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第三章
鍛錬
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「ダメだった?」
「ああ。聞く耳も持たなかった。でもお前たち三人はまだわからないらしいが、すまん」
「そうなんだ...じゃあ私が」
「同じだ」
「そっか...私こそごめんね。何もできなくて」
「気にするな」
「うん...」
項垂れていた彼女だが、外に出てみるとぱっと表情を明るくし口を開いた。
ぎこちなく見せるその顔に、気を使われていることはすぐわかる。
「ねえ。この前言ってた刀の使い方教えてよ」
「おう...別に良いけど。やっても意味なんてないぞ」
このまま退学になるならば、二度と刀を使うことは無くなるだろう。
刀を鍛錬したところで他の使い道も無いのだから徒労に終わるだけの可能性も大いにある。
「それでもやる!」
「そ、そうか」
普段とは異なる口ぶりに気圧されながら、練習場へ向かった。
巻藁がいくつも並び、さまざまな標的が用意されている。
今日も誰も居らず俺たちの貸し切り状態ではあるが、あの桑原たちとの記憶がリフレインする。
藤桜もキョロキョロと周りを気にしている。
「無理しなくても良いんだぞ?」
「ううん。無理はしてないよ」
「なら良いが。まずこれでやろうか」
腰に提げた木刀を渡す。
刀と木刀二つを提げるのはやはり重量があるため持ってきていないようだ。
「これだけは持ち歩いた方がいいぞ。体力をつけるのが最優先だからな」
「重いの疲れるんだもん」
「...わかった。出来るだけ持とう、な?」
口先を尖らせながら、拗ねるように言われてしまうと強く出れない。
「と言っても素振りが大切なんだよ。この巻藁に向かって左右に打つところからだ」
「わかった」
ヤーヤーと声を出すまでは良い。伸び切った声でも藤桜なら許容しよう。
1回目から忍びない。
4回目でから振り。10回目からどんどん下に下がり始め地面を叩き始めた。
土に罅が入り始めていて地割れでも起こりそうな勢い。
「やっぱ体力つけないと無理だな」
「...今日だけ。今日だけは茜澤君とやりたい」
言葉通りだ。息を弾ませ頬を赤めながらその科白で懇願されると、違う意味に聴こえて仕方がない。
「わかった。だが、今回は盾は無しだ」
ここまで疲れて盾など持っていては動けるはずがない。別にこれが最後だ。思う存分打ち込んできてもらうのが一番だ。
「どこからでも打ち込んできな」
断ったとしても気持ちも変えなさそうな頑なな目だ。
藤桜から一歩ずつ間合いをとりながら構える。
「やー」
可愛げな掛け声で何度も頭を全力で狙ってくる。
...俺を仕留めたい気持ちでもあるのか。実は恨んでいる可能性もなくは無いように思えてきた。
一打ちごとに後ろに下がり、その度に木の音が響く。
さればこそ、疲弊が大きくなっていく。
「いたっ」
あと一打ちというところで最後に小石に足を引っ掛けて尻餅をついた。
真正面で起こった事故はスカートの中から覗かせる桃色が眩く俺のまなこへと映させる。
「...見ないで...」
藤桜がスカートの裾を顔を赤らめながら咄嗟に隠す。
何も見ていないフリをしたがじっとこちらを眇めている。
何か言い訳を発しようと思考していると、
「やるねー」
後ろを振り向くと赤服を着た3人の生徒が俺たちを眺め仁王立ちしていた。
「ああ。聞く耳も持たなかった。でもお前たち三人はまだわからないらしいが、すまん」
「そうなんだ...じゃあ私が」
「同じだ」
「そっか...私こそごめんね。何もできなくて」
「気にするな」
「うん...」
項垂れていた彼女だが、外に出てみるとぱっと表情を明るくし口を開いた。
ぎこちなく見せるその顔に、気を使われていることはすぐわかる。
「ねえ。この前言ってた刀の使い方教えてよ」
「おう...別に良いけど。やっても意味なんてないぞ」
このまま退学になるならば、二度と刀を使うことは無くなるだろう。
刀を鍛錬したところで他の使い道も無いのだから徒労に終わるだけの可能性も大いにある。
「それでもやる!」
「そ、そうか」
普段とは異なる口ぶりに気圧されながら、練習場へ向かった。
巻藁がいくつも並び、さまざまな標的が用意されている。
今日も誰も居らず俺たちの貸し切り状態ではあるが、あの桑原たちとの記憶がリフレインする。
藤桜もキョロキョロと周りを気にしている。
「無理しなくても良いんだぞ?」
「ううん。無理はしてないよ」
「なら良いが。まずこれでやろうか」
腰に提げた木刀を渡す。
刀と木刀二つを提げるのはやはり重量があるため持ってきていないようだ。
「これだけは持ち歩いた方がいいぞ。体力をつけるのが最優先だからな」
「重いの疲れるんだもん」
「...わかった。出来るだけ持とう、な?」
口先を尖らせながら、拗ねるように言われてしまうと強く出れない。
「と言っても素振りが大切なんだよ。この巻藁に向かって左右に打つところからだ」
「わかった」
ヤーヤーと声を出すまでは良い。伸び切った声でも藤桜なら許容しよう。
1回目から忍びない。
4回目でから振り。10回目からどんどん下に下がり始め地面を叩き始めた。
土に罅が入り始めていて地割れでも起こりそうな勢い。
「やっぱ体力つけないと無理だな」
「...今日だけ。今日だけは茜澤君とやりたい」
言葉通りだ。息を弾ませ頬を赤めながらその科白で懇願されると、違う意味に聴こえて仕方がない。
「わかった。だが、今回は盾は無しだ」
ここまで疲れて盾など持っていては動けるはずがない。別にこれが最後だ。思う存分打ち込んできてもらうのが一番だ。
「どこからでも打ち込んできな」
断ったとしても気持ちも変えなさそうな頑なな目だ。
藤桜から一歩ずつ間合いをとりながら構える。
「やー」
可愛げな掛け声で何度も頭を全力で狙ってくる。
...俺を仕留めたい気持ちでもあるのか。実は恨んでいる可能性もなくは無いように思えてきた。
一打ちごとに後ろに下がり、その度に木の音が響く。
さればこそ、疲弊が大きくなっていく。
「いたっ」
あと一打ちというところで最後に小石に足を引っ掛けて尻餅をついた。
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「...見ないで...」
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何か言い訳を発しようと思考していると、
「やるねー」
後ろを振り向くと赤服を着た3人の生徒が俺たちを眺め仁王立ちしていた。
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