹との年の差が20近いですよ。
はははっ。」
お兄様、ははって言ってるの口だけ! 仮面剥がれてますよっ! 目が射殺しそうなほど鋭いよ!?
ていうかもう20差って『少し』どころじゃないけどね!
わたしが結婚できる年齢のころには40近いじゃん!?
ティヤー侯爵もはっはっはっとか言ってるけど、もう二人の笑いがHAHAHAに聞こえてきましたが!?
なにここ魔窟。わかってたけど魔窟!
色んな人に挨拶をして回って分かったのは、狸も多いけど狸になれない人もめちゃくちゃ多い……。
なんだろう、クソ貴族の集まりみたいな感じ? あっと口が悪すぎましたわー。
おほほ。
チラとお兄様を窺ってみると笑顔を浮かべてはいるけどちょっと真剣な顔つきで少し不愉快そうに眉間にしわが寄ってます。
「お兄様?」
ちょっと不安になって声をかけてみるとゴメンねと謝られて作ってないいつも通りの笑顔を浮かべて軽く頭を撫でてくれました。
手を引かれて歩きながら聞いたらお父様を探しに行くそうです。
お父様もお母様をエスコートしながらもちょっとピリッとした空気?
おや、これはなおさら何かあった予感ですが……?
「父上。」
「あぁラルフ、ユイ。
うん、そろそろ帰るか。」
「はい。」
なんか二人で会話してるし、お母様も分かってるのか納得してる様子。
私だけ分からないです……経験値の差が憎い……。
挨拶したら満足して話全然聞かずにコッソリキョロキョロしてたからいけないんですかねっ!
さすがに話聞いてたらわかるもん、中身は大人なはずだもん……。
帰りの馬車の中で真剣な表情のお兄様とお父様に何があったのか聞いてもいいのかと、うずうずしていたらクスリと笑って頭を撫でてきたお父様に質問されました。
「ティヤー侯爵のことはどう思った?」
「えっと……ティヤー侯爵ですか……
お兄様と狸の化かし合いみたいにはっはっはって笑ってるデブ親父……?」
ぶはっと横でお兄様が噴き出して笑ってますが、貴方が化かし合いしてたんじゃないですか。
お父様も苦笑しないでください。
「化かし合いな、そうだな、うんデブ親父も間違ってないが……まぁ……直球だな。
まぁ、その化かし合いなんだけどな、ティヤー侯爵はなんだ、古き良き貴族でな……分かりやすくいうと貴族至上主義でな、我が家とはあまり仲が良くない。
うちは平民とも近しい貴族だからな。
普段から貴族至上主義の主催した夜会っていうのはリシュール家が招待されることはないんだよ。
今日の招待客は貴族至上主義の貴族の中でも更にガチガチのやつらばかり。
まだ現役の俺を省いてラルフだけを招待することが出来ないから俺も一緒に招かれたが、多分ラルフがどういうやつか見極めたかったんじゃないか。
次期リシュール侯爵はあいつらと同じ貴族至上主義なのか、それとも俺と同じ平民よりの貴族なのか。
平民よりなんだったら爵位を継ぐ前にうまくこちら側に染めることは出来ないだろうか、ってな。
今日は俺よりもラルフへの挨拶が多かったからそんな感じだろう。
残念ながらラルフはユイがいるから俺よりも平民よりの思考だがな。」
む、わたしですか? 分からんというような顔で首をかしげていると今度はお兄様に頭を撫でられました。
「ユイちゃんは冒険者やってるでしょう?
しかも庶民も貴族も買えるようにお店も仕立屋とは別に中古屋とか貸し出し屋もやりたいって言ってたし、食堂なんかは完璧に平民のためのお店だ。
ね、そんな全く差別を持っていないとかいう以前の考え方をしている大事な大事な妹と、領民を大事にする父母がいるのに僕がお貴族様第一な思考になるわけないんだよ。」
なるほど。
納得しました。
まぁ差別のない時代に生まれた記憶があるから、お貴族様思考が全く理解出来ないですしね。
そもそも貴族は平民がいなければ成り立たないのにあんな風に偉そうになるのは誠に遺憾であるのですよ。
中古屋とかは……最近ブックオンで立ち読みしてる夢みたんですよね、そしたら思いついて……今回の帰宅で相談だけしたのでまだ何も構想も出来てないんですけどね。
お父様もお兄様も賛成してくれたので次帰ってくるまでに構想を考えておこうと思ってます。
「まぁ、ちょうど暇なときを狙ったのか分からないけど参加できたから断る理由もなくて参加したけど……もう行くことはないかな。
僕とは意見が合いそうもない。
貴族じゃないと人じゃないとか言いたそうな奴らが多かったからね。」
むむ、そういう人たちがホビットさんたちを奴隷にするんですかね……。
あぁ、久しぶりにホビットの森に行きたいな……明日行こうかなぁ……。
ホビットって小さいけど、トーイとかでかくなりそうなイメージあったけど……でかくなってないかなぁ……いや、でも成人してるっていってたし無理かぁー……。
なんてまったりした考えにふけっていたら馬車の程よい揺れで眠りについていたらしく、気付いたら朝になっていました。
朝起きてストラに『帰ってきたらドレス見せてもらおうと思ってたのに寝てるからって見せてもらえなかったぞ!』と文句言われました。
そんなこと言われても。
サラおねーさまではなくてお母様も!?」
「くすっ……えぇ、サラさんもそうだけど、私とカイの子供。あなたの妹か弟がここにいるのよ。。」
ええええぇーっ……仲良いとは思ってたけど……まさか今更子供が出来るとは……お母様もう35歳なのに……?
いやね、前世だったら全然何も問題ないけど、この世界での35歳って孫いてもおかしくないねんれいだし……。
……ていうかお盛んですね、お母様お父様……。
どうやら妹か弟が出来るそうです。
全く気付いてなかったけどそう言われればお母様のドレスわたしの作ったマタニティ仕様(なるべく目立たないようにバレないようにデザインしてある)着てますね。
うん、気付けよ、わたし!
学園の休みは8日間、そして往復時間で2日2日の4日間……滞在期間は4日間。
初日はおこめ食堂にいったし、昨日は生まれ変わり館にいった……うーん、今日はどうしよーかなぁ~?
冒険者ギルド行くのもいいけど、お母様の懐妊祝いでも買いに行こうかな?
「ユイちゃんっ!」
「ふぇ? あれぇ、ラルフお兄様、どうしたんですか?
今から出かけるつもりなんですけど一緒にいきますか?」
「あれ、もしかして聞いてない?
今日は夜会があるから出かけちゃダメだよ。」
えっ
「き、聞いてないです……けど。」
「そうか、ユイちゃんお茶会とかも好きじゃないから何かと理由つけて逃げちゃうもんねぇ。
だから父上も母上も内緒にしてたのかな……?
うん、でも今日は僕のパートナーとして出るのはすでに決まってるからね、参加で返事しちゃったし今更パートナーを誰かに頼むこともできないから拒否権はないよ?」
若干笑顔が黒いですよお兄様!?
「いえ、待ってくださいラルフお兄様。
そもそもわたしはまだ社交デビューしてませんが……。
それにドレスとか何も準備してません。」
「大丈夫大丈夫、今日アイラが参加できないから僕のパートナーユイちゃんしかいないの。
だから父上にも許可とってあるよ。
ドレスは生まれ変わり館でこれを! ってデザイナーさんたちに渡されたやつを採用しといたから。」
な、何も大丈夫じゃないですがっ!? そんな話、昨日お店にいったときにも何も聞いてないんですけど!?
まさかの従業員が敵だった!
うわあああん、貴族のお嬢様するの面倒くさいから嫌いなんだよおおお!
「ユイリエールお嬢様、目を閉じてください。
……はい、大丈夫です。これで終わりですよ。」
長い長い湯浴みや化粧や着付けなどの生き地獄が終わった。
長かった……。魔王と戦う方が楽なんじゃないかと思っちゃうくらいには疲れたー……もちろん戦ったことないけど……。
と普通の人は思わないようなことを思いながらぐったりしていたらドアが開いてお母様がひょっこり入ってきました。
「そろそろ終わったかしら?
まぁっ! ユイちゃんとっても可愛いわ!
さすが私とカイの娘ねっ!」
お母様もお父様にエスコートされて夜会参加するらしいのですが、今日もお母様は月の女神なんじゃないかと思えるくらい綺麗です。
艶々の黒曜石のような黒の髪は、綺麗に編み込まれてどうなってるかわたしにはわからない感じに複雑に編み込まれていて、なにあれどうなってるの状態。
着ているドレスは落ち着いた大人の女性らしく濃紺。
結婚してからはずっとお父様の瞳の色であるアイオライトカラーのドレスしか着ないようになったらしいんですよね、純愛っぽいですよね!
あ、濃淡はありますよ。
毎回同じ濃さだと流石に飽きちゃいますしね。
あぁでも家では色んな色着てますけどね?
お母様ピンクとかとっても似合うんですよねぇ……流石です。
もちろんデザインは我が生まれ変わり館のもの。
今日は妊婦さん用にデザインしておいたエンパイアラインのスクエアネックのドレス。
二の腕から先はドレスと同じ布で覆われていて、手首から下はレースで中指の指輪と繋がっていて指先は出ているデザイン。
足元は足首より少し長いくらいで裾は引きずらないようなギリギリの長さにしてーーといっても少しヒールがあるから引きずることはありえないけどーー太ももあたりからスリットのようにレースで脚線美を表しています。
もちろんヒールの高さは低めの太め、妊婦さんですから危険は少しでも少なくしています。
胸の切り替えより下はレースで覆われていて、レースは全部上から下にかけて濃紺から白のグラデーションになってます。
デザインはわたしがしたものですけど、カラーデザインはサラおねーさまがしたみたいです。
お母様の美しさが際立ってとても綺麗です、さすがおねーさま!
「はぁぁ……、お母様美しいです!
これを着るのは初ですか?」
「ありがとう。
えぇ、初めてよ。数回しか着ちゃダメなんて、勿体ないくらい綺麗なドレスなのに……お腹も苦しくなくてとっても楽だわ~。」
やっぱり貴族というものは面倒くさい。
貴族のメンツとしてあまり長い間同じドレスを着るのは良くないってことで、服飾店の活性化のためも含めて5回を目安に売りに出したり処分などをしてもう着ることはできません。
まぁそこらへんの判断は自分たちでするのですが、結構周りの人も見てるので油断は出来ないので皆その暗黙の了解のルールは守っています。
なんて面倒くさい世界、無駄なプライド。
作る側としては捨てないで売ったりあげたり、というのが嬉しいです。
せっかく作ったのにダメになる前に捨てられちゃうのは悲しい……。
まぁ我が家では加工したりして家や領内の孤児院などに寄付してるんですけどね。
今回のはマタニティドレスなのでお家で着てもいいんじゃないかなと思っちゃったりしてますが。
気付いてなかったのに言うのもあれですが、結構お腹出てますね、お母様……
「ユイちゃんの今日のドレスはまるで薔薇の妖精さんみたいねぇ。
とっても似合うわぁ。」
薔薇の妖精さんなわたしのドレスはビリジアンカラーでワンショルダーのアンクル丈ドレスです。
裾あたりは蔦が絡まっているような刺繍があってそのさらに下は赤く染まっています。
ショルダー部分に赤い薔薇のコサージュがついていて裾に向かって花びらが散っている刺繍がしてあります。
実はこれずっと前から社交界デビューのとき用に作っていたデザインのうちの一つなんですよね。
デザインはそのままに形をどうするかとか色々案があったんですけど、まだ社交デビューじゃないからって寝かせてたんですよね。
今回お兄様の依頼でわたしの今の年齢に合わせてアンクル丈で可愛い感じにして作ってくれたみたいです。
流石わたしのお店のスタッフさん!
自分でデザインした服を着るのは少しだけ照れくさいですけど、やっぱり可愛いと思えるデザインを着れるのは素敵ですよね。
髪の毛もハーフアップにして薔薇がぶら下がっている簪をさしてもらいました。
棒部分は幾重も重なった蔦デザイン。
おろしている毛先だけふわっと内巻きにしていて我ながら可愛いです。
パンプスはわたし好みのペタンコのシンプルなもの。
通常は子供でも常日頃からヒールを履くものですが、わたしは常日頃からペタンコです。
ヒール疲れるから嫌いです。
妊婦さんのお母様ははいてるのにね。
「えへへ、ありがとうございます。
もう行きますか?」
「そうね、そろそろ行きましょうか。
じゃあラルフとカイが広間で待ってるって言っていたから行きましょう。」
「はい、お母様。」
扉を開いてお兄様たちの待っている広間に行くと、黒い燕尾のスーツ姿のお父様と、光加減で赤が入っていることがわかる黒の燕尾スーツのお兄様が待っていました。
どちらもエスコート相手の髪の色ですね。
そしてお父様もお兄様も翡翠色のハンカチーフを胸ポケに入れていて、お父様はよく見ると天使の羽根モチーフだと分かるかなー程度のカフスボタン、お兄様はガッツリ薔薇モチーフのカフスボタンです。
スーツは髪色、ハンカチーフは瞳の色とお母様とわたしをイメージした作りになっています。
何か恥ずかしいですね。
あ、お父様のカフスが天使モチーフなのは、お母様の黒の天使って二つ名があるからですね。
これは常に使ってるやつで、以前聞いたことがあったので『あぁ、なるほど……』って思いました。
「うわぁー、ユイちゃん可愛い!
とっても似合ってるよ、僕の天使……誰にも見せたくないくらい……!
うん、特にストラには絶対見せない!
今日はユイちゃんが家にいる間使用人棟以外出入り禁止にしてよかった。」
あ、そういえばさっきからストラがいないです。
お兄様めちゃくちゃ笑顔ですけど、まさかの出禁とか。
お父様もお母様も苦笑してますよ。
「ユイ似合ってるよ。
10歳とは思えないほど大人の女性のように美しいよ。もう立派なレディだな。」
「私もユイちゃんには及ばないけどカラーデザイン出来るんだからっ。」
「ユイリエールお嬢様、間違いなく可愛らしくて今日の注目の的ですね。」
キズリお兄様は普段あんまり喋らないけど褒める時はめっちゃ褒めるから照れくさいです……
でもサラおねーさまが可愛くて癒された。
ラルフお兄様の護衛のライはちょっとたらしっぽい雰囲気あるんですよね……。
ルナとかがたらし込まれないように要注意ですよ。
ちなみに普段はストラが警戒しててライがわたしの近くにいることはあんまりないです。
『近くにいるだけで孕みそう』とか言われたときは爆笑しましたけどね。
「ではお嬢様、本日のエスコートはわたくしラルフシェイド・リシュールに任せていただいてもよろしいでしょうか?」
気障ったらしく足をスッと引いて右手を差し出してきたお誘いポーズのお兄様に笑いながら手を乗せ片手でドレスを摘んで笑顔でお返事。
「もちろん、喜んでお願い致しますわ、ラルフシェイドお兄様。」
満面の笑みがお兄様から返ってきて可愛い可愛いとぎゅうぎゅうされました。
髪が崩れる! ってメイドさんたちにぷんすこ怒られてました。
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「着きましたよお嬢さん、ここが本日の夜会会場ティヤー侯爵家ですよ。」
「ふふっ、お兄様今日はキザです。」
「可愛いユイちゃんをエスコートできるなんて夢のようだからね。笑顔でいてくれるならいくらでもやるよ?
アイラのときは僕も同じタイミングの夜会デビューだったから緊張してたし……今日はしっかりとエスコートするからね。」
やっぱり場数を踏むと人って成長するってことなんですかね。
お兄様ももう何年も夜会でてますもんね。
さて、ティヤー侯爵家はたしか貴族貴族したお家だったっけ……。
ならば末娘のわたしが粗相をして我が家の足を引っ張るわけにはいかないから完璧に擬態しなければ……!
帰ったら皆に褒めてもらうために頑張るぞー!
案内されて一歩夜会会場に入ると会場全体がギラギラと光っていて夜とは思えない眩さで、なんていうか、東京を思い出す。
我が家ではあんまり多くないですが、たまに開かれる夜会を覗いたことがあるけれど……こんなにギラギラ光ってなくてもっと落ち着いた雰囲気だったはず……。
なんていうか目に毒なギラギラすぎて、目が~! ってなります。
「おいでユイちゃん、父上たちに続いて主催であるティヤー侯爵に挨拶しとこう。
会場は……まぁ、そのうち目が慣れるから我慢してね。」
あ、お兄様も眩さに負けてるんですね、いつもより薄目じゃないですか。
主催のティヤー侯爵を見つけましたが、見た目は分かりやすく貴族……ころんころんしそうなしっとり汗が滲んでいるデブでハフハフしてそうな人でした。
ブタとは言いません、豚はよく見ると可愛いんですよ?
彼らは体脂肪率が13%くらいでとても低いし、とても綺麗好きな動物なので豚に謝ってください。
ちなみに18歳から39歳女性の標準体脂肪率は21~34%だそうですよ。
前世のテレビか何かでそれを知ったときは衝撃を受けましたよ。豚に謝れー!
お父様たちが挨拶している後ろでお兄様に連れられて待機していると、挨拶が終わったお父様たちはわたしたちに軽く手を振り去っていきました。
今日はエスコートにお兄様がいるから別行動なのです。
「おや、ラルフシェイド次期侯爵……今日はとても美しいお嬢さんを連れていますな、紹介していただいても?」
「こんばんはティヤー侯爵。
今日はお招きいただきましてありがとうございます。
この子は私の末の妹のユイリエールです。
今日は妹のアイラが来れないのでエスコートを任せましたがまだ10歳でデビュタントもしていないので不慣れですが多めに見ていただけると嬉しく思います。」
「初めましてティヤー侯爵様、リシュール侯爵末娘のユイリエール・リシュールと申します。」
ニッコリとお母様直伝の笑顔で淑女の挨拶をすればほぅ……とジロジロと品定めされます。
正直自由に生きてはきたけど、淑女教育だってその裏でビシバシされてきました。
伊達に何年も余分に生きてませんからね、同い年のピヨ子たちには負けませんから自信はあります。
負けませんが、ジロジロ見るなデブって言いたい、我慢。
「おや、ラルフシェイド様の妹君でしたか。
はじめましてユイリエール嬢、私はルイス・ティヤーと申します。
いやいや美しい妹君ですな……10歳には思えない美しさに、落ち着いた雰囲気もあって素晴らしいお嬢さんだ。
息子がもう少し若ければ婚約を申し込みたいくらいに。年上でも大丈夫だったらぜひどうかな?」
はっはっはって笑ってるけどデブ貴族の息子はデブって相場があるのでお断りですが。
あっ、お兄様の顔が若干引きつってる! お兄様、笑顔が剥がれ落ちそうですよ!?
「ははっ、ご冗談をティヤー侯爵。
さすがに僕よりも10近く上のあなた様のご子息様ですと妹との年の差が20近いですよ。
はははっ。」
お兄様、ははって言ってるの口だけ! 仮面剥がれてますよっ! 目が射殺しそうなほど鋭いよ!?
ていうかもう20差って『少し』どころじゃないけどね!
わたしが結婚できる年齢のころには40近いじゃん!?
ティヤー侯爵もはっはっはっとか言ってるけど、もう二人の笑いがHAHAHAに聞こえてきましたが!?
なにここ魔窟。わかってたけど魔窟!
色んな人に挨拶をして回って分かったのは、狸も多いけど狸になれない人もめちゃくちゃ多い……。
なんだろう、クソ貴族の集まりみたいな感じ? あっと口が悪すぎましたわー。
おほほ。
チラとお兄様を窺ってみると笑顔を浮かべてはいるけどちょっと真剣な顔つきで少し不愉快そうに眉間にしわが寄ってます。
「お兄様?」
ちょっと不安になって声をかけてみるとゴメンねと謝られて作ってないいつも通りの笑顔を浮かべて軽く頭を撫でてくれました。
手を引かれて歩きながら聞いたらお父様を探しに行くそうです。
お父様もお母様をエスコートしながらもちょっとピリッとした空気?
おや、これはなおさら何かあった予感ですが……?
「父上。」
「あぁラルフ、ユイ。
うん、そろそろ帰るか。」
「はい。」
なんか二人で会話してるし、お母様も分かってるのか納得してる様子。
私だけ分からないです……経験値の差が憎い……。
挨拶したら満足して話全然聞かずにコッソリキョロキョロしてたからいけないんですかねっ!
さすがに話聞いてたらわかるもん、中身は大人なはずだもん……。
帰りの馬車の中で真剣な表情のお兄様とお父様に何があったのか聞いてもいいのかと、うずうずしていたらクスリと笑って頭を撫でてきたお父様に質問されました。
「ティヤー侯爵のことはどう思った?」
「えっと……ティヤー侯爵ですか……
お兄様と狸の化かし合いみたいにはっはっはって笑ってるデブ親父……?」
ぶはっと横でお兄様が噴き出して笑ってますが、貴方が化かし合いしてたんじゃないですか。
お父様も苦笑しないでください。
「化かし合いな、そうだな、うんデブ親父も間違ってないが……まぁ……直球だな。
まぁ、その化かし合いなんだけどな、ティヤー侯爵はなんだ、古き良き貴族でな……分かりやすくいうと貴族至上主義でな、我が家とはあまり仲が良くない。
うちは平民とも近しい貴族だからな。
普段から貴族至上主義の主催した夜会っていうのはリシュール家が招待されることはないんだよ。
今日の招待客は貴族至上主義の貴族の中でも更にガチガチのやつらばかり。
まだ現役の俺を省いてラルフだけを招待することが出来ないから俺も一緒に招かれたが、多分ラルフがどういうやつか見極めたかったんじゃないか。
次期リシュール侯爵はあいつらと同じ貴族至上主義なのか、それとも俺と同じ平民よりの貴族なのか。
平民よりなんだったら爵位を継ぐ前にうまくこちら側に染めることは出来ないだろうか、ってな。
今日は俺よりもラルフへの挨拶が多かったからそんな感じだろう。
残念ながらラルフはユイがいるから俺よりも平民よりの思考だがな。」
む、わたしですか? 分からんというような顔で首をかしげていると今度はお兄様に頭を撫でられました。
「ユイちゃんは冒険者やってるでしょう?
しかも庶民も貴族も買えるようにお店も仕立屋とは別に中古屋とか貸し出し屋もやりたいって言ってたし、食堂なんかは完璧に平民のためのお店だ。
ね、そんな全く差別を持っていないとかいう以前の考え方をしている大事な大事な妹と、領民を大事にする父母がいるのに僕がお貴族様第一な思考になるわけないんだよ。」
なるほど。
納得しました。
まぁ差別のない時代に生まれた記憶があるから、お貴族様思考が全く理解出来ないですしね。
そもそも貴族は平民がいなければ成り立たないのにあんな風に偉そうになるのは誠に遺憾であるのですよ。
中古屋とかは……最近ブックオンで立ち読みしてる夢みたんですよね、そしたら思いついて……今回の帰宅で相談だけしたのでまだ何も構想も出来てないんですけどね。
お父様もお兄様も賛成してくれたので次帰ってくるまでに構想を考えておこうと思ってます。
「まぁ、ちょうど暇なときを狙ったのか分からないけど参加できたから断る理由もなくて参加したけど……もう行くことはないかな。
僕とは意見が合いそうもない。
貴族じゃないと人じゃないとか言いたそうな奴らが多かったからね。」
むむ、そういう人たちがホビットさんたちを奴隷にするんですかね……。
あぁ、久しぶりにホビットの森に行きたいな……明日行こうかなぁ……。
ホビットって小さいけど、トーイとかでかくなりそうなイメージあったけど……でかくなってないかなぁ……いや、でも成人してるっていってたし無理かぁー……。
なんてまったりした考えにふけっていたら馬車の程よい揺れで眠りについていたらしく、気付いたら朝になっていました。
朝起きてストラに『帰ってきたらドレス見せてもらおうと思ってたのに寝てるからって見せてもらえなかったぞ!』と文句言われました。
そんなこと言われても。
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