シノビトサキュバス

奴隷候補、決定

　リリム様から人を奴隷化することのできる力を貸していただけることになったのだが、どうすべきか考える。
　一番に候補は隣の席にいるモガミさんだ。
　クラスメイトでもある彼女を奴隷化することができたのなら、学院長の目があっても行動することができる。
　だけど、それは本質的な改善ではない。
　学院長の目があるから使える駒が欲しいのに同じ盤面に出しては元も子もない。
　なにより、モガミさんはサキュバス様に献上するための家畜だ。私が手を出すのはやめておこう。
「やっぱり、外部の忍びを呼び出すべきなのか……」
　応援を呼ぶことも考えるが、そもそも巫女姫を呼び出してしまっている。これ以上の増員は本部が私を疑う可能性が出てしまう。
　どうするべきか……と廊下の角を曲がった。
「「いたっ！」」
　ちょうど曲がった直後に誰かにぶつかってしまった。
　私の方が勢いがあったのか彼女の方がこけてしまい、手を差し伸べる。
「ごめんね。考え事をしてたの」
「ちょっと～～、次からは気をつけてよね～」
　金髪、コギャルメイクの明らかに校則違反している少女が文句を言いながらも手を取って立ち上がった。
　地なのか肌は浅黒に焼けていて、少し古風な感じがする。
（…………そうだ、この子にしよう）
　たまたまでいい。何も計画的に進める必要はない。家畜を殖やす目的はこの学院全体である。ならば、この学院の生徒なら彼女でもいいんだ。
　あとはそう、２人きりになる状況を作るだけだ。
「ごめんね？　お詫びにポテトでもおごるから放課後空いてる？」
「マジッ！？　オッケー、オッケー！　じゃ、ここで待ってるねー！！」
　ちょろい。なんてちょろいんだ。
『え、シノブ、あの子を奴隷化するの？』
　はい。と小声で答える。
『……わからない。シノブの趣味がわからないわ』
　なんだが、頭の悪い発言をリリム様がしているが、とりあえず奴隷候補が見つかったので良かったとしよう。