最下位の最上者

竹中雅

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第五章

爽快

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退学と処分を下されていた期日も何事もなく過ぎ先日と変わらず、のうのうと昼飯を食べていた。
今朝のホームルームで桑原を含む四人は席に姿はなかった。
退学かと思ったが、それについて特に言及もなく理由はわからない状態だ。
あの教師のことだ。単に説明するのも面倒くさいとも考えられる。
今日は5月にしては蒸し暑い日だが、清かな風が吹き付け、木の枝間から浴びる日射と調和してくれる。
この天気の中草むらに寝転がるのがかなり気持ちいい。
時間も限られているが、陽が落ちるまで眠りに浸りたい気分に陥ってくる。
もし二人だけなら寝ていただろう。二人だけなら。
「良くこんなところ見つけたね!」
「オレは食堂で食べたかったんだが」
「まあまあ。そう言わずに気持ちいいじゃん」
隣で藍水が絶えず喋っているせいで一向に気が休まらない。
藤桜は時々相槌を打ちながら話を聞いているが、樫谷は面倒くさそうに寝そべっていた。
俺も聞いてはいるが会話には参加していない。藍水の独壇場のような感じだ。
「でも良かったねえ~こうやって生活できるようになって」
それに関しては最もだ。
たった一グループに生活を崩壊させられかけたのだから、またいつこのような事が起こるか内心怯えている。
そして明日今回のテスト結果を受けて、改めて取得ポイントやランク移動が掲示される予定だ。
マイナスポイントは取り戻せた筈に違いない。
「折角だから四人で何かしない?」
「パス」
「何でそういう時だけ即答なの...いいじゃ~ん」
「特にすることもないだろ。他の仲の良い奴らと遊んでこい」
「オレも行かないからな」
学校外にも出られはするが、手続きがかなり大変だ。
危険物を外に出さないために必要なことではあるが、綿密に確認されることになる。
「ケチ!」
「じゃあ、翡翠ちゃん行こうよ!」
「...良いよ?」
「やった!ほらこれが本当の優しさなんだよ!二人とも見習った方が良いよ」
付き添ってくれる人が見つかったことが嬉かったのか、何故かドヤ顔で偉そうに言ってくる。
「はいはい。そういうことで。オレは戻ってるぞ」
「流されたし!もう授業始まる時間か。アタシも先戻ってるね~」
授業まで10分ほど残っているが、足早に切り上げていった。
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