転生したってわたしはわたし

なの

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新人だろうが冒険者っていいですよね

11.守るべきもの -プラチナ-

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 虹色スライムは希少レア種らしいです。
 依頼内容的にもお約束的にも予想してましたけどね。

 滅多に見かけることはないうえに、核である魔石が人からみると・・・・・・高額商品で、魔物からみると・・・・・・・美味食材だそうです。

 そしてただのスライム同様とても弱く弱肉強食の底辺の方に位置しているそうです。

 人間に見つかれば狩られる売られる
 魔物に見つかれば狩られる喰われる

 門までの道すがらストラに聞きながら
『なにその可哀想なモンスター。わたしが殺しちゃうの?』と罪悪感にさいなまれています。
 むりぽ。

 しかし受けてしまった以上は失敗になりたくないのでやるしかありません。
 安直に受けてしまったことを後悔です。
 一つ目の依頼なのに……

 せめて見た目が雫型ではなくドロドロ系スライムであることを願って。



 あれ、これフラグですかね?









『いくら目撃情報あっても初日には見つからないだろうから、今日は探しながら薬草集めでもするか』

 って言ってたじゃないですか!

 言 っ て た じ ゃ な い で す か !(大事なことだから二回言いました)

 森に入ってすぐに! なんでいるんですか!
 雫型・・の!  プラチナブロンドのような綺麗な色をした!  光が当たるとキラキラしてる!
 とても可愛らしい・・・・・・・・スライムがっっ!

 目があった瞬間絶望的な顔をされた(ように見えた)んです。

 これ、わたしがやるんですか?

 いやいや、無理でしょ。





 とりあえず硬直してしまった虹色スライムと見つめ合うこと30秒。

 真っ先に逃げずに硬直しちゃうとか、そんなんだからやられちゃうんですよぅ……。
 ああぁ……震えてプルプルしてる……。

「あー……と、俺な、初めてみるんだよな、実物の虹色スライムって。
 なんていうか、他のスライムよりも可愛らしい見た目してるな、うん。
 流石に予想外だった。

 まさか出会った直後に固まるとも思わなかったしな。」

「えっ、他のスライムって見た目違うんですか?」

「違うな。んー、っと……あ、いたいた。
 あそこにいるドロっとした水色っぽい透明っぽい液状に近いやつがそうだな。
 あれがスライムときいてイメージするやつだな……あ、あっちの方にいる毒々しい紫のやつはポイズンスライムだな。」

 オイイイイイイ!
 虹色スライム以外ドロドロタイプじゃないですかあああああ!
 ナンテコッタ……フラグ建設してしまっていたのか……今討伐対象として求めているスライムだけ雫型とか卑怯じゃないですか……!

 あっちには倒しやすい気持ち悪い見た目のアメーバ状ドロドロスライム……butいらない。

 こっちには可愛らしい雫型で綺麗なプラチナブロンドのような色の虹色スライム。but魔石ほしい。

 ガッデム!

「ストラ……これ、倒さなきゃダメですか……?」

「依頼失敗してもいいなら倒さなくても。
 まぁあんまり失敗するのはオススメしないけどなー。
 5回連続失敗だとか頻繁に失敗したりしていると降格やギルドから除名されるからな。
 まぁ、虹色スライムの場合は目撃情報あっても既に倒されてたり食べられてる可能性が多分にあるから多めに見てもらえるだろうから、俺も何も言わなかったけどな。

 ていうかな、そのスライム……言語理解してないか?
 さっきよりも明らかに希望もった顔になってるように見えるんだけど。」

「え?  ……たしかにそう言われてみればそう見えるような……?」

 さっきまでプルプルしながら絶望的な顔をして涙目になっていた(ように見えた)虹色スライムが、周りにお花飛んでそうな期待した顔をしている(ように見える)

「わたしたちがなに言ってるかわかるんですか?」

 質問してみるとうんうんとでも言いたそうにピョコピョコと跳ねる虹色スライム。
 え、なにこれ、可愛い。

 見た目可愛くて、言語が理解出来てる。
 どうしろというのでしょうか。
 むしろ今までの人よく狩れましたね……。
 この子だけ特別なんですかね?  それとも虹色スライムがこうなんですかね?

「えと……わたしたちキミの魔石が欲しいんですけど……やですよね、そうですよね死にたくないですもんね……。」

 不思議そうな顔をしたあと形がアメーバっぽくなったとおもったら、虹色スライムの身体からキラキラと輝く虹色の石がコロンっと出てきました。

「「えっ?」」

 虹色スライムの名前の由来は魔石の色だったんですね。

 ってそうじゃなくてっ!

 ピョコピョコと跳ねて元気そうですが、魔石は魔物の核なはずなので……核がなくなったら魔物は死んじゃう……んですよね!?

 え?  でも元気そうですよね……?

 どういうこと?  という思いを込めてストラを見ても首を横に振って分からないと言います。

「ええぇー……この石って魔石ですよね?
 魔石、なくても大丈夫なのですか?」

 ピョコンと一度だけ跳ねた虹色スライム、これは肯定の意味なのでしょうか。

「もらっても大丈夫ですか?」

 ピョコン


「身体に異変とか不調とかないのですか……?」

 ピョコン

 か、可愛いいいい……

「あ、ありがとうございます。
 じゃあわたしたちはこれが欲しかっただけなので、もらえるならもう行きますね。
 虹色スライムさんも気をつけて帰ってくださいね!」

 そういって街に戻ろうと振り返り歩き出すと

 ピョコン  ペチッ

 ピョコン  ペチッ

 ピョコン  ペチッ


「ストラ?」

 ピョコン  ペチッ

「うん。」

 ピョコン  ペチッ

「気のせいじゃなければ付いて来てませんか?」

 ピョコン  ペチッ

「多分気のせいじゃないと思うんだけど、振り返ったら負けだろこれは。」

 ピョコン ペチッ

「もしかしてですよ?
 魔石もらったら魔獣との契約完了みたいなのあるんですか?」

 ピョコン  ペチッ

「そもそも生きてる魔物から魔石を取り出すって話を聞いたこともない。」

 ピョコン  ベチョッ

「そうですよね……って、ん?」

 さっきまで規則的に聞こえていたピョコン、ペチッっていうついてきてる移動音がベチョッになりました?
 なんですか、嫌な予感が……
 気になるのでちょっとだけ……ソロ~っと窺ってみれば。

 森の方から狼のような生き物がすごい勢いで走ってきています……ウルフですかね?

 って虹色スライム硬直してプルプルしてます!
 こんなんだから死んじゃうんですって!
 後味悪すぎるのでここで死んでほしくはないのです、よっ!

焔花爆撃えんかばくげき!』

『焔花』で頭上に大輪の赤い焔の薔薇のような花が一つ咲き、『爆撃』で弾けるように花が爆発してウルフは木っ端微塵。
 むふふ、魔石だけ回収しましょうねー。

 いえーい、初めて使ってみた魔法ですが成功しました。
 今まで外に出たことがほとんどなかったし、出かけても常に誰かと一緒だったので攻撃性のある魔法は使えなかったんですよね。
 焔花までは使えても爆発まではやったことなかったのです。
 やっぱりイメージが大事なので詠唱はどんなでもいいですけど、ていうかむしろ無くても良さそうですけど……厨二心を刺激される技名の漢字構成だとなお良しです。
 イメージ超湧きます。
 今度からはできる限り厨二心くすぐるような技名にしましょう。

 ってあれ?
 なんか視線が痛いです……?

 視線の感じる方を向けば突き刺さるようなストラの視線が。
『お前何余計なことしてるんだ』と言われてる気がします。

 そしてそれとは別に感じる方を向けばキラキラとした虹色スライムの視線……。

 あちゃーこれは、完璧に懐かれてしまったようです……?










 仕方ないので連れて帰ることにしました。
 だって可愛いですし、もう置いてくの可哀想です。

「ストラ、連れてっちゃダメですか?」

 秘技『可愛くおねだり、口元をスライムで隠して上目遣いをするとなお効果的!』です!

「ダメだ。虹色スライムなんて目立ちすぎるし魔石……は無くなってるけど気付かないで奪いにくるやつがいるかもしれない。
 ていうか絶対いると思う。
 災いの元をわざわざ拾ってく必要はない。
 可哀想だが置いてけ。」

 ぷ~……バッサリ切り捨てられました……。
 可愛くおねだりしたのにっ!

「やーです!  もう決めたもん!
 一応聞いただけだもん、連れて帰るって決めました!」

 虹色スライムを抱いたままプイッと頬を膨らませたままそっぽを向く、精神年齢……いや、魂年齢三十路超え。
 ふっ……可愛ければいいんですよ、中身がどうだろうと。
 まぁなんか前よりもどんどん見た目年齢にも引きずられてますしねー。やっぱり身体って大事なんだなって思いました、小説にあった見た目年齢に引きずられるって本当だったんですね。
 さすがにここまで幼くはなれませんよね、ただの三十路だと。

 はぁ~……とため息が聞こえたのでチラッと見れば諦めたようなストラの顔。
 まだ会って二日しかたってないのに私のことよく分かってますね。
 食い下がっても無駄だとよく分かってるようです。
 ストラの諦めが見えたのでわたしの幻覚の尻尾は絶賛はち切れんばかりにふりふりです。虹色スライムの尻尾も見えるようです。

「ストラも諦めたようですし名前つけましょうか!
 なにがいいかなーせっかくだから可愛い名前がいいですね!
 うーん、虹色スライムだし……レインボー? いやそれは安直すぎるし可愛くない、ようななんとなく可愛く聞こえるような……いやでも無いな……。虹子。いやいや、それだと全く可愛くない。
 プラチナブロンドカラーでストラとお揃いなんですよねぇ~。
 そのままプラチナとか?
 いや、これも安置すぎるか……。
 
 スライム……ストラ……ス……スイム、スイト、水筒?  ん……水?  ……水の花……。

 よし、名前は『睡蓮』にしましょう! 今日からこの虹色スライムの名前は睡蓮です!

 スライムとストラからの連想で!」

「はぁっ!? 何故俺!?」

「髪色が似てるなと思ったら……あれ、名前も似てるじゃん?  と思ったので。」

 実はストラ、今まで特に見た目描写は筋肉じゃないということしか言ってこなかったですが何を隠そうただのイケメン野郎なんですよ。
 顔良しなだけならず、髪の色がプラチナブロンドに瞳の色は蜂蜜色で全体的に色素の薄いはかなげ美人って感じの雰囲気でカッコいいしとっても綺麗なのです。
 喋ると口悪くてそのイメージ皆無ですが。

 その儚げ美人が双剣使うとか、なにそれ超わたし得、って思ってます。
 いつか剣技を見せてもらうのが楽しみです。
 踊ってるように見えるんでしょうねぇ……。
 うん、今度訓練してるところ見せてもらいましょう。
 お兄様との謎の決闘もどきは一本で事足りてましたからねぇ……剣舞……うふふふふ。

 まぁそんな感じで
 虹色スライムの体色とストラの髪色似てるなぁ、からの、スライムとストラって名前似てるなぁって連想からの連想で睡蓮に決定です。




「可愛いですよね睡蓮、うんうん決定ですね!
 よろしくですよ、睡蓮!」

 嬉しそうにピョコンピョコン跳ねてる睡蓮が本当に可愛いです!
 主従契約的なものとかしないと色々ダメですかね?

「そいつ嬉しそうだからその名前でいいと思うんだが、スイレンってどんな意味なんだ?」

「あれ?  睡蓮って知らないですか?
 水の上に咲くお花なんですけどこの世界にはないですか?」

「うーん、水の上に咲く花はフローラっていう食人花しか知らないな。
 ぱっと見は綺麗なんだがな、水辺に近づくと根に捕まってそのまま喰われるんだよな。

 女子供が近づいて喰われる被害が結構多いんだよな、あれ。」

 ナニソレコワイ

 綺麗な花には毒があるというか、綺麗な花には喰われるぞ的な……異世界コワイ

「スイレンかぁ、まぁフローラも綺麗だからな、きっと水の上で綺麗に咲く花なんだろうな、よかったな、いい名前もらえて。
 大人しくしてたら俺も守ってやるからな。
 ……万が一ユイに危害加えたりしたら容赦はしないけどな。」


 ヒエエェ、ストラから冷気が!

 睡蓮が恐怖に震えてます!
 やややや、やめたげてよぉ!

「だ、大丈夫です! あ、ほらほら睡蓮、わたしと契約しましょう!
 使役獣(獣といっていいのかは疑問ですが)になればわたしの不利益なことは出来ないでしょうし!
 そういう契約多分ありますよね!?」

「……あぁ、そうか、ユイは規格外なんだったな……。
 使役契約なんてここ何百年も成功したやつはいないんだがな……成功するんだろうな……。」

 遠い目をして悟ったような雰囲気出してるストラはシカトして。

 なんと、この世界は使役獣がいないんですか。
 それは本当に目立ちそうですね……。

 でも契約はできるってことですよね、ストラにバッサリ斬られちゃわないように今のうちに契約しましょうっ!
 どうやってやるんだろう? 雰囲気で出来ないかな。

「……『契約』

『我の名は〈ユイリエール・リシュール〉、汝この瞬間より契約に従い〈睡蓮〉と名乗り我と共に歩み進むもの也。我の声に応えよ!』」

 魔力を持つ言霊で契約と唱えた途端、頭に浮かんだ厨二心をくすぐる契約の言葉

 ナニコレカッコイイ

 とか思ってたら睡蓮がピカーッと光りました。

 え、変身しちゃう!? 人型になっちゃう!? 喋っちゃう!?
 ワクテカが止まらない!


 光がおさまったと思ったら
 そこには変わらず虹色スライム姿の睡蓮が。
 あれ、見た目変わってません。

 あっ、右目に翡翠色の睡蓮の模様みたいなのが現れましたね……契約印けいやくいん的な感じでしょうか……?
 右目疼いちゃいますかね?  わくわく

「睡蓮喋れるようになってたり……?」

「キュイッ」

 ……。あれ、なんでしょう、喋った?  けど、思ってたのと違います。
 コレジャナイ感パナィ。

「思ってたのとちょっと違ったけど……えへへ、睡蓮よろしくです!  これからはわたしが守ってあげますからね!」







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