43 / 43
第五章
理屈
しおりを挟む
好戦的な表情を見せて立ち上がった。
「藤桜さんもまた会いましょう」
微かに笑みを浮かべると、髪を翻しながら、颯爽と立ち上がり場を後にしていく。
透百合の跡を追いかけるように突風が吹き荒れた。
姿が見えなくなると同時に授業開始のチャイムが鳴り始める。
次の授業はあの先生の授業だ。
俺たちは顔を合わせると、伝心したかのように揃って急ごうともせず、ゆったりと教室まで足を運んだ。
放課後を迎えると先生から召集がかかった。
今日一日で問題行動を俺は起こしていない。
悪い情報ではないと思うが、先生の表情から読み取ることはできず、どうして呼ばれたのかは分からないと構えてしまう。
「あー、一応君たちの評価が改めて決まった」
順位表とは別に昇格降格の評価のことだろう。
「明日掲示されるが、君たちにはもう一個聞きたいことがあってね」
「拓真くんと翡翠ちゃんがトップなんだから、相当ポイント貰えるんじゃない?」
藍水が嬉々として語っているが、先生は一切表情を変えない。
面倒くさいと脱力しているだけではあるだろうが、固唾を飲む。
何よりも評価とは別のもう一つが気になって仕方がない。
「茜澤が1位で1000ポイント。藤桜が3位で900ポイント」
この時点ではDランク昇格にはなる。
「やったーこれで昇格じゃない?」
藍水は昇格すること前提で喜んでいるが、自分を忘れていないだろうか。
「まだお前らの分があるだろうが。馬鹿なの?」
「あ...そうか...って別に馬鹿じゃないし!馬鹿っていう方が馬鹿だもん!」
「俺は一位だ」
「そうだった...でも馬鹿は馬鹿なんですー」
「どういう理屈だ」
どうしても俺を馬鹿扱いにしたいらしい。
確か二人の順位は200位より下だった筈だ。少なくともマイナスになることはわかっている。
これが400ポイントまではDランクに昇格できるわけだが。
「まず樫谷が250位 マイナス100。そして藍水は390位、マイナス500。併せてマイナス600だ」
「なら...何ポイントですか?」
緊張した面持ちで藍水が祈っている。
だが祈るまでもない。もう答えは出た。
「藤桜さんもまた会いましょう」
微かに笑みを浮かべると、髪を翻しながら、颯爽と立ち上がり場を後にしていく。
透百合の跡を追いかけるように突風が吹き荒れた。
姿が見えなくなると同時に授業開始のチャイムが鳴り始める。
次の授業はあの先生の授業だ。
俺たちは顔を合わせると、伝心したかのように揃って急ごうともせず、ゆったりと教室まで足を運んだ。
放課後を迎えると先生から召集がかかった。
今日一日で問題行動を俺は起こしていない。
悪い情報ではないと思うが、先生の表情から読み取ることはできず、どうして呼ばれたのかは分からないと構えてしまう。
「あー、一応君たちの評価が改めて決まった」
順位表とは別に昇格降格の評価のことだろう。
「明日掲示されるが、君たちにはもう一個聞きたいことがあってね」
「拓真くんと翡翠ちゃんがトップなんだから、相当ポイント貰えるんじゃない?」
藍水が嬉々として語っているが、先生は一切表情を変えない。
面倒くさいと脱力しているだけではあるだろうが、固唾を飲む。
何よりも評価とは別のもう一つが気になって仕方がない。
「茜澤が1位で1000ポイント。藤桜が3位で900ポイント」
この時点ではDランク昇格にはなる。
「やったーこれで昇格じゃない?」
藍水は昇格すること前提で喜んでいるが、自分を忘れていないだろうか。
「まだお前らの分があるだろうが。馬鹿なの?」
「あ...そうか...って別に馬鹿じゃないし!馬鹿っていう方が馬鹿だもん!」
「俺は一位だ」
「そうだった...でも馬鹿は馬鹿なんですー」
「どういう理屈だ」
どうしても俺を馬鹿扱いにしたいらしい。
確か二人の順位は200位より下だった筈だ。少なくともマイナスになることはわかっている。
これが400ポイントまではDランクに昇格できるわけだが。
「まず樫谷が250位 マイナス100。そして藍水は390位、マイナス500。併せてマイナス600だ」
「なら...何ポイントですか?」
緊張した面持ちで藍水が祈っている。
だが祈るまでもない。もう答えは出た。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます!
これからも読んでいただけると嬉しいです
日本刀の実習から始まる物語が何だかそそりました(^^) 話の内容も面白いです。続きを楽しみにしていますm(_ _)m
ありがとうございます!
今後も刀を使うシーンを上手く書いていきたいと思っております。
これからもお願いします。